観光開発センターのファミリートリップでバクリュウ省とソクチャン省へ
「観光促進の為には、まずは自分自身が現地に行って体験することが大事。だから、できるだけ多くの場所へマミを連れて行ってほしい」そう最初の赴任の際に担当の方が配属先である観光開発センターの局長に伝えてくれていた。それからというものの、本当に週2、3日のペースで、他の省から招待頂いたり、観光局のブース出展だったり、旅行博であったり、セミナーであったり、カントー市内の観光地や数多くのホテル、レストラン、路面店を視察、案内してもらうだけでなく、メコンデルタの各省を周り、それぞれのエリアの特徴、実情、人々、特産品などを自分の目で見る機会を頂いている。
そもそも、この「現場主義」の感覚は、何も私が観光開発センターに配属されたから作られたものではないと感じる。もちろん、いろんな場所へ行くことを推奨されるし、日本から来ているということだけで人民委員会や経済紙の方々からセミナーやワークショップにご招待頂くこともある。
ただ、観光開発センターの方々は、私を社員の一員として、そして時には外の視点を持ったアドバイザーとして、同じ目線で同じビジョンに向かって日常を過ごしている。それが、私にとってどれだけ居心地がよいことか。
数日前に「こんどの土曜日はバクリュウ省へ行くよ」と言われる。いつもながら突然なのだが、これには慣れた。土日は、「食べる、読む、書く、寝る」のどれかしかほぼ予定を入れていないから、旅への準備はいつも万端だ。「朝、5時出発ね」と。これにも、慣れた。
7月20日朝5時、まだ外は暗いのだが、近所の公園は早朝から運動する人々でにぎわっている。なんて平和なのだろうか。観光開発センターの前には、30人乗りくらいの大型バスが停車していた。みんな、同僚や友人、家族を連れている。確かに、日本にいたときも外資系企業ではファミリーディがあったなぁと思い出した。会社は家族を中心としたコミュニティのはずなのに、いつの間にか会社と家庭は分断されてしまったように感じる。
さて、前置きが長くなってしまったが、今回は、この職場主催のファミリートリップで行ったバクリュウ省とソクチャン省について紹介する。
今回、バクリュウ省観光局、観光開発センター同僚、家族、総勢20名程でバクリュウ省のNhà hát Cao Văn Lầu (劇場)、洋上風力発電所、Quan Âm Quan Âm Phật Đài Phật Đài (仏教寺院)、そしてメコンデルタの民謡界でも特に有名な故Cao Văn Lầu氏の名前がついた博物館などを訪れた。
1.メコンデルタの場所紹介
そもそも、今いる場所はベトナムのメコンデルタ最大の都市であり中央直轄市であるカントー市。メコンデルタは、ベトナム南部のメコン川支流周辺のエリアの総称。(地図上の青ペンで囲った場所)
そのカントー市は、地図上で一番上の青ペンで囲った場所にあり、グーグルマップでマークを付けすぎて「カントー」の名前が埋もれている。今回は、メコンデルタにある12の省のうち、2省のバクリュウ省(カントー市内からバスで3時間ほど)とソクチャン省へ。
バクリュウ省に関しては、事前にほとんど調べられておらず、同僚に聞いても「Ancient Houseが多い」とか、「エビが有名」とか、あまり特徴的なことは言っていなかったので、正直ほとんど期待もせずただバスに揺られていたけど、数か所をめぐって「面白いやん!」と思った。
一番最初に訪れたのは、Nhà hát Cao Văn Lầu (音楽劇場)。
ここが面白いのは、屋根の部分がノンラーになっていること!ノンラーはベトナム人がかぶっている帽子で、すごく印象的な建築だった。
南部民謡楽器が街のイメージ!
次に訪れたのは、バクリュウ省の洋上風力発電エリア。
一般の人々も、歩いていける。
実は2012年に設置されていたものだが、私自身、このベトナムで国内初となる洋上風力発電所がメコンデルタにあったということは今回の旅で初めて知った。バクリュウ省の台風等の自然災害を受けにくい土地柄、国内初の風力発電所が60機程設置されている。基地に到着したとき、青空が広がり、いくつも発電機が遠く洋上に建っており、その周辺を歩くだけでも気持ちがよかった。
メコンデルタ民謡で有名な故Cao Văn Lầu氏の名前がついた博物館
派手なノンラーが!
Đờn ca tài tử Nam Bộはベトナム南部の民謡音楽で、UNESCOの重要無形文化財にも登録されている。
最後に訪れたのはQuan Âm Quan Âm Phật Đài Phật Đài (Buddha Temple Ba Nam Hai)。広大な敷地内にある仏教寺院!
お供え物は果物や食物が多い。全てがカラフルだ。
その後、バクリュウ省の観光開発センターの方々からランチ会に招待頂いていたので、レストランで食事を頂く。
バクリュウ省と日本・長崎県が姉妹都市提携を締結していたこと、バクリュウ省の観光開発センターは8名で運営され、カントーのように管理部や広報部などと分かれておらず、今は主に国内観光者向けの観光資料やレポート作成、広報を担当していること、なぜか自分と写真を撮影したがる人々が多いこと(笑)、今後の日本でのTourism Expo出展に向けてのアドバイスを求められていること、メコンデルタ全体で広報をしていく必要があることなど、やはり会って話をすることで実感できる内容が多かった。知らなかったが、バクリュウ省と長崎市は姉妹都市提携を数年前に締結していたらしい。「姉妹都市提携」と言っても、どのような分野で何を目的に締結されたのか詳しく聞いてみたが、あまり具体的な回答が得られなかった。国家間だけでなく、今後もハイフォンと四日市市のように都市間の締結や協働は増えてくるかと思うが、「締結」をゴールとせず、一般市民にも交流の効果や実感が得られるような情報共有と経過報告が必要だろうなと思った。
「外国人観光客を、ぜひバクリュウ省へ!」と言われたものの、「まずは私には目の前のカントーという場所があり、そこからの人々の導線が必要だと考えているので、私には私ができることを優先してやっていきます!」と伝え、全員写真を撮影して別れた。
最後にお土産を購入して、カントーに戻る。
日々、同僚達には感謝しかない。私はひたすら、大好きなこの場所をより多くの大好きな人々に知ってもらい、訪れてもらうことが使命でもあり誇りだ。
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