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スーダンの子どもたちに思いを馳せる~紛争の一日も早い解決を

プラン・インターナショナル、プログラム部の道山です。
2023年4月15日午前(現地時間)にスーダン国軍(SAF)と準軍事組織である即応支援部隊(RSF)との間で衝突が発生し、ハルツーム市内のいたるところで激しい銃撃戦が発生しました。爆発音が鳴り響いている市内は、緊迫した状態が続いています。また、ハルツーム市内だけではなく、スーダン国内の複数の州でも同様の衝突が発生したとのこと。

私はこの衝突が起こる数日前にスーダン出張から戻ってきたばかりでした。スーダン情勢を報じるニュースを見るたび、親切心にあふれ、ラマダン中で自分たちは水の一滴さえ口にすることなく断食をしながらも、私を笑顔で受け入れてくれたスーダンの人々を思い出します。このような中でも、イフタール(断食後の最初の食事)を楽しそうに囲んだり、病院で無事に出産できた赤ちゃんやそれを喜ぶ人たちの姿などがSNSで流れてくるのをみて、彼らの逞しさを感じたりすることもあります。逆に、ハルツームの路上で物乞いなどをしながら暮らしていた子どもたちは今どうしているのだろうかと不安に思うこともあります。

この紛争が早期に解決することを願わずにはいられません。

情報が錯綜している中、ここ数日間にプラン・インターナショナル現地のスタッフから聞いた話をお伝えします。

「スーダン全域が恐怖と混乱に覆われています。土曜日に衝突が始まったとき、仕事に出かけていた人々が家に逃げ帰る道すがら、いたるところで激しい銃撃があり、厚い煙が空を覆っているのを目にしました。大勢の市民や兵士が殺害されているものの、銃声が鳴り響いている中ではなすすべもなく、路上に遺体が放置されている様子が報じられています。銃撃戦に巻き込まれ怪我を負った人を病院に搬送することすらできない状況です」

「一部の発電所や送電網が砲撃の被害を受け、停電が発生し、断水も続いているそうです。市場や店が閉鎖しているため食料不足も深刻化しています。食料や水を求めて兵士が民家に侵入し、お金や携帯電話を無理やり奪っていったという報告もあります」

「家にたどり着くことができなかった子どもや若者たちは、外に取り残されています。家がなく路上で生活していた子どもたちは、支援を切実に必要としています。このような子どもたちを支援するためにスーダンにいるにもかかわらず、この治安状況では何もすることができません。この状況が一刻も早く改善し、支援を始められることを願っています」

「停電と断水が続く中、携帯電話やパソコンのバッテリー切れを起こさないよう、インターネットや水道、電気をできるだけ節約しながら生活しています。ニュースを見て情報を得たり、銃撃戦が激しい地区に住む同僚の安否を確認すること、遠く離れて暮らす故郷の家族に自分の安否を伝え、精神的に前向きになるよう努めるなど、心身のバランスを取るのが大変です」と不安な思いを率直に伝えてくれたスタッフもいます。(以上、4月17日に届いた話)

4月18日にハルツームから離れた地方にいるスタッフと話をしたときは、その地域では市場も開いており、買物をしたり、仕事に行ったりなど、日常の暮らしを送ることができているという話もありました。冗談をいったり、笑ったり、楽しく会話もできましたが、そのような地域でも、水道が止まっていたり、長時間にわたる停電が続き、車両や発電機に使用するガソリンを調達するために、ガソリンスタンドは長蛇の列になっているとの報告を受けています。

今後の情勢がどうなるのか分からない中で、スタッフの安全を第一に考えると、私たちのすべての活動は一時的に中断せざるを得ない状況です。

この数日で、ハルツームに暮らしていた現地スタッフの一部は、タイミングを見計らって、無事に隣の州に逃げ出すことができたとのこと。いわゆる「国内避難民」となった同僚たち、その家族たちのことを思うと、とても複雑な気持ちになります。

「支援を必要とする人がすぐ近くにいて、また、彼らを支援することが自分たちの仕事なのにそれができない」、「心身のバランスをとるのが難しい」といった現地スタッフの切実な話には、ただただ、「それはそうよね」と強く共感するばかりです。

では、彼らの無事を願う以外に、私にできることは何だろうか。今、遠い日本でできることは、現地で支援活動ができる状況になったとき、速やかにそれを実現させる一助となるための準備くらいはできないだろうか、と思っています。長くスーダンで活躍される日本人をはじめ、今もスーダンで助け合っている人たちに比べると、あまりに小さいことですが、何かできることを考える日々です。

最後にもう一度。この紛争が早期に解決し、暴力に巻き込まれた人たちが適切な支援を受け、一日も早く日常生活を取り戻すことができるよう願っています。