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蘇州の世界遺産と自由な人たち|上海2018 #2

前日の行程:
バブルを知らない僕らがバブルを感じる。

拙政園 蘇州の庭園めぐり

蘇州は、上海市の隣の都市で、高速鉄道で1時間ほどの距離にある。春秋時代、呉の国の史跡が多く残り、世界遺産に登録された庭園などもある。呉越同舟、臥薪嘗胆といった古事成語の舞台だった土地らしい。

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朝の高速鉄道に乗り込むべく、上海駅に向かった僕らが見たのは、広大な駅だった。さすが中国最大の都市、人の多さと広大さも並大抵ではない。前日に購入しておいた切符で乗った高速鉄道は、とても綺麗で静か。「中国の電車はゴミだらけ」なんてのは昔の話ということがよくわかる。中国の進化恐るべし。

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蘇州駅に到着し、市内のフリー切符を購入。上海が巨大過ぎるものの、蘇州も1000万人都市なので、地下鉄が整備された大都市である。

まずは世界遺産「蘇州古典園林」を構成する庭園の一つ、拙政園へ向かう。途中の道はやはり地方ということで地元密着の昔ながらの店が並ぶ。

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拙政園の手前、多少綺麗そうな佇まいで、若い人がやっている店でラーメン的なものをたべる。本場ラーメンである。薄味ながらもなかなか美味しい。

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拙政園は、明の時代に作られた、蘇州最大の庭園で、中国四大名園のひとつ。水と岩と楼閣が見事なバランスで作られた庭園が美しい。天気がいまいち優れないのもあるが、なかなか静かで落ち着いた庭園空間だ。ちなみに、この拙政園、東園、中園、西園の3つに分かれ、5万2000平方mという広大さ。中国はやることがいちいちスケールが大きい。

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一通り見てまわったあたりで、雨足が強くなってきたので、ここの売店で、色合いが派手な傘を購入。そして、雨の中のため、タクシーで次の目的地に向かうことにする。

タクシー 自由

友人がタクシーをとめ、僕らは後ろの座席に乗り込んだ。行く先は、盤門という紀元前から残る水門だ。言葉が通じないので、地図を見せてどうにか説明する。運転手のおじさんは、人の良さそうな顔で、分かった、という風にうなずいた。

しばらく走った後、古い商店街でタクシーはとまった。が、どう見ても目的の水門ではない。何かのトラブルか?と訝しんでいると、その商店街のおばさんがやってきて、おじさんと一言二言言葉を交わした後、戻っていった。そしておじさんは、後部座席に座る僕らに何かを説明しているが、さっぱり分からない。

「日本人を乗せていることが何かまずかったのではないか。」

そう友人がつぶやいた。この運転手をおじさんは、白タク的なヤツで、かつ外国人を乗せていることが、法にうるさい中国の何かに触れたのかもしれない。そう考えると、人の良さそうなおじさんが、途端に怪しく思えてきた。

時間にして数分、どうしたらいいか分からない時間がすぎると、先ほどの商店街のおばさんが再び現れ、パックに入った何かをおじさんに渡す。車内に漂う美味しそうな匂い。

おじさん、客を乗せたまま、自分の食事を買っていた。

自由か。

盤門 広々

僕らを乗せたまま食事を買ったおじさんは、その後は真面目に運転して、無事に盤門へと連れていってくれた。

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盤門は、紀元前514年、蘇州城を守るために造られた8ヵ所の水門の一つで、ぶっちぎりで古いもの。どこまでが当時のものかは分からないが、頑丈な石造りのそれは、数千年の時を経ていたとしても不思議ではない説得力があった。

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また、水門の史跡とはいえ、池を囲んだ庭園、塔、橋など、見所が多く、盤門を囲む運河(これも世界遺産に登録されている。)には、遊覧船が航行しており、天気が良ければ気持ち良さそうに思う。

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盤門は、一般開放されているエリアもあり、地面に水で漢詩的なものを書いているおじさんがいた。日本ではお目にかかれないタイプのおじさんの日常が垣間見れた。

留園&山塘街 運河の土地

盤門を後にした僕らは、蘇州のもう一つの世界遺産である留園へと向かった。今朝訪れた拙政園と同じく、中国四大名園の一つに数えられる庭園で、こちらは清の時代のもの。

ちなみに盤門から留園へもタクシーを使ったが、こちらの運転手は黙々と送ってくれた。やはり先ほどのおじさんが例外的に自由だったようだ。

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留園の見所は園内に所狭しと展示された奇石の数々。日本では見ない石なのが面白い。同じ庭園といっても、日本庭園、ヨーロッパの庭園、中国の庭園と、当たり前だけど、それぞれに特徴がある。ただ、そのどれもがゆったりできる空間であるのが共通している。

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留園近くの歴史的景観保存地区、山塘街に立ち寄った。商店街のようなものなのだが、通りの横には水郷らしい川が流れており、古村だった昔の面影が残っている。

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山塘街の一角で、遅めの昼食を取ることに。海老の入ったかた麺。食事をすませると、蘇州を後にして、上海へと戻った。

ナイトクルージング バブルパワー

上海に戻ってきた僕らは、ライトアップされた外灘を間近で眺めるナイトクルージングに参加した。

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相変わらず天気が優れなかったものの、霧雨の湿度のおかげで、ライトアップが幻想的になっていた。

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外灘のビル群は、このライトアップのときには、ビル全体に文字が映し出されるという仕掛け。その技術力と、これが毎日行われるというお祭り感に、日本とのお金のかけ方の違いに驚く。これがバブルパワーか。

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また、そうしたライトアップには、アルファベットがほとんど無いことに気がつく。漢字だらけなので、日本人的にはどうしても日本語読みしてしまうのが悔しい。漢字圏以外の人が見たら、もう少しエキゾチックに映ったことだろう。

その後、一日歩き回ってクタクタになった僕らは、足を棒にしてホテルへと戻った。あまりに疲れてしまったので、夕食は閉店間際のバーガーキングのテイクアウト。安心と信頼のバーガーチェーンである。


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