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ロートレック荘殺人事件

"『ついにあの別荘、ロートレック荘という呼び名がついたらしいぜ』運転席の工藤忠明がわらいながら言った。おれは唸った。"1990年発刊の本書は、著者の多才さを存分に感じさせる郊外の瀟洒な洋館を舞台に殺人事件を描いた叙述ミステリ。

個人的に著者のファンである事、ミステリにハマっている事から本書を手にとりました。

さて、そんな本書は研究者や画家として将来を約束された青年達、美貌の娘たちが集まった洋館で連続殺人事件が起きていくわけですが。

約200ページ前後とボリュームも少なく、また登場人物が限られていることからミステリとしての犯人探し自体は容易ではあるも【叙述トリックを成立させるための隠蔽工作】に関してはよく考えられていて、本書内での犯人のページ数指定の解説(これまた珍しいのでは?)には唸らされました。

また、そこまで深い【関連性や必然性は正直感じられませんでしたが】作中にわざわざカラー絵で紹介されるロートレック作品達については、美術好きな1人としてこちらはこちらで単純に楽しませていただきました。

サクッと読み終えることができるミステリを探す人、美術好き、ロートレック好きな方へオススメ。

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