チョコレート・アンダーグラウンド
"『甘いものがない、チョコレートがない。石をのみこんだって感じ。体ん中で、なにかが死んじまったみたいだ』『おまえの甘いものが好きな部分が死んだんだよ』"2004年に翻訳紹介され、メディアミックス化した本書は、ちょっと怖くもユーモラスに、そして最後は勇気を与えてくれます。
個人的には、若手女性書店員の方に『自分にとってのとっておきの1冊』と紹介されて本書を手にとったのですが。流石は元テレビの脚本作家といった所でしょうか【国民すべての健康のために】突然、チョコレートをはじめとする甘いお菓子が禁止されてしまう!そんな奇抜な(ちょっと怖い)アイデアを少年たちとおばさんの爽やかな冒険小説として成り立たせているのが素晴らしいと思いました。
また、部分的には教室での捜査官とのやりとり"『チョコレートバーを忘れていただと!おそまつな言い訳をするんじゃない!笑わせるな!非合法に手に入れたんだろう?闇市場で』"といったやりとりは、どこか私には(別の著者ですが)『23分間の奇跡』(ジェームズ・クラベル著、1981年出版)の異常な緊張感が想起されて、ドキドキさせていただきました。
"自由に乾杯を。正義に乾杯を。そして、みんなのチョコレートに!"
全てのチョコレート好き、甘いもの好きな方はもちろん、あるいは"ちょっと変わった"ディストピア小説を探す人や、若い誰かへのプレゼントとしてもオススメ。
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