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三体II 黒暗森林(上)

"面壁者は、人類史上もっとも困難な使命を担うことになるでしょう。彼らは全世界、全宇宙に対して心を閉ざし、真に孤独な存在として任務を遂行します。唯一コミュニケーションの相手となり、精神的な支えとなるのは、自分自身です。"2020年国内発表の本書は、中国発の世界的大人気SFの動き出す第ニ部(上巻)

個人的にはようやく!と首を長くして待っていたこともあり、待望の思いで発売日に手にとりました。

さて、そんな本書は第1部で明らかになった驚異の技術力を持った異星文明『三体世界』から派遣され四百数十年後に到着する侵略艦隊に立ち向かうために地球人類が発動した『面壁計画』に選ばれた4人、中でも前作の天体物理学者、葉文潔(イエ・ウェンジエ)から"宇宙社会学の公理"バトンを渡された羅輯(ルオ・ジー)を中心に物語が展開していくわけですが。

まず、漢字だと日本人女性の名前になる智子ことソフォンという【表面上のことは全て筒抜けになる】異性文明による監視下に対抗する『面壁計画』というアイデアに驚きつつ、謎めいた前作より【対異性文明に対して直接的に動きだした】展開にわくわくしました。

また、より大きな展開は冷凍睡眠明けの下巻に期待するとして、前作から引き続きの頼れる男、史強(シー・チアン)の登場に安堵しつつ、夢の中の美女、荘顔(ジュアン・イエン)や暗躍する中国海軍の章北海(ジャン・ベイハイ)といった【新たな登場人物がどう物語に絡んでくるのか?】とても楽しみです。(しかし、田中芳樹の『銀河英雄伝説』アシモフの『ファウンデーション』にも著者のSF好きが確かに感じられて、ついニヤリとしてしまいます)

(前作を読んでいる事が前提になりますが)スケールの大きなSF作品を探す方へ、またアジア人作家として初めてSF最大の賞、ヒューゴー賞を受賞した中国SFの魅力を知りたい人にオススメ。

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