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N女の研究

"彼女たちはNPOに行きたかったのではなく、あくまで問題解決の一手段として非営利セクターを選んだ(中略)N女が出現した背景を辿っていけば、現代社会に潜むいくつかの問題が浮かび上がってくるかもしれない"2016年発刊の本書はNPO女性職員たち10名を丁寧に取材、考察したノンフィクション。

個人的にはNPO界隈に長く関わっていることから本書についても手にとりました。

さて、そんな本書はNPOサポートセンターの職員が高学歴や高い職業スキルなど有名企業に就職できる実力持ちながらNPO法人や社会的企業などの【給与の安いソーシャルセクターをあえて職場に選んだ女性】を総称して『N女』と読んでいる事を知り、また実際に友人が外資系IT企業から東北の復興支援をおこなうNPOに転職したのをキッカケに興味をもった著者が、団体の代表ではなく、あくまで労働者としての女性職員『N女』の働き方、生き方を人柄を重視して取材。所属組織に関係なく共通して『行政を当てにしない』『きれいごとを言わない』現実主義者の彼女たちこそが【社会問題溢れる現代日本の希望の芽ではないか】と結んでいるのですが。

まあ、読む前はNPO界隈のカリスマ的人物の宣伝本、割と【意図や結論ありきの本かなあ】と穿った先入観をもっていたのですが。流石はこれまでにも様々な取材をしてきた関高健ノンフィクション受賞作家というべきか。読み始めると【とてもフラットな視線で本音取材している】のが伝わってきて好印象でした。

また『NPOで働く女性』といっても本書に登場するのは実質ボランティアな零細団体ではなく『クロスフィールズ』や『ティーチ・フォー・ジャパン』『ビッグイシュー日本』など、メディア露出も多い有名事業性NPO所属職員の方々なので、流石に大多数のソーシャルセクターで働く中でも【一握りのトップクラスに優秀な方々ばかり】といった印象もありましたが。それでも『キャリアのロールモデル』として、代表や創設メンバーに較べて、あまり【知られていない労働者、職員にスポットを当てた】本書の意義は大きいように感じました。

就職先、キャリアの一つとしてソーシャルセクターに興味がある全ての方々にオススメ。

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