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「あぁ、絵を見るのって楽しいな。」が体感できる美術館 ーアーティゾン美術館。

 2020年1月18日、ブリヂストン美術館が館名変更し、新しい美術館として開館したアーティゾン美術館。日本では珍しい日時指定予約制の美術館です。

 早速初日に行ってみましたが、突飛なことはしていないけれど、作品を見る時の「ちょっと嬉しい事」がいくつも盛り込まれて、「あぁ、絵を見るのって楽しいなぁ。」と実感できる美術館でした。

開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」 @アーティゾン美術館

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1)これが全部コレクション?! 圧巻のコレクション作品。

 まずは、なんといってもコレ。1952年の開館以来、65年以上で約2,800点以上収集してきたというコレクション。2部に分かれた展示の第一部「アートをひろげる」では、マネにはじまり、ルノワール、モネ、ピカソ…といった、19世紀以降の著名なアーティストの作品が並びます。

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(《腕を組んですわるサルタンバンク》/ パブロ・ピカソ (1923年))

 すべての作品表面のガラスは低反射ガラスで覆われているので、まるでガラスがないように筆致や色をそのまま見られるのも嬉しいです。

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(《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》 / ピエール=オーギュスト・ルノワール (1876年))

 リニューアルのため2015年から休館していた間にも収集を続けていたというアーティゾン美術館。今回初お披露目のカンディンスキー、ピカビア、ジャコメッティなどの作品31点も。西洋近代絵画ばかりでなく、江戸時代の洛中洛外図屏風なども収蔵されています。

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(今回の展覧会のキービジュアルになっている《自らが輝く》 / ワシリー・カンディンスキー (1924年)。こちらも新収蔵作品です。)

 広大な3フロアに並ぶこれらが全て1つの財団のコレクション…一体どこでいくらでこんなの買えるんだろう… とため息が出ます…

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(ジャン・でビュッフェ、ジャン・フォートリエ、マーク・ロスコなどなど、戦後美術のコレクションもすごい。)

2)入場は日時指定制。好きな作品がじっくり・ゆったり見られる。

 これだけ著名な作品が並ぶなら、さぞかし混雑するんだろう… なんて想像していたのですが。

 アーティゾン美術館はオンラインチケットでの日時指定入場制。館内が混雑していると入場制限はかけていたので少しだけ並びましたが、10分程度で入場。(※ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ、美術館窓口でもチケットが販売されるそうです。)

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(当日は雪でしたが、こんな時に外で長時間並ばなくて良いのはありがたい…)

 館内に入ると、入り口付近のみ少し混雑しましたが、あとはじっくり自分のペースで作品を見ていくことができます。「せっかく行ったのに、人だかりで遠くからしか見られなかった…(泣)」なんてこともなく、間近でゆったりと好きな作品を楽しむことができました。

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 日時指定制といっても入れ替え制ではないので、一度入場してしまえばマイペースで見ていけるのも嬉しいです。

3) イヤホン必携! 無料オーディオガイドに、デジタル・コレクション・ウォール。楽しめる仕掛けがいっぱい。

 普通はオーディオガイドを借りると500円くらい… ところが、こちらでは自分のスマホにアプリをダウンロードすれば無料で解説が聴けちゃいます。しかも、作品の近くに立つとそのガイドが表示されるようになっています。館内には無料wifiもあり、ストレスなくアプリをDLして解説を聞くことができます。ただし、イヤホンの貸し出しはないので、イヤホンをロッカーに閉まってしまわないように注意!です。(2Fのミュージアムショップでイヤホンを購入することはできるようです。)

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(アプリから、展覧会情報やイベント情報の確認、チケットの予約などもできます。)

 そういえば展覧会で、作品横の小さな解説の方に人がいっぱい…なんてことありますが、すべて音声ガイドだったので、作品背景などの情報を入れつつも、作品だけをじっくり見られるというのもまた嬉しいですね。

 館内にはteamLabの「デジタル・コレクション・ウォール」も。今回の展覧会では展示されていないコレクションも大きな画面で見ることができます。

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(「デジタル・コレクション・ウォール」は自由にさわれます。)

 今回はコレクション展からかもしれませんが、撮影もOKでした。家に帰ってからも、あの作品良かったなぁ…って見返せるのも嬉しいです。

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 突飛なことはしていないけれど、作品を楽しむのに「ちょっと嬉しい事」がいくつも盛り込まれて、作品だけに集中して「絵を見るのって楽しいなぁ。この作品好きだなぁ。幸せだなぁ。」を感じることができる展覧会でした。

 2020年には、「ジャム・セッション 石橋財団コレクション× 鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり」「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 Cosmo-Eggs| 宇宙の卵」などの展示も企画されているアーティゾン美術館。1フロアずつが広大な展示室は壁やスポットライトの配置の自由度も高そうで、吹き抜け空間などもあり、これからの展示も楽しみです。

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(今回は展示室に対して壁が斜めに作られていて、散策するような感覚で作品を見ていく事ができました。)

(2020.1.18訪問)

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【展覧会概要】 開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」 @石橋財団アーティゾン美術館

見えてくる光景

会期:2020年1月18日~3月31日
時間:10:00~18:00(金〜20:00、3月20日を除く)
休館日:月(2月24日は開館 )、2月25日
ウェブ料金:一般 1100円 / 大学生以下無料(要予約)/ 中学生以下無料(予約不要)


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