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図書館と本屋のあり方、実は恐ろしいオーロラ / 投資家の日常は、いとをかし。 #10 2024年5月 後編 テキスト版

こちらのポッドキャストのテキスト版です。

前編のテキスト版では、AI要約を紹介しましたが、後編はイマイチの結果だったので省略。



renny:「投資家の日常は、いとをかし」2024年5月号後編です。このポッドキャストでは、本のお話をよくしていますが、今回は図書館や本屋さんのお話というのをしたいと思います。というのは僕自身が神保町と蔵前で棚一つの本屋さんをやらせてもらってることもあり、また東京から離れた場所ではありますが、民間の図書館にも棚を持ってたりすることもあって、図書館のお話をしたいなと思っています。

図書館と本屋はどうあるべきか

renny:吉田さんは僕のよりもはるかにたくさんの本を読み、かなりの図書館ユーザーだと、以前からお聞きしててですね、最近ブログの方で図書館についてお書きになっていたので、吉田さんの今の図書館の使い方からご紹介いただきたいのですが。

吉田:はい。厳密には図書館じゃなくて、図書館の出店みたいな感じで、予約した本が図書カウンターに送られてきて、貸してくれて、返すだけのすごいちっちゃいところなんですよ。

renny:本がズラッと並んでるわけではなくて、大きな図書館から予約してたものが、そこのカウンターに送られてきたものを受け取るみたいな感じですか。

吉田:そうですね。インターネットで予約した本が届いて受け取りに行くのを、2日に1回は通ってますかね。

renny:それはなかなかの頻度ですね。それだけたくさん予約を入れられてるってことですか。

吉田:15冊まで予約入れられるので、順番待ちでなかなか届かない本もあったり、すぐ届く本もあったりするので、なかなか届かなそうなのを10冊ぐらい入れといて、5冊ぐらいはすぐ届きそうなのを入れておくので、2日に1回ぐらいは届きます。

renny:なるほど。僕は公共のサービスをほとんど使ってないんですけれども、図書館で借りられるメリットっていうか、一番いいなと思うところはどういうところなんですか。

吉田:ちょっとでも気になったら、予約して借りてみるっていうのができるんで、買うとなると気軽に手に取れない本でも読んでみることができるっていうのが大きいですかね。

renny:たとえば借りた後、この本は手元に置いておきたい、ということで本を買ったりされることってあるんですか。

吉田:あります。

renny:それってどれぐらいの確率ですか。

吉田:実はものすごく低いですね。1割もいかないぐらいだと。

renny:このあいだブログで図書館のことを書かれてたあれってどういうお話でしたっけ。

吉田:今の図書館のあり方は、私のような使い方、つまり貸し出しサービスが中心になっていて、もとをたどると1950年代の公立の図書館は、図書館の外に貸し出しするためには、保証人が必要で実印と住民票を持っていくっていう、とんでもない手間がかかる状態で、結局図書館は学生が勉強部屋に使ってるだけの空間になっちゃってたんですね。これじゃいけないということで、国民が読みたい本を自由に借りられるように、そこを重視してやっていきましょうという方針が70年代にできたんです。

renny:そうなんですね。

吉田:図書館は本の貸出しサービス業としてやっていくんだっていう方針が打ち出されたその先に、今、私が使ってるような図書カウンターみたいなのがあるわけです。ただ21世紀に入った頃からAmazonとか出てきて本屋が不況になり、出版業界も不況になってくると、「無料貸本屋」って批判されるようになってきたんです。あとはもう貸出しサービス業中心にした結果、図書館で働く人たちの専門性がよくわかんなくなっちゃったんですよね。その結果、公立図書館でも運営を外部に丸投げしたり、あと非正規社員を雇ったりしていって、所得の少ない人たちを増やしちゃう要因にもなって、批判され始めたんです。そしてそれをどうするか?っていう動きがこの十数年でいろいろ起きているようで。

renny:そういう動きがあるんですか。

吉田:一つはサービス業として特化していくっていう方向で、その代表例がTSUTAYA、カルチュア・コンビニエンス・クラブが、2013年に佐賀県の武雄市図書館の運営を請け負った例です。

renny:聞いたことたことあります。

吉田:図書館をもっと明るい雰囲気にして、スタバとかを併設したりとか、TSUTAYAだから本屋も入れたり、イベントもいろいろやって人が集まる場所を作っていこうみたいな、徹底的に住民サービスに徹するみたいな図書館の形が佐賀からはじまって、今は全国でTSUTAYAの図書館が5,6個になっています。

renny:なるほど、そういう方向ですね。今まで通り貸し出しもやってはいるんですよね。

吉田:そうですね。貸し出しもやっています。

renny:たださっきの吉田さんの話の中で、どうされてるのかなと思ったのは、今、本は不況とは言われるものの、すごい数の本が毎日出版されてて、全ての本が図書館に購入されるわけではないじゃないですか。結局、売れ筋とか、そういう本が中心になっていくようになってるのかな、って想像したりするんですよ。

吉田:確かに売れ筋は多いかな。私がインターネットで本を予約するとき、世田谷区内に何冊蔵書があって、今の予約の順位が何番です、みたいなのが見えるんですよ。人気の本が蔵書の数も多いですね。ただブームから2、3年経つと、誰も予約してないみたいな感じになってますね。

renny:でもそれをお聞きすると、無料貸本屋みたいなところになっちゃってる面は否めないですよね。

吉田:そうですね。

renny:あとさっきのTSUTAYA以外の動きとしてはどのようなものがあるのですか?

吉田:住民が主体になって図書館を運営していくんだっていうような、地域の拠点みたいな図書館っていうのが出だしているんですよ

renny:それがもしかしたら僕が出してる図書館っていうか、民間型の図書館のことなのかもしれないですけどね。ちょうど4月の終わりぐらいに、本屋さんがない自治体がすごく増えてるというようなニュースが出てて、自分の住んでる町から本屋さんなくなるって、ちょっと寂しいなと思ったりするんですけれども、吉田さん本屋さんに行かれることってあります。

吉田:あります。なんせ歩いて行けるところに3軒もあるので。

renny:それは恵まれた環境なのかもしれないですね。

吉田:どれか立ち行かなくなるんじゃないかなっていうぐらい過剰です。

renny:それって全部新刊書店なんですか。

吉田:ぜんぶ大きな書店です。紀伊國屋書店に文教堂書店、あとは蔦屋家電の三つです。

renny:今あげられたお店は全国チェーンで、新刊や売れ筋をいっぱい並べてるっていうような本屋さんだと思うんですけれども、お近くに街の本屋さん的な小さい本屋さんはないですか。

吉田:元々なかったんじゃないかな。(※調べてみると1969年から紀伊國屋書店があるそうで、だから街の本屋さんがないのかも。)

renny:たぶん特徴ある本の並べ方をしないと、小さな本屋さんは、大きな本屋さんにとても太刀打ちできないでしょうからね。ただ大きな本屋さんの資産運用コーナーに並んでるような本は玉石混交すぎるので、ちょっとちゃんと選ばないと駄目なんじゃないのと思って、ああいう本屋さんを始めたんですけどね。

吉田:たしかに投資関係はロクな本がないので気をつけないといけない。

renny:それこそ紀伊国屋とか大きな本屋さんであんな棚いっぱいに並んでる必要ないと思います。今度、鎌倉投信の鎌田さんが13年ぶりに本を出されるんで、こういう本が増えてもいいかなとは思うんですけど。

吉田:あれはもう発売されているんでしたっけ?

renny:いや来週5月27日ですね。結構ストレートなこと書かれてる感じなんで、これを読んで考え方がちょっと揺らぐとか、何か今とは違う方向に関心が向く方もいるかもしれない。個人的には1人でも多くの人に、手に取ってもらえるといいなと思う1冊にはなってるような気がします。

※収録後に書いた記事

日本でオーロラが見えた! でも喜んでいられない。

renny:ところで、ここ1ヶ月ぐらいで「いとをかし」な本はありましたか?

吉田:直近で読んだ本ではなくて、去年このポットキャストで紹介した伊藤瑞彦さんの「赤いオーロラの街で」。太陽フレアが起きて日本でも赤いオーロラが見えると、どういうことが起きるかみたいなSF小説。5月の初めに北海道とか、確か能登半島でもオーロラが見えたというニュースがありまして。

renny:SFが現実になったわけですね。

吉田:そうですね。まだその小説のようなことにはならなかったけど、本当にものすごい太陽フレアが起きると変電所がやられちゃうんですよね。それでもしやられちゃったら修理をする設備を作るための電気がないから、もう何年も復旧のめどが立たないっていうような状況になってしまう。日本でもきれいなオーロラが見えてしまったら、大災害の前触れなんですよ。

renny:オーロラの本場の人たちって、何か対策取られてるんですか。

吉田:たしかカナダは昔、実際に大規模停電が起きて、それ以来、対策していて、大きな太陽フレアが来たときは、何時間か強制的に停電させればいいらしいんですよ。

renny:もうそれは計画停電をするっていうことですか?

吉田:そうですね。変電所が動いている状態で、磁気嵐が来たら壊れちゃうらしいんで、これを止めておけばいいっていうことみたいです。

renny:もしかしたら今回よりきつい太陽フレアが発生すると、僕らも心配しなきゃいけないんですね。

吉田:太陽の活動って大体12年周期ぐらいで強くなったり弱くなったりしていて、おそらく来年がピークの時期なんですよ。1年前で日本でオーロラが見えるぐらいのことが起きてるんで、ちょっと警戒をしておいた方がいいかな。

renny:一番大きいのは電気系統で、そのほかにGPSの精度が落ちるとかいうのも聞いたんですけれども。

吉田:そうですね。太陽の磁気嵐で人工衛星がやられちゃうんで、GPSがおかしくなったら、変電所を止めるっ順番になるようです。

renny:そういう意味ではGPSが炭鉱のカナリアみたいなものなんですね。。

吉田:まずは地球の外にあるものがおかしくなり始めるんで。

renny:なるほどね。今、地球の上におびただしい数の衛星が事業用として飛んでると思うんですけど、そういうところにも影響が激しく出る可能性があるってことなんですよね。

吉田:結構壊れちゃうんでしょうね。

renny:収録前に吉田さんが教えてくださったんですけれども、株価ともちょっと相関があるとかないとか。

吉田:謎の相関があって太陽の活動が弱まる時期に、なぜか株価の暴落がやってくるという。

renny:12年周期で来年がピークということは…

吉田: 2031年頃がまた太陽の活動が弱くなる時期かな。前回は2019年から2020年がボトムでコロナが襲ってきて暴落。その一つ前の周期だと2008年から2009年で、ちょうどリーマン・ショックの時期。さらに遡ると1997年のアジア通貨危機、もうひとつ前がブラックマンデーになりますね。

renny:さっきの話に戻ると大規模停電になってしまうと、経済活動に甚大な影響が出るかもしれないので気をつけたいなとは思いますね。

吉田:そうですね。計画停電を政治が決断しないといけないんでしょうけど、反対される中で電気を止められるかがかなり重要な政治判断になるんだろうな。

renny:明日台風来ますから運休しますっていうのとは規模が違いますよね。ちょっとSFチックな話ではありますけど、そういうのはどっか頭に置いておかなきゃいけないですが、大規模な計画停電をそもそも想定してないと、準備できないですよね。

吉田:今回、オーロラが観測されたと喜んでるような報道ばかりだったので、備えは全くできてないんだろうな、っていうのがわかってしまったという。

renny:たぶん日本人が一番得意じゃないっていうか、駄目なところですよねおそらくは。あっちが立てば、こっちが立ちません、みたいになって。。。ただ太陽フレア自体に周期はあるんでしょうけれども、もっと小刻みに活動は変わってたりするわけですよね。

吉田:でも太陽の活動が活発な時期に起こりやすいので、来年、再来年ぐらいまでが警戒時期でしょうね。

renny:防災グッズを買っておいた方がいいんですかね。

吉田:何年か前からそういう話は出ていて、うちはでっかいモバイルバッテリーみたいなのを買ってあります。本当に大きな停電になったら、そんなんじゃ全然足りないんでしょうけどね。

renny:だから計画停電したらマーケットも当然閉めなきゃいけないんじゃないかな。土曜日、日曜日を狙ってやってくるとは限らないから。そういうことも起きるんだとどこか頭の片隅に置いておくのか、突然何じゃこれ!ってなるのかは大きな違いなのかなと思うんで、地震とかそういうものだけじゃないんだな、っていうのは気をつけなきゃいけないですね。


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