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武器としての決断思考

"『答え』は誰も教えてはくれません。となれば、自分の人生は、自分で考えて、自分で決めていくしかないのです。"東大卒、マッキンゼーを経て京都大学で教鞭をとった著者の『意思決定の授業』を凝縮し2011年発刊された本書は、今の最善解を客観から導き出す為に【教養が武器となる事】を教えてくれる。


個人的には『僕は君たちに武器を配りたい』他の著者の所謂【これからの若者に向けて】の読みやすく明快な著書シリーズには、最早若者ではない身としても大いに刺激を受け続けてきたのですが。そんな著者の2019年8月の訃報を知り、驚きと共に確認するかの様に本書を手にとりました。


さて、本書では最初にお馴染みの【武器としての教養を身につけろ】と読者に学ぶ事の必要性を強く刺激してから、模擬授業の様な形式で『議論は何のためにあるのか?』『漠然とした問題を具体的に考える』『どんなときでもメリットとデメリットを比較する』『反論は深く考えるために必要なもの』『議論における正しさとは何か』『武器としての情報収縮術』『決断するということ』と豊富な知識と経験に裏づけられつつも、あくまで平易かつ身近な事例、データを紹介して順番に"講義"を展開していくわけですが。

他の著作も何冊か既読である事、また一応の豊富な社会人経験からの実感として目新しさこそなかったものの、やはり若い世代に向けての"自称『軍事顧問』"【素直に頷かされるばかり】でした。

また、そんな本書を読み進めながら再確認していたのは、とかく【エモい、コスバ】といった自分勝手な感情的、感覚的な考えが脚光を浴びてしまう嘆かわしい時代ですが。少なくとも【現在では多くの人にとって最善と考える民主主義】を支える基礎として、某"朝までダラダラしている番組"的ではなく、教養をベースにした上で、【ちゃんと言語化された議論(対話)と決断の必要性】を教育者や作家の他にも、エンジェル投資家・ 経営コンサルタントとして幅広く活躍しながら座学と実践で伝え続けていた著者の早すぎる死は、やはり大きな損失だと痛感したり。

正解が存在せず、教えてもくれない時代に【どうやって自分で具体的に考え、決断し、行動していくか?】の良書を探す全ての人にオススメ。

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