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創造的進化

"(認識論と生命論)このふたつが組むならば、哲学に設ける重要な諸問題はいよいよ確実でいっそう経験に密接した方法で解けるにちがいない。"1907年発刊の著者の4つの主著でも代表的な本書は、流麗な文章で、因果や目的ではなく生命は『予測不可能な跳躍』で進化していると提唱した名著。


個人的にはマルサスの『人口論』(その影響を受けたダーウィンの『進化論』)を読むと、やはり?その当時、影響を持った『進化論』を参照にしつつも【更に思索を深めた】本書も読んでおきたい。と手にとりました。


さて本書では、1章で無機と有機のあいだに境界線を引き、2章では同じ対立が知性と本能のあいだにも現れている事を、そして3章では知性と物体の発生から、いよいよ【生命の跳躍】を。そして4章では小哲学史的な振り返りを行なっているわけですが。著者自身は観なかったにも関わらず【登場したばかりの映画を例に使ったり】と丁寧で鮮やかな書きっぷりからは【流石はノーベル文学賞受賞者】と感じたり。

一方で、本書は、意識の流れとしての『持続』を提唱し、『物質と記憶』で論じた【意識と身体についての考察】を生命論の方向へとさらに押し進めたとも言われているわけですが。そういった事を脇に置いても【生命の持つ複雑かつ不可思議な力】を終始肯定している本書からは、仮に一部でスピリチュアルと言われたりしても【希望に満ち溢れている】と爽やかな読後感でした。

哲学好きな方はもちろん、生命の持つ可能性を感じたい誰かにもオススメ。

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