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商社時代の経験と知見が現在へ|PLAS理事のご紹介 鶴見和雄さん

今回はPLAS理事・監事のご紹介第二弾!PLAS理事の鶴見和雄さんをご紹介します。普段のお仕事や、PLASの活動へかける思いをお聞きしました!

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◆プロローグ

こんにちは、理事を務めている鶴見です。若い世代により運営するPLASにとっては、最もシニアな理事となりますが、今年で4年目となります。何故、PLASの理事に就任したのか、また理事として果たすべき役割は何かを自問自答したいと思います。

つるみさん

(写真)ウガンダの首都カンパラでの縫製訓練用ミシンの買付

PLASと同様の国際NGOに関わったのは、2001年に、国際NGO「プラン・インターナショナル・ジャパン(現在)」(プラン)の専務理事の公募試験を受け、入局したのが起点でした。それまでは、三菱商事と云う総合商社に29年間勤務しました。実は商社時代の経験と知見が自分の背中を押し、国際NGOに転身した大きな切っ掛けだったと思います。


PLASの理事職をこなす傍ら、現在は、約20年間携わった国際NGOのミッションを、若い世代に託しつつ、自らのライフ・ターゲットであるSDGs目標8にある「若者の雇用と経済成長」を達成のため、2020年6月に「ユース・エンゲージメント・インターナショナル」と云う国際NGOを自ら設立し、公的機関、民間非営利セクターと提携し、目標の達成に向けた事業を推進しています。

◆国際NGOへの転身

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(写真)世界銀行年次総会へのNGO代表として出席

29年間の在勤の内、ニューヨーク9年間を含む13年間の海外勤務の一部に、インドでの駐在経験が含まれます。最後の海外勤務地であるインド、デカン高原での家電合弁会社設立のProject Managerとして現地に駐在した経験がなければ、恐らく非営利セクターに足を踏む入れることのなかった、大きな要因だったと云えましょう。

合弁によるインドでの家電工場の運営には、製造を担当する質の高い工員の確保が不可欠です。特に家電の製造には、生産ラインで細かい部品を挿入するため、若くて繊細且つ小ぶりな手を持つ、女性の工員の雇用が不可欠です。

貴重な女性の工員の採用の際に直面したのが、インドでの早婚問題や、貧困の現実です。採用した女性の工員には、15歳から16歳ながらも、既に子どもが3人もいるお母さん方もおり、そのため工場内に乳児を含む子どもたちをケアする託児所を併設し、お子さんやお母さん方のために小さな診療所を建てました。また工場と街を往復するバス路線を確保し、まるで一つの街を造る大事業でした。正に合弁工場の設立は、民間資本か社会資本かの違いだけで、所謂、国連や国際NGOが手掛けるコミュニティ開発と脈を通じる仕事であったと思います。

◆「貧困」と云う二文字

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(写真)インド・ムンバイ市のスラム街。人口1500万人の6割がスラム生活者

皆さんが感じる「貧困」の二文字の印象はどの様なものでしょうか。自分自身もインドに行くまでは、「インドは最貧国の一つ」とした漠然とした概念しか持ち合わせていませんでした。然しながら、合弁事業の立ち上げを通じ、頭だけで考える「貧困」と「現実の貧困」とはこんなに格差があるのかと、足の竦む肌感を直接に感じ、その深刻性には多くを学びました

よく、貧困線(Poverty Line)は1日1.9ドル(2015年改訂)と言われ、それ以下の収入で暮らす人々を最貧困層と言いますが、インドでの実態はこれが1日10セント(20円)の生活が当たり前です。またPLASが活動するウガンダやケニアなど、サブサハラ・アフリカ地域での、この貧困ライン以下に暮らす人々は、全人口の41.1%(2015年世界開発指標)と報告されています。インドの場合、どうやって10セントで生きていくのか、不思議に思いませんか?これは、次の機会にお話しさせて戴きます。

◆「エイズ孤児支援PLASとの出会い」

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(写真)ウガンダでのPLAS活動地でのコロナ対策用手洗装置の支給

PLASとの関係は、何時から始まったのか、過去を振り返ってみましょう。PLASが設立し、まもなく16年が経過しますが、その内、10年間は常にPLASに寄り添っていた様な気がします。当時は、PLASの15倍以上の寄付規模があり、活動国も途上国54ヵ国、国内職員も100名を率いていたプランに在籍していました。一方、若い世代が途上国の貧困、教育などの根深に課題に対するソリューションを真剣に考え始め、その一つがPLASでした。設立後、営利と非営利の両面に経験を持ち、NGO業界では異端児であった自分にコンタクトがあり、PLASの開発の在り方や、運営面での助言活動が始まりだったと思います。「海外経験と非営利セクター両面で培ってきた途上国のシニアの経験」X「若い世代で運営され、まだまだ頭でっかちなPLASとの奇妙な出会い」がもたらした、その後の関係性の継続は、それぞれのシナジーがお互い作用し、機能や効果を高めることに繋がる、優れた組手だと感じています。

◆今後PLASの理事の役割と運営に求めるもの

昨年来のコロナ禍により、多くのNGOが展開する途上国活動が制限され、PLASも例外ではありませでした。然しながらコロナ禍により、ケニア・ウガンダでの罹患者が急増した際、現地にコロナへの対応方法を現地パートナーと協議し、同時に、手洗いの徹底指導、消毒液、マスク、体温計の供給を他のNGOに先駆け、いち早くPLASは行いました。これは、理事会と事務局、そして現地パートナーとの緩みないコミュニケーションから生み出されたものであり、一丸となった課題分析力と実行力の賜物だと思います。

理事会は、常に、事務局と現地パートナーが即座に問題解決に立ち向える職場環境の整備と、高い説明責任力を果たし、「SDGsの精神」に基づき、持続的な現地活動を達成に向けた、的確なアドバイスや、財務的な支援など、その役割は尽きることはありません。但し、理事会と事務局との境を明確にしておかねば、事務局の活性化を阻害してしまう要因にもなり兼ねず、一定の距離間を持たねばなりません。全体経営を実施し、時にはオンブズマン的な指導や助言を行う立場であり、年次決算の精査と承認、年度活動計画、中長期活動計画の策定及び実行予算の策定と承認など、常にご支援者また支援に関心を示して戴いている皆さまが、しっかりとPLASの活動を見極められる様に、常にナビゲートするのが、理事会の最大の役割と思います。

まだまだ、小規模な国際NGOですが、「小さくてもぴりりと辛い山椒」の様な組織が何時か、皆様のお力をお借りし、次の世代に大きく羽ばたける様に、育てて戴きますよう、理事の一員としてお願い致します。

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「今年も良いクリスマスを迎えましょう」

鶴見 和雄



いただいたご支援(サポート)は、PLASの活動を通じてケニアとウガンダのエイズ孤児支援のために使わせていただきます。