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【絵本】農業で起業を目指す デイシの挑戦(グアテマラ)

プラン・インターナショナルの活動にかかわった現地の女の子のストーリーをお伝えします。(実話に基づいたフィクションです)

illustration by Noriyuki Goto

先住民族のデイシはグアテマラに住む18歳の女の子。父親に「女の子は学校へ行く必要はない」といわれ、小学校を卒業して以来、ずっと家の手伝いをしています。

好奇心旺盛なデイシは、自分でも野菜を育てて売ってみたいと思い、両親に伝えましたが、場所も時間もないと断られました。


illustration by Noriyuki Goto

ある日、デイシは母親から「プラン・インターナショナルが、若者が農業で起業するための起業クラブをつくる」ことを聞きました。

母親は、娘にも将来役立つスキルを身につけてほしいと願っていたので、起業クラブは野菜に興味があるデイシにぴったりだと感じたのです。


illustration by Noriyuki Goto

起業クラブは、グループで計画、生産、管理を行い、売り方も考えるという内容でしたが、メンバーは農業経験のない若者たち。

社会の仕組みも知らなかったデイシにとって、「農業で起業」する計画づくりは、泣きそうになるほど大変でしたが、トレーナーからの助言を受けてなんとか事業としてスタートすることがで きました。


illustration by Noriyuki Goto

まず、デイシたちはトマトを作り始めました。トマト作りは楽しくても、どのくらい作って、どこでどうやって売るか、それを管理するのはとても難しい作業です。

起業クラブではその手順や管理を理解し、記録するトレーニングを行いました。そして試行錯誤を繰り返し、なんとかグループで初めてのトマトを収穫することができました。


illustration by Noriyuki Goto

デイシの暮らす地域では「地産地消」を進めており、トレーナーは小学校の給食にデイシたちのトマトを使ってもらおうと働きかけています。

給食にデイシたちのトマトが使われる日も遠くないかもしれません。

「私たちの野菜をもっとたくさんの人に食べてもらうために、これからも活動を続けていこう!」とデイシたちは意気込んでいます。


■プロジェクトを担当する榎田職員のコメント
 グアテマラの主な産業は農業ですが、多くの人が「儲からない仕事」だと考えています。なぜなら、生産性を高める知識や技術、事業企画や管理を行うためのスキルが足らないうえ、生産者と購入者のネットワークが弱いため、販路を広げにくいからです。
 このプロジェクトでは起業や小規模農業の改善を希望する若者が、農産物生産の技術向上や事業管理のためのトレーニングに参加します。販路拡大のために、農産物の認定証取得や登記の支援、学校への販売促進や購入者との関係づくりなども行います。
コミュニティに建設した農産物出荷センターは、地域の住民にも開放され、コミュニティ全体の農業の活性化も目指しています。

■イラストレーター 後藤範行さんのコメント
お話しをいただいて、毎回描くのが楽しみなのは文化に根ざした個性的な民族衣装です。グアテマラもまた、カラフルな色彩が印象的なのでデイシの衣装は明るいピンクにしました。そしてエプロンにいっぱいのトマトの収穫の絵も紙面が明るくなって気に入っています。