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【第5回】再生医療(幹細胞治療)を受ける上で大切なポイント②

第4回に引き続き、第5回でも再生医療(幹細胞治療)を受ける上で大切なポイントについてご紹介させていただきたいと思います。
第4回では投与する幹細胞の品質と数について説明させていただきましたが、第5回ではその他のポイントについて説明させていただきます。

幹細胞治療を受ける上で大切なポイント③
【③リハビリテーションの併用可否】

整形外科系の疾患や神経系の疾患への治療を目的として幹細胞治療を受ける際、リハビリテーションの併用は必要不可欠です。
慶応義塾大学のグループ研究の内容を一部引用させていただきますが、当該研究では慢性期重度脊髄損傷モデルマウスに対して以下の治療効果の比較研究が行われました。

  • 幹細胞投与+リハビリ併用

  • 幹細胞投与単独

  • リハビリ単独

幹細胞の生着率についてはリハビリの有無による差はありませんでしたが、幹細胞投与単独では脊髄の伝導性や歩行中枢を活性化させる効果が見られ、リハビリ単独では運動コントロールの改善が見られました。
幹細胞投与とリハビリを併用したマウスには、これらの効果に加え、神経細胞へ分化する幹細胞の増加や、歩行中枢での新しい神経回路の強化の相乗効果が見られました。
当該研究は、神経幹細胞を用いた研究結果ですが、現在多く臨床応用されている脂肪由来幹細胞を用いた治療においても、その効果を最大限に引き出すためにはリハビリテーションが重要であると考えられます。今回取り上げた研究の対象は脊髄損傷でしたが、脳血管系の障害の後遺症治療や整形外科系でも同様です。
幹細胞で新生または修復した箇所を正しく運動させ、機能させるためにリハビリテーションは重要な役割を果たします。
整形外科系や神経系の疾患への治療を目的として幹細胞治療を受ける方は、充実したリハビリテーションを行える医療機関での治療をお勧めします。

幹細胞治療を受ける上で大切なポイント④
【④組織採取の方法、箇所】

続いて4つ目のポイントは、使用する幹細胞の培養のための組織採取の方法と箇所です。
現状、多くの医療機関で行われている組織採取の方法は2種類あります。

  1. 脂肪吸引法

  2. ブロック法

脂肪吸引法では、組織採取に伴う患者様の負担が大きくなってしまうのに加え、採取した組織は崩れてしまい、その後の培養に悪影響を及ぼします。
ブロック法では、組織採取に伴う患者様の負担を最小限に抑えることができ、傷もほとんど残りません。さらに、組織を破壊せずに採取できるため、その後の幹細胞培養において高品質な細胞培養が可能です。
より高品質な幹細胞投与を行うため、またご自身の負担を最小限に抑えるために、組織採取の方法も幹細胞治療を受ける上で大切なポイントの一つになります。

幹細胞治療を受ける上で大切なポイント⑤
【⑤治療回数】

続いて5つ目のポイントは治療回数です。
自由診療で非常に高額なことが課題の一つとされる幹細胞治療ですが、治療回数も治療効果を引き出す上で非常に重要なポイントです。
治療回数が多ければ多いほど症状の改善に期待ができますが、個人差が非常に大きいことも事実です。
ごく稀ではありますが、1回のみの治療で一人での歩行が困難だった患者様が一人で走れるようになったケースもあれば、逆に10回行っても全く効果がない患者様もいらっしゃいます。

しかし、私が見てきた患者様では、間違いなく治療回数が多い方が改善レベルが高い傾向にあります。

以上5つが私の考える幹細胞治療を受ける上で大切なポイントです。

「患者様ご自身の努力が必要」

最後に、私が治療を検討している患者様にお伝えしたいのは、「再生医療は夢の治療ではなく、目標を達成する治療」であるということです。
ここでいう目標とは、歩けなくなってしまった方が再び歩けるようになるとか、全身の感覚を取り戻すとか、所謂完治を指すものではありません。
日常の小さな悩み
最低限一人で生活できるようになりたい、排泄の感覚を取り戻したい、社会復帰したい、どのようなことでもいいです。それを持って治療に臨むことが大事です。
そして、その目標を達成するためには、患者様自身にも努力してもらわなければなりません。目標達成に向けた強い気持ちと、それを叶えようとする努力があって初めて目標達成に近づきます。

私が実際に見てきた患者様の中でも、脊髄損傷や脳梗塞の後遺症治療の患者様でも、不自由な体を一生懸命に動かして毎日リハビリセンターに通い、一生懸命にリハビリを行っている患者様は効果の出方が違います。
その良い例が、第2回、第3回で紹介させていただいた患者様です。
彼らは諦めずに幹細胞治療とリハビリに励み続けているからこそ、寝たきりの状態から意思疎通ができるようになったり、排泄障害が改善したり、大好きなゴルフをまた始めることができたのです。
時折、幹細胞治療とリハビリを併用して行った患者様の治療症例を見た幹細胞治療アンチドクターが「それは幹細胞治療の効果ではなく、リハビリの効果だ」と言うことがあります。極論、患者様の状態が良くなれば、幹細胞治療で良くなろうがリハビリで良くなろうが、私はどちらでも構いません。双方に真剣に取り組めば、その先にある希望も大きくなります。


再生医療という言葉から万能治療のようなものを想像し、夢を膨らませた方も少なくないかと思いますが、治療効果には個人差が大きく非常に高額であるにも関わらず治る確証もない治療です。
それでも、幹細胞治療がもたらす症状の改善は多くの患者様の希望の光です。
諦めずに、一緒に頑張りましょう。
いつか必ず、立って歩ける。



第4回、第5回と幹細胞治療を受ける上で大切なポイントについて説明させていただきました。再生医療(幹細胞治療)を検討している患者様は、上記ポイントを抑えた上で長期的に「一緒に頑張ろう」と手を取ってくれる医療機関で治療を受けることをお勧めいたします。

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