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みんな幸せで居てくれ

子どもの、夏休みのお出かけみたいなやつを見てると辛くなる。お母さんが小さい3人の子を連れて、大きな荷物を持っている。駅の待合室。その親子4人と、老夫婦と私だけ。老夫婦は子どもたちに話しかける。8歳と6歳と2歳。お母さんはバタバタしているが楽しそう。というか2歳の子がファンタ飲んでてびっくり、炭酸飲めんのか!私は小学校入るまでマックも行ったことなかったなあ。あんまり体に良くないけどすごく美味しそうに飲んでて可愛い。2歳って体こんなに小さいんだ〜可愛い、、3人とも仲良しで可愛い。ついでに老夫婦も可愛い。バタバタしてるお母さんの代わりに子どもたちの面倒を見てるみたいでなんかいい。可愛いしあたたかい空間ではあるけど気を抜いたら涙が出そうだ。幼い頃から空想好きだった私は、自分がお母さんで、子沢山で、荷物を抱えて電車でどこかへ出かける夢をよく描いていた。憧れていた。なんで私は自分が子どもの立場の夢を見なかったのだろう?諦めていたからだ。家族旅行というものをほとんど経験したことがない私も、その数少ないお出かけの経験の中で、父親が常に機嫌が悪かった記憶が残っている。私は、小さい頃からおじいちゃんとおばあちゃんが大好きだった。旅行経験が少ないとはいえ色んなとこに連れてってもらった。沢山良くしてもらった。2人と別れる時は、私は駅で、行き交う人々が心配して大丈夫かと聞いてくるほど声を上げて激しく泣いた。今思えば、祖父母2人が居なくなって、また父親が乱暴になるのが幼いながらにわかっていたから、また日常に戻ってしまうんだなあと辛かったのだ。だから家族連れを見るといちいちそんな記憶と繋がっていて辛くなる。母ときょうだいと3人でお出かけするのはすごく楽しかったけど、帰ったらあいつがいる、と思ってものすごく辛かったのも覚えている。くだらないけど夏休みの子どもたちのおかげで私はまた過去に引き戻されてしまった。でも可愛い。目の前の子たちは、100歳まで生きて、パパとお酒飲むとか言ってる。幸せになってね〜と関係ないお姉さん思ってしまったよ。というか、辛い、くそ思い出しちまった!という感情を抱きつつもその子たちを可愛いと思えてる私も、幸せになってほしいな。もうみんなみんな幸せになってほしいな。生まれてきて今も生きてるだけですごいし偉すぎるからみんな幸せになってほしいな。どんな家庭に生まれようとどんな外見に生まれようとどんな傷を抱えていようと2歳でファンタデビューしていようともうみんな幸せでいてほしい。この世界はなんかおかしい。何がおかしいか上手く言えないけど、生きてるだけで偉いとか思える世の中でもぶっちゃけないけど、もうみんなで幸せになろう。私は今1人だけど、これから電車に乗って大切な人に会う。母に会う。だから私も幸せなんだ。本当はわくわくしている。子どもたちみたいにその気持ちを上手く表現できないけど、私は今、子どもの頃に過ごした夏休みよりももっと安全な場所で息をしている。だから、まあ過去の痛みは許してあげようと思う。

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