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完本 仏像のひみつ

"この本を、いつでもそばに置いていただけるなら、お寺や博物館で仏像に出会い、鑑賞するのが、そして仏像のことを考えるのが、とても楽しくなるのを約束します。"2021年発刊の本書は、仏像ブームの一翼を担った2006年発刊の正編に続編を合わせた読みやすい解説書にして『最強の仏像本』。

個人的には、寺社仏閣巡りにはまっていることから鑑賞のお供に手にとりました。

さて、そんな本書は元東京国立博物館館長(現鎌倉国宝館長)の著者が、最後に担当した展覧会『親と子のギャラリー 仏像のひみつ』を2006年に書籍化し好評を得た『仏像のひみつ』に2008に出した続編『完本 仏像のひみつ』を合わせ、さらに新たな内容を書き足し『完本 仏像のひみつ』としたものなのですが。

まず、著者による【専門用語を徹底的に廃した平易な解説】そして、この本がキッカケで仏教や仏像の依頼が尽きることがなくなった川口澄子の【仏像世界を見事に視覚化したイラスト】は素晴らしく。私自身の理解が深まったのは当然として、別に人前で美術史の解説をさせていただく機会が定期的にあるのですが(美術史講座『具体大学』)特に【飛鳥〜室町時代は仏像が熱い】と話してきた中で、ようやく【受講者にオススメできる入門的解説書】を見つけた感覚があって、とても嬉しかったです。

また、宗教的行事としてはもちろん、感覚的、あるいはインスタ映え的にお寺参りや仏像巡りをするのも『それはそれ』として楽しみ方の一つだと思うのですが。それでもやはり、本書で解説してくれている【仏像の名称の意味や配置、造り方による印象の違い、やせたり太ったりの変化、着衣や色、仏師etc】などを知った上だと、さらに親しみが持てるのは(個人的には)『間違いない』と思うので、ぜひ多くの人に手に取って欲しいと思いました。

仏像好き、日本美術史好きな方の入門書として。また、日本人にとって日常的な存在である仏教理解の一助としてもオススメ。

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