ステーキを下町で
"とつぜん欲望が浮上するときがある。『肉が食べたい!』焼き鳥かと思うのだが、ちょっと違う。なにかこう、ガツンといきたい。白い肉ではなく、赤い肉ーそういうときがありませんか。わたしは、あります。"2013年発刊の本書は下町の特大ステーキから沖縄そばまで。全国縦断の食べ歩きエッセイ。
個人的には色々と落ち着いたら、通販やケータリングではなく、全国の個人経営店の【がっちり食べ歩きツアーをしたい】心境になってきたのでタイトル、表紙に魅力を感じて本書を手にとりました。
さて、そんな本書は豚丼のルーツを探した北海道の帯広から始まり、鹿児島の黒ブタ、青森のりんご、京都の王将etcの合間に"孤独のグルメ"の谷口ジローによる漫画描写もはさみながら【テンポ良く北から南まで食べ歩いていくのですが】
特筆すべきはあとがき解説で江弘毅が『消費者』としてのグルメではなく『生活者』の食通であると評している著者の【情報や評価や査定といったこととは無縁の食事シーンの描写】読みながらお腹ぐーぐー、ヨダレがこみ上げてしまう筆力に感服しました。
また文書を補完してくれる"デザート"としての谷口ジローによるお店での食事を再現した流石の漫画シーンも良いですね。【写真とは違う感覚でこちらも食べ歩きを追体験させてくれる】魅力を感じました。前作として『サンドウィッチは銀座で』もあるようですが。こちらも読んでみようかな?
テンポの良い食べ歩きエッセイ好きな誰かへ。またグルメではなく食通を自称する誰かにもオススメ。
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