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エッセイ

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2020年4月の記事一覧

記憶に溶けていきそうな夜

記憶に溶けていきそうな夜

玄関を開けると、母がランタンを持って佇んでいた。

初夏の匂いがする。
この匂い、東京では決して嗅ぎえない。
だから、正確には初夏の地元の匂い。

母のそばに駆け寄り、歩く。
時々たわいもない言葉を交わす。黙ることもある。

空。やっぱり地元の空は一味違う。
青と紫を溶かしたような色。
西の空にはまだ明るさが尾を引いている。東の地平線近くは闇が迫っている。
巨大な雲が、その隙間から模様を描いて

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