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屍人荘の殺人

"『葉村君。私は君を口説きたくてこの合宿に誘ったんだよ』『ーは?』予想外の答えにフリーズする。私は宇宙人なんだよ、と言われた方がまだ現実味があったのに。"2017年発刊の本書は著者のデビュー作にして映画化もされた、奇想と本格ミステリが見事にハイブリッドされた一冊。

個人的には最近、ミステリにはまりつつある事から周りの評判の良い本書も手にとりました。

さて、そんな本書は大学のミステリ愛好会の会長にして"神紅のホームズ"明智恭介と葉村譲が、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と曰くつきの映研の夏合宿に参加するためペンションを訪れると、そこで【予想外の事態に外部で巻き込まれる中】極限下の状況になったペンション内部でも密室殺人が起きていくのですが。

最初に思ったのは、やはり、いわゆる外界から隔絶された空間で内部にいる人物が事件を推理、解決する『典型的なクローズドサークル』要素と、全く異質の要素を【よく一緒にすることが出来たな!】という構成の巧みさでしょうか。しかもそれがちゃんと謎解きとして融合していて(特に1人目の殺人)本格ミステリの可能性を【さらに拡げてくれている】ように感じました。

また本書ではメタミステリ的な要素があったり、ある特殊な映画好きへのオマージュのような台詞も登場人物達から語られることで、ミステリ好きや映画好きならニヤリとさせられるのではないかと思われ、特に登場人物の重元光による、わざわざ極限化で【そっち系の映画を鑑賞する姿】には良くも悪くも強い映画愛を感じて、同じ映画好きとして楽しかった。(映画ではバッサリ削られでしまって残念でしたね。。)

本格ミステリ好き方や、予想外の展開をする物語が好きな人へオススメ。

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