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劣化するオッサン社会の処方箋

"本書では『劣化するオッサン社会の処方箋』をつらつらと述べてきましたが、最もシンプルかつ重要な処方箋は、私たち一人ひとりが、謙虚な気持ちで新しいモノゴトを積極的に学び続ける、ということになると思います。"2018年発刊の本書は100年時代。年を重ねても学び続ける必要性を提唱している良書。

個人的にはコロナ禍でさらに目立つ様に感じている『公共の場でささいなことに激昂して暴れたり騒いだりするオッサン』について自戒を込めて考えてみたい。と本書を手にとりました。

さて、そんな本書は『世界のエリートはなぜ"美意識"を鍛えるのか?』でビジネス書大賞2018準大賞を受賞した著者が【古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する】【過去の成功体験に執着し、既得損益を手放さない】【階層序列の意識が強く、目上の者に媚び、目下の者を軽く見る】【よそ者や異質なものに不寛容で、排他的】といった(年齢や性別一括りというより)"ある種の行動様式・思考様式を持った『特定の人物像』を『オッサン』と定義し【なぜオッサンは劣化したのか?】の説明から始まり、人生100年時代。人生のピークが長くなる一方、年を重ねたからといって【無条件に尊重されなくなる】社会で、謙虚に学び続ける必要性を述べているわけですが。

まず、著者が1970年生まれ。と割と年代が近いこともあって、50代〜60代の重職を独占する世代を『大きな物語』(いい大学→大企業=一生安泰幻想)の喪失以前に社会適応してしまった"最後の年代"(教養のない)『知的真空世代』と位置づけ。多くの組織で、その実行部隊として『収入に直結するコスパ重視』の『実学世代』が下で支える構造自体が『歪み』として日本企業が【変化を起こせないダメ企業ばかり】になった理由。との俯瞰的な指摘には『組織人の一人』として、共感しかなかった(笑)

一方で本書は割と淡々と、中堅・若手にはオッサンに『対抗する武器』として、オピニオンとエグジット。つまり(それでも)『指摘する正しさと(無理なら)脱出』をすすめつつも。やはり力点としては中高年が単に年を重ねただけでは【社会変化の速さ】【データベース化の普及】【長寿化】により尊重されなくなっていく中、それを受け止めて『中高年は謙虚に学び続ける必要性がある』事への指摘の方に多くのページを割いていることから。挑発的なタイトルに煽られずに中高年にこそ、手にとって欲しいと思いました。

すぐ暴れたり騒いだりする『オッサン』に日頃から困らされている人へ、"異生物理解"の一冊として。また、自身は『オッサン』になっていないだろうか?と不安になっている中高年男性にもチェック的にオススメ。

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