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すべてがFになる

"『ほら、7だけが孤独でしょう?』真賀田女史が言った。『私の人格の中で、両親を殺す動機を持っているのは、私、真賀田四季だけなの(略"1996年発刊、メフィスト賞受賞作の本書はドラマやアニメ化もされた人気シリーズ一作目にして、考えさせられる理系ミステリィ傑作。

個人的には手にとる機会が何度かあったにも関わらず逃してましたが。最近何人かに再プッシュされたことをキッカケにようやく手にとりました。

さて、そんな本書は船がたまにしか訪れない孤島にある天才プログラマーにして工学博士、真賀田四季の研究所にN大助教授の犀川創平と西之園萌絵が足を運んだことから殺人事件が起きるわけですが。

研究所施設など、2020年現在から見ると一部のテクノロジー描写はどうしても古臭く感じる部分もありますが、しかしスマホはおろかインターネットもまだ一般的ではなかった時代に、一方で【VRについて言及し、取り扱っている先見性】にはやはり驚かされました。

また本作の主要登場人物である犀川創平と西之園萌絵コンビ、そして真賀田四季といった3人はシリーズの続編はもちろん、著者の他作品にもしばしば登場しているらしいのですが。特に著者の研究者としての経歴が反映されていると思われる犀川創平と真賀田四季のセリフや2人のやりとりは謎解きを超えて哲学的で。こちらの【洗練された言葉選択】からも人気なのがよくわかるな。と思いました。

離島での密室殺人。という設定にまず惹かれるミステリィ好きな誰かへ。また研究者や研究者を目指している人にもオススメ。

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