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中国のシェア自転車事情

はじめての投稿は中国で盛んなシェア自転車について書くことにする。

日本でもドコモやソフトバンクが提供しているシェア自転車があるので見たことがある人が多いかもしれない。しかし、中国のシェア自転車は日本のそれとは一線を画している。東京で仕事をしていたころ、会社の目の前にシェア自転車のポート(貸出・返却できる場所)があったため、パートナー会社の人がこちらに来るときにこれをよく利用していた。彼ら曰く、電車だと遠回りになるので自転車の方が早いとのこと。一度使ってみたいと思ったものの、使い方もわからないし、ポートも少ないので、結局トライしないまま東京を離れた。

中国では驚くことに自転車に乗っている人の8割程度(個人の肌感です)がシェア自転車に乗っている。今回はその理由となる中国のシェア自転車の特徴と使い方についてシェアしたいと思う。


特徴①:スマホ一つで利用できる

中国のシェア自転車はスマホのアプリで本人認証を行えば、利用できる仕組みになっている。そもそも中国ではモバイル決済が主流になっており、ほとんどすべてのサービスがWeChat Payやアリペイといったモバイル決済サービスで決済することができる。このシェア自転車も然りである。モバイル決済サービスとシェア自転車のアプリが連携しているため、クレジットカードの登録など煩わしい作業は不要なのだ。最も、外国人の場合は本人認証のためパスポートの提示が必要であるが。ただ残念なのは、このようなモバイル決済サービスは中国の携帯番号と銀行口座が必要なため旅行者は利用できないという点だ。(ただしアリペイツアーという旅行者向けの決済サービスは日本のクレジットカードでも利用可能だ。しかし利用範囲が限定的であるためシェア自転車やネットショッピングなどのサービスは利用できない。)


特徴②:どこでも借りれて、どこでも返せる

まさに、「私、今自転車に乗りたいの」「もうここで乗り捨てたいわ」なんていうわがまま極まりない我らのニーズにどんぴしゃなシステムである。これは一体どういうことなのかというと、”発想の転換”である。日本のシェア自転車は貸出・返却できるスペースを設け、そこを拠点に利用者が自転車をシェアするというものだ。その一方で中国では駐車禁止区域だけを決め、それ以外の場所ではどこでも貸出・返却ができるというものである。これは特徴①で挙げたスマホが鍵を握っている。そう、GPS機能だ。スマホのGPS機能で利用者の移動距離と移動場所、時間をトラッキングしているため、どこで自転車が返却されたかを管理することができる。加えて、利用料金の計算もできるというわけである。返却場所がトラッキングされているのでアプリを開くと自分の近くに止めてある自転車が地図上に表示されるのでそこから好きな自転車を選び、駐輪禁止区域以外の場所に乗り捨てて完了である。といっても、ちょっと笑ってしまうくらいそこら中にシェア自転車がとめまくってあるのでわざわざアプリで探す必要はないのだが。


シェア自転車の種類

中国にはいくつかシェア自転車がある。青はアリババ支援のHello bike、黄色はモバイクを買収した美団点評、みどりは滴滴出行のDiDi bikeだ。私はHello bikeと美団しか使ったことがないが、上海市内は(場所によるが)美団の自転車が多い印象。個人的には美団はハンドルが軽すぎる感じがしており、乗り心地はHello bikeの方が好きだ。Hello bikeはアリババが支援しているので決済はアリペイのみだ。アリペイのアプリからHello bikeに飛ぶことができ、決済も完全に自動で行われるため非常に楽である。美団とDiDiはWeChat Payを利用して決済を行うことができる。


使い方

どのサービスもアプリ上で電話番号やパスポートを使って本人認証を行うと使うことができるようになる。Hello bikeはアリペイのアプリ内に内蔵されている(これを中国ではミニプログラムと呼ぶ)のですぐに利用できたが、美団の方は独立したアプリのため本人認証(中国人は電話番号、外国人はパスポート)が別途必要であった。使い方は至ってシンプルで、アプリで使用したい自転車のQRコードを読み取ると自動で解錠され時間のカウントがスタート。好きなところまで乗っていき、駐輪禁止区域以外の好きな場所で停車。鍵をかけるとそのままロックされ、自動で決済へ進む。価格はおそらく10分で1元(約15円)程度の計算なのだと思う。30分くらい乗っても3元(約45円)と激安。帰りも好きなところで自転車をピックして家まで乗って帰れるのでとってもラクチンなのだ。これは自転車買うよりもいいよね、と思った次第。


中国でのサイクリングは広い視野が必要!?

最後にこれだけは伝えておきたい。中国で自転車に乗るときは最上級に広い視野が必要である。いや、徒歩でもそうなのだが。青信号でも厳重に注意して渡れ、という感じ。向こうが赤でも普通に突っ込んでくる。そして日本の感覚だとぶつかりそうだと思ったら止まるのだが、誰もとまらない。とある人が言っていた名言がある。「誰もお互い止まると思っていないから止まったら引かれるぞ。」日本の教習所で見る飛び出しのビデオとは比較にならない。死角は特に注意しましょうと習ってきたが、死角とはもはや関係ない。なのでもしも中国で自転車に乗ることがあったらくれぐれも気をつけていただきたい。でも誤解をしないでほしいのは彼らが悪い人たちということではないということである。確かに日本と比較すると運転が荒めだったり、信号を守らなかったりするが、みんな優しくて暖かくていい人たちなのである。いい意味で他人に興味がないところもあるので変に気を使う必要もなく、のびのびと生活できて私はここが大好きだ。

次からはこのシェア自転車を使ったチャリ旅の記録をシェアしたいと思う。


*本情報は2020年12月現在の情報です。

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