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ベトナム・カントー市にある国際病院で予防接種を受診し、その際に見た日越の協力関係

ベトナムに来て半年以上が経ち、前回の予防接種から期間があいていたので年内に受診しなければいけなかった。ホーチミンやハノイには日本語を話すスタッフの方々や日本人対応に慣れているクリニックや病院が多い中、私は今いるカントーで受診がしたかった。理由は、もし今後何かあった際に「以前行った慣れ親しんだ病院」という場所が、住んでいる場所に欲しかったから。

病院というものは、普段は行かない場所で、それが海外となると、緊急時に余計に不安になる。

それと、単純に自分が大好きな街にある公共施設は、どこでも一度は訪れてみたいという、興味本位からだった。

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カントーには、Phuong Chau International HospitalとHoan my Hospitalという割と大きな病院があり、外国人対応も可能ということだった。Phuong Chau Internaional Hospitalは以前バイクで目の前を通ったことがあったので、立派な外観と緑豊かな環境に惹かれPhuong Chau International Hospitalに行くことに。

ここは、もともと産婦人科専門の病院で、訪れた際も小さい子供を連れたご家族が多かった。

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壁一面にカラフルな装飾が施してあって(院内は撮影禁止)、中庭には緑豊かな公園とレストランがあってとても解放感があった。

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正面玄関から入ると、受付がある。ここに置かれている機械で整理番号を受け取った後、順番を待つ。

私は、日本の総合病院ですら、最後に行ったのがいつだったか、あまり思い出せない。でも、これだけ解放感がある病院は、人生の中でも初めてかもしれない。病院に来て「わくわく」する感情というのは、不思議なものだ。

そして、ここは本当にさすがベトナム!!と思うが、パースワード不要の病院WiFiがある。とても助かる。そして、病院こそ、WiFiが必須だと思う。

番号が呼ばれ、「この予防接種を受診しに来ました」というと、とても英語が流暢なスタッフの方が笑顔で「私についてきて来てください」と、非常に迅速な対応をして下さった。最初に血圧検査をおこない、ほとんど待ち時間がなく、医者の健康診断に呼ばれた。

「Mami」と医者から呼ばれた。院内に響き渡る。子供たちが笑う。(多くの国でMamiは「お母さん」の呼び名だ)医者は、簡単な問診を行い、「すごい!ベトナム語を話すのか!」といつもながら、とても豪快なリアクションをしてくれる。病院の解放感とここの人々のおかげで、病院に来る前の私の不安は、一気に吹き飛んだ。

総合病院なので、棟がいくつもにもわかれていて、ワクチン接種専門の棟に行く途中に、素敵なデザインの薬局を見つけた。

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店員さんが「日本のキショウカイとの協力関係を結んでいて、ここの薬局に置いてある商品の80%以上は日本のです」と教えて下さった。長崎のかすてら、インスタントの味噌汁、裁縫セット、オムツなど種類が豊富だった。中庭の近くにあり、太陽の日差しが眩しい。いつオープンしたのかと聞くと、なんと「この薬局は2か月前にオープンしたんです」とのこと。

私はカントーに住んでいるということ、カントーの病院には初めてきて、予防接種だけだったけどこの病院の解放感が素敵だと思ったこと、キショウカイは知らないけど帰って調べてみることなどを伝えた。「ありがとう。予防接種でなくても、また来てくださいね」と笑顔で見送ってくださった。

目的だったワクチン接種も一瞬で終わり、接種30分後に再度体温を確認して問題無かったので中庭にあるレストランで友人と朝食を。

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ベトナム人の友人も「ここの病院は、サービスの質が良くて、とてもきれいだから、ベトナム人にとってもとても人気」

と言っていた。レストランで食べた海鮮もとても美味しかった。

病院に到着したのが7時20分頃。終わったのが8時30分頃だったので、所要時間は1時間ほどだった。土曜日の朝。病院には多くの人々が訪れていた。

「病院」とはいえ、なんだろう、大きなショッピングセンターのような、子供たちの笑い声(予防接種のときは泣き声)が響き渡る、賑やかな、それでいて順番等のシステムが整っていて、プロの対応をして頂ける素敵な場所だった。日本にも、もっと、街に開けた「病院」が必要なんじゃないかとも思った。

帰って「キショウカイ」のことを調べていると、すぐに日本法人の葵鐘会のことが出てきた。そして、2019年6月に、カントー市で葵鐘会、フーンチャウ国際病院、IVFジャパンの3者間医療支援覚書の調印式が行われていたことも知った。

「不妊分野において医療技術や知識の向上を目指し、支援していくことで合意し、覚書を締結しました」「当会は産婦人科・小児科新生児部門においても、メコンデルタ地域の周産期医療に貢献できるよう、継続して医療そして経営支援を行っていく方針です」とあり、日本にいてはわからない、日本の医療分野の大きな貢献と活発な医療連携にここカントーで出会うこととなった。

専門家の方に、この日の出来事を話すと

「日本の大学や病院のベトナムへの進出や技術協力は進んでいますね。フーンチャウ国際病院には、名古屋大学の医学部を卒業した医師もいて、大学側も積極的に留学生を受け入れたり途上国への医療協力を実施しています。愛知だけではなくて地方の病院も独自で病院との連携を強めている所もあります。大使館からもらった資料によると医療分野の日越協力は大体170件近くあります」

とのことだった。

同時に、今回の病院受診を通して、改めて医療分野で、特に海外で活躍されている日本人と、日本で活躍されている外国人の方々を尊敬した。緊急じゃなくても、予防接種でも、一利用者にとって「病院を訪れる」ということって結構ハードルが高くて、できれば人生で行く回数を減らしたい。そんな、若干暗い(?)気持ちで向かっていた朝だったけれど、日本とベトナムの連携を知ったり、素敵な医者や看護師さん、スタッフの方々に出会えたり、明るい解放感のある病院のデザインに感動したり、なんだか「得した」受診だった。

葵鐘会の問い合わせフォームから、御礼と今後のご活躍に対する祈念のメッセージをお送りした。

国内外の病院に勤めている方々や、医療分野で働いている方々、とても大変で責任重大なお仕事だと思いますし、日々の業務に追われるかもしれません。ただ、皆さんのお仕事は、人間の「源」を支えている、無くてはならないものです。とりわけ異国では「言語」や「笑顔」の重要性を改めて痛感する出来事でした。ベトナムの、それもカントーという地方都市にて、このような質の高いサービスを受けられるのは、日本の医療従事者が技術移転や教育に真摯に向き合い、ベトナムの医療従事者の熱心な学びと実践、そんなお互いの日々の業務の積み重ねによるものだと思いました。

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