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テツケン

"私は解釈という方法で古典を読み解いていくのが好きです。自分の疑問を著作にぶつけて、その回答を著作の中に探していると、問いを一緒に考えてくれる仲間ができたような感じがするからです。"2020年発刊の本書はキルケゴールを専門にする著者による哲学書をカジュアルに紹介した刺激的な一冊。

個人的には哲学に関しては、難解さを求めるよりまなざしを広げるきっかけ的に思っていることもあり、本書についても手にとりました。

さて、そんな本書は一匹狼的な男子学生の前が"哲学書の解釈を通して考える"解釈論文に悩んでいるところに研究対象であるキルケゴールが出現するところから始まり、同じように【研究対象が『見える』】仲間たちが集まる哲研に誘われたことで、キルケゴール以外にもカント、ニーチェ、レヴィナス、プラトン、ヘーゲルといった学生たちの前に精神体として現れた哲学者達と会話を繰り広げていくわけですが。

哲学者だと、やっぱり『死に至る病とは絶望である』キルケゴールとか『神は死んだ』ニーチェは(キャラクターの立ち位置がアイドルグループのセンターポジション的な存在感があるなと再確認させられるような気持ちになりつつ、一方で解説書というより【会話を通じて読み手自身も考えさせてくれる】ような展開になっているのがとても良かったです。

一方で、物語としては本書ではラスボス扱い?ヘーゲルが姿を見せつつも『まだ、問いが不十分』とフクロウ姿にもどってしまうのですが。せっかく魅力的な学生達も集まってきたところで終わることもあり、引き続き哲学書の紹介はもちろん、学生たちの物語も続きが読みたい様に思われました。(=続編を希望!)

哲学をより良く今を生きるきっかけにしたい誰かへ。また哲学を学んでいる、学ぼうとしている人の気分転換的一冊としてもオススメ。

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