私の働き方

はじめに

という記事を少し前に書いた。
人間性の回復のためには、その受け皿として、
レイ・オルデンバーグがいうようにサードプレイス(家庭でも職場でもない場所)がそれを担うかもしれない。

資本主義による競争の激化の影響も手伝って、ライフワークバランスは崩れて久しく、事実上の家庭崩壊のようなものも起きている家庭もある。
亭主関白をきどった男性の居場所は実は職場や家庭にもない。
定年退職を迎えた人がお疲れ様を言われるのは家族でなく、社交場かもしれない。
そうした(ある意味低レベルの)社会の様相もあるのかもしれないが、
それとは別の意味で、職場の変化ということに今日は焦点をあててみよう
いわゆる、大会社時代の終焉でなく(変容)というテーマである。

資本主義の変化

資本主義システムは市場拡大を特徴としている。
たとえば、飲食店のバイトの賃金は毎年上がっていくが、
この分を料理の代金に上乗せするわけにもいかない。
経営側はときとして拡大戦略、すなわち、新店舗を増やし、新規採用をかけていく路線を余儀なくされることもある。
でもこれが右肩上がりというわけにはいかないリスクも背負う。
拡大・成長、イノベーションの連続という生産効率をいくらあげても
閉塞感は伴うものである。

これにより、次のような問題が生じてきている

1.伝統的家庭の崩壊

経済合理性の追求により、人々は労働のために都市部に移動して、家族単位が縮小された(実家という権能をもつ家は減少した)。日本での核家族化、共働きの一般化はその現れである

2.コミュニティの喪失

経済手効率化のあまり、地域社会での絆は弱まる傾向にある。

3.社会的不平等の拡大

資本主義の発展により、富の偏在や機会の不平等は顕著になってきた。

サスティナブル資本主義

前項の問題に対応するため、サスティナブルや新しい資本主義が提唱されてきた。
1.成長と分配の好循環
  経済成長の果実を社会全体で分配する仕組み
2.社会的共通資本の構築
  公共財やインフラ、教育の充実
3.DXとGX
  技術革新と環境保護の両立

このため、株主至上主義を脱却し、より広範なステークホルダーの利益を考慮する経営モデルが提唱されてきた。
この変容は、非正規雇用の増加、リスキリングの必要性、年金制度の財政確保の課題などの問題をもたらしている。
その中で
1.フラットな組織構造
 上司と部下の関係を柔軟にとらえ、階層を減らしたフラットな組織構造への移行が進んでいる。

2.プロジェクト型組織
 固定的な部署でなく プロジェクトごとにチームを編成する柔軟な組織形態も増加傾向にある。

3.雇用形態の多様化
 ・多様な雇用形態との共存:正規社員、契約社員、フリーランス、パートタイムなどさまざまな従業員が協働する環境が一般的になっている
 ・評価制度の公平性:雇用形態にかかわらず、能力や成果に基づく公平な評価システムんの構築が求められている
 ・キャリアパスの多様化:非正規・正規の転換や複数企業での並行就業など多様なキャリアパスの選択肢が広がっている

4.ワークライフ・バランスの実現
 ・フレックスタイム制: 従業員が自身の生活リズムにあわせて勤務時間を調整できるよう制度の導入
 ・テレワークの普及:在宅勤務やサテライトオフィスなど場所にとらわれない働き方が一般化している
 ・ワーケーション:休暇地での仕事と休暇を両立を図る
 ・労働時間の見直し:職務内容を明確化して成果で評価する雇用形態の導入により、時間に縛られない働き方が広がっている
 ・副業の推奨:複数の仕事を持つことに慣用になってきたことと、個人のスキル向上や自己啓発を促す多様化が図られている
 

ラディカルにとらえる(私の働き方)

 私が大学を卒業した頃、終身雇用と年功序列の概念はまだ生きていた。その時代の流れに乗るべく大学教育を受けたが、実際には既にそのキャリアパスのハシゴは失われていた。しかし、その現実に気づくのに時間がかかった。

総務部門での業務経験は、この変化を目の当たりにする機会となった。60歳で定年を迎えた社員を嘱託として再雇用する手続きを担当し、従来の雇用システムの限界と変容を実感した。

この経験から、一つのキャリアだけでは生き残れないという認識を持つようになった。そこで、キャリアチェンジを決意し、実行に移した。同時に、収入の多様化を図るため、飲食店経営などの副業にも挑戦した。これらの取り組みは、当初は順調に進んだ。

さらに、従来の組織形態を超えた新しい働き方を模索し始めた。DAO組織の構想や、会社という概念の終焉について考えを巡らせた。また、海外移住やFIRE(Financial Independence, Retire Early)といった選択肢も検討した。振り返れば、これらの思考は時代を先取りしすぎていたかもしれない。

しかし、投資家を目指したり、社会変革のための活動を始めたりする中で、徐々に困難に直面するようになった。起業自体は難しくなく、グローバルな展開も思ったより敷居が低いことは理解できた。だが、自分の適性とのミスマッチを感じ始めた。

これらの経験を通じて、自分の限界と強みを認識するに至った。単純に言えば、大きな変革を起こすための根性が自分には不足していることを自覚した。しかし、この認識は必ずしもネガティブなものではない。むしろ、自分の適性を理解し、それに合った方向性を見出すきっかけとなった。

現在は、フリーランスとして働くことを選択し、定年という概念を自ら排除するというシンプルな対応を取っている。これは、自分の強みを活かしつつ、変化する労働環境に適応する方法として有効だと考えている。

同時に、自分には向いていないと感じた分野については、より適任者とのネットワーキングを模索している。これは、自分の限界を認識しつつも、重要だと考える社会変革の実現に間接的に貢献する方法だと考えている。

結局のところ、私の経験は、急激に変化する労働環境に対する一つの適応の過程を示している。試行錯誤を重ねながら、自分に合った働き方を見出す journey は、多くの同世代の人々が経験していることかもしれない。重要なのは、変化を恐れず、自己理解を深めながら、柔軟に対応していく姿勢を持ち続けることだ。


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