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清原和博ノンフィクション『虚空の人』を読んだ 2022年8月29日(月)

桑田・清原と言えばあのPL学園のKKコンビである。
世代的にもこの二人についてはいろいろと語りたくなってしまう、それくらい今もあの甲子園の活躍は印象に残っている。

その清原和博のノンフィクション『虚空の人』(鈴木忠平著)を読んだ。

傑作『嫌われた監督』と同じ作者なので面白いのは決まっているのだけど、『虚空の人』も人物ノンフィクションとして非常に優れた作品となっている。

このノンフィクションの白眉は例のドラフト会議にまつわる話ではないだろうか。
早稲田に進学するとされていた桑田真澄、巨人に行きたいと表明していた清原和博。
蓋を開けてみると巨人が桑田真澄を一位指名。
18歳の少年に取ってとてつもなく辛い出来事だっただろうと思う。

今、この本を読むと清原和博の脇の甘さというか屈託の無さにひやひやするが、当時ちやほやされていた甲子園のヒーローでは仕方なかったのかもしれない。
反対に桑田の冷徹で芯のある処世術にも驚かされる。
非常に対照的な二人がたまたま同じ高校に入り、甲子園を沸かせる才能を持っていたという運命でもあり悲劇でもある。

この本で描かれる清原和博の弱さにイライラしながらも甲子園という特異な魔物に取り憑かれた人生を過ごさざる得ない男に多少同情しながらも興味を抱かざる得ないのは一体なんなのだろうか。
そんなことを考えてしまう。

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