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映画『ファミリー・ツリー』 2022年3月3日(木)

何気なくD+でアレクサンダー・ペイン監督作『ファミリー・ツリー』を見始めたらやめられなくなり、結局最後まで観てしまった。

「サイドウェイ」「アバウト・シュミット」のアレクサンダー・ペイン監督がジョージ・クルーニーを主演に迎え、ハワイで暮らすある家族に起こる出来事を描いたドラマ。祖先の土地を受け継ぎ、ハワイで妻と2人の娘とともに暮らすマット・キングだが、ある日、妻のエリザベスがボートの事故でこん睡状態に陥ってしまう。さらに、エリザベスには不倫の相手がおり、離婚まで考えていたことが発覚。友人や長女もその事実を知っていたことにがく然としたマットは、自らの人生を見つめ直すことになる。

ジョージ・クルーニーが珍しく冴えない父親役をやっているのが面白い。
しかし、劇中、彼が置かれる立場はかなりシリアスである。

長年連れ添った妻とあまり会話をしなくなった矢先に妻がボートレースで事故を起こして昏睡状態になる。
妻は尊厳死に署名しているため助かる見込みが無くなり生命維持装置を外すことになる。
妻が浮気をしていることを知る。
自分が受託者であるカウアイ島の広大な土地の売却期限が迫っている。

こんな状況になれば、はっきり言って頭を抱えてパニックになってしまうだろう。
しかし、この映画はハワイの美しい景色や音楽が流れ、コメディタッチで時にはロードムービー的に進んでいく。
妻の浮気相手が宿泊するコテージに乗り込むところなどまさに修羅場なのだけど、非常にユーモラスで、そういうところがとても好ましい。

娘二人と長女の友達シドも最高で、妻が倒れてからの数日でジョージ・クルーニー演じるマットは人生を見つめ直し祖先たちに想いを馳せ、大きな決断をくだす。

ラスト、マットと娘二人がソファで妻が病室で使っていた毛布を膝に掛けながらテレビを観ているシーン。じんわりと来る。

劇場でも観て、何回か見直した映画だけど、2011年の作品。公開からもうそんなに経つのかと時間の速さに驚いた。