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pierrot
細い綱の上を歩くピエロは
ブリキ色の骨組み天井を見上げては/
青空を羽ばたく夢を見ていた
橙いろのランプ 観衆と歓声/
白い雲 横切る尾の長い鳥
いつか
星のグラス
他に誰もいない
屋上の海原で
君は花火を見ていた
光を受けながら
泣いていた
そのことに気が付いたのは
頬を伝う涙が冷たかったからなのに
世界に誰もいないなら
カクテルグラスの中を泳ぐ星に
願う夜だって
星の軌跡
ひとつの星が重ねた
その軌跡は
幾重にも
気のとおくなるような
もえるように、つよく深い
そのあおを
いつまでも見ていたかった
星に願いを 星は願いを
ひとつの時代に
何回目かの今日が来て、確かにそこにいたことをカレンダーが知らせる
モノクロのフィルムみたいに
擦り減らす景色の中が一年ずつぼやけることに慣れてきて、たしかに君がいたことを考える時間だけ積もる
夜の海を抜ける列車
ざらざらした砂漠で
転んだら痛いのだろうか
吐く息が白く
星も砂も白く
夜がただ深かった
置いていかれたのか
置いてきたのか
どちらかなんて
どうでもよかった
ひとりの紺に 白が霞んでいく
冷え切った信号の先で
右手が渇いた砂漠を探す
深窓の緑の中のまた奥の
水の出ない蛇口と
届かない掌と
抱えても空の四角
空き缶を蹴った足で
ワルツでも踊りなよ
削れた木片の
散らばった床の上で踊る
小さな妖精に
靴をあげたいと思った
窓からさす
月明かりの中で
夜ごと踊る彼女の
小さくくるくると回るたび
少しの木屑が嬉しそうに舞う
この彫刻が出来上がる前に
君のための小さな靴を
綿毛で編んで渡すよ
いつだって遊びにおいで
深淵
日の暮れかけた街の
中心部にある
小さなガレット屋には
川沿いのテラス席がいくつかあった
乾いた風と
オレンジの炭酸
赤いチェックのテーブルウエア
深い色の川には
たくさんの星屑と月が
そのうちのいくつかを
少しばかり拝借して
運ばれてきた皿に乗せ
いつかまた
どこかで巡り合うこともありましょう
相席の
聡明な彼女の一言で
どこか遠くまで
fixed
耳鳴りがしていて
朝焼けがまぶしかった
何もない部屋は
それなりに明るく
白いだけで
手の届かない
窓がひとつ
四角い額
朝
空
夕暮れ
星
雪
午後3時の雨で
部屋は淡く
灰色に沈んだ
静かな音
何もないから美しく
部屋は何色でもあった
そういう部屋を
ひとつ
あなたに