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はじめてZINEをつくった話📖 〜#1日1句俳句写しからの形態変化〜


もう9月も暮れに近づいている。

赤蜻蛉もどこかへかえり
水道の水もいよいよ温さが消えてきた。

9月はなんといっても、
文フリ初出店&初参加というトピックを
記録に残しておかずにいれない。


このnoteを始めるきっかけになった
俳句の記録としても、小さいながら
我としては大きな一歩が踏み出された。

いつかつくりたい、と思っていた
俳句本をつくってみた。

その話を、早足に進められたらと思う。

•文学フリマに出てみたい


#あわ研 の仲間は、本好きばかりだ。

書店まわりが好きで、御書印というものが
あるのも、あわ研のメンバーのきいちさんから教えてもらった。

一箱本棚、というものについても、あわ研メンバーから教えてもらった。

書店や図書館の中の一箱であったり、屋外で机の上に本を並べる単日イベントであったり、SNSの投稿を通じてみる一箱本棚出店の様子が、楽しそうだった。

まるで、青空の下で本の横に座り、尋ね人が来るまではゆるりとビール瓶を傾けるような。
棚の本を見つめる人と、ぽつりぽつりと会話を始めるような。

そんな世界に憧れが増していく中、メンバーのあまのっちさん、マスターが昨秋に、東京文学フリマで興奮気味の投稿をしているのをみた。


購入したZINEをひとつずつあげているが、どれも面白そうで、本屋でみないようなものばかり。
ついつい欲しい本ばかりで、途中でお金を下ろしにATMに行ってめちゃくちゃ並ぶ…というお祭り話をきいて、いいなぁ、と羨望の眼差しをおくっていた。

まさか、その10ヶ月後に自分もそこに出店するとは思っていなかった。



2024年の7月、

あわ研として2冊目のZINEをつくり、選書コーナーにてコラボさせていただいた青森のまわりみち文庫さんにZINEをおかせていただいた。

売れているかどうか別として、約1,000km離れた土地で、投壜通信のように、知り合い以外の、偶然の中でZINEを手を取ってもらえる機会に胸が躍った。


文フリの魅力を十分に体感していたあまのっちさんとマスター、
一箱本棚出店経験があって本を通して人との繋がりができる楽しみを知っていたきいちさんとゆうちょうさん、
大阪文フリに出場するという谷川嘉浩さんの投稿をみて更に「文フリ行きたい!」熱が高まっていたわたし。

12月の東京文フリに出ることは、それぞれから声があがり、心づもりを始めていたが、

あまのっちさんと

「9/7(日)、大阪で文フリあるんやけど、当たったら出る?」
「うん、出る」

くらいの、コンビニでアイス買って帰ろうか?くらいまでハードルが低くなっていた浮き足で、応募をした。

4月末、締切前に駆け込むように手続きをして、約2ヶ月間は半ば「抽選やし、当たらんかったら12月の東京文フリに向けてゆるりと本づくりしよう」と考えていた。
(6月はちょうど、あわ研ZINEの入稿や、7/14展覧会に向けての準備、ドミこたcamp課題で、とにポチのミニZINEでわちゃわちゃしていた)


やはり、人間諸事重なる時に重なるもので、6月下旬ある日、真夜中に開いたメールに「当選」の字を見つけたときは変な声が出た。



つくるっきゃないぞ。

•はじめてのZINEづくり


オートエスノグラフィー、
及び声日記podcastとにポチにて
抽選に当たったときのことは残しておいた。

この声日記なるものは、なかなか便利である。
(とにかくボタンを〜というものなので、そもそもハードルを下げてくれる)

#054  チャレンジできる時•できない時

このnoteを綴っている現在はもう、
ZINEをつくって、更に出店したあとの自分に
なっている。


振り返ると、抽選に当たってすぐに動き出したかでいうと、7月の展覧会や課題でやることが重なりまくっていたため、着手できる状況ではなかった。


だから、まずは9/7(日)から逆算シミュレーションしたスケジュールをひいた。
(職業病とビビりの性格から、もしものときのバッファあり工程、ディレクション命と思っている)

まず、印刷して納品で受け取るところから逆算する。

ずっしり段ボールで届くため、宅配BOXではなく、部屋まで持ってきてもらう宅配で受け取るようにしている。
平日は夜遅くまで働いている為、休日の朝の受取が貴重なチャンスなのだ。


9/7(日)の1つ前の週末、8/30(土)受取のスケジュールで間に合うように、8/22(木)頃に入稿を設ける。


ということは、8/17-8/18週末が最後の調整期間、それまでに校閲を終わらせなければならない。

校閲は誰に頼むか、その人のスケジュールは。自分以外の人に工程に入ってもらう場合は、早々にバミっておく必要がある。

そこに間に合うように、いつまでに本文を書き終える必要があるか?
平日夜と土日で執筆できる時間を自身のカレンダーに入れていく。

執筆についても、まずは目次•構成を書き出し、いつの時点でどこまで進めるかを、おおよそ割り振っていく。

よし、これなら7/14のあわ研展覧会に集中して、その後にスタートでも算段がつく。

とはいえ、かなりの執筆時間をお盆に当てることになった。お墓参りが終わったら、執筆祭り。
いいじゃないか。

•なめていた、ZINEづくり


いざ始めたZINEづくり。

つくっておいた目次を補助線に書き出してみる。

書き出してみるのだが、普段から推敲重ねるスタイルではなく、出来たものから「行ってこい」スタイルの自分にとって、
とにかく書き進めないと、足が止まって動かなくなってしまうということがわかった。

自分で書いた「はじめに」が、どうもかったるいことはわかっているのだが、そこを書き直したら、もう次に進めなくなる。
体感でそれを悟り、とにかく書き進めた。

このZINEづくりで、自分のあらゆるアウトプットの癖を実感できた。


✔️ 推敲しながら進められない
一気に走り抜ける(推敲仲間が必要、或いは書き終わり時間が経った別者の自分になったあとで読み直すしかない)

✔️ 脱線しがちだが、脱線しっぱなしはしんどい性格のため、本線に戻る道を探す

✔️ 大目的に立ち戻り、本当にそれが伝わるか?筆を加える
予定していなかった、コラムページが増えた。あとがきの後にもコラムを足す始末

✔️ 繰り返し作業が辛い。
前半は季語紹介が続き、引用で確認しながらの作業が続き、「早く終われ」と若干心が折れそうになる。ただし、やり終える度に達成感は味わう。

✔️ 考えるのは好きだが、手を動かすのが本当はちょっと辛いのかもしれない。
短時間作業は楽しめる。細切れ推奨。


よく、本をつくるのに何年もかかった、とか、最初から書き直した、なんて話をきいて、真似できんわって思っていたが、その気持ちはわかった。

しかし、出来ないと思う。

自分はショートスパンのアウトプットを、継続することが相性がいいらしい。

推敲や中長期となると、誰かと一緒にやるなど、ゲーム性や変化をつける必要があるようだ。


•校閲って面白い


とにかく前へ、前へと書き出していったわたしは、3回に分けて、校閲を受けてくれたゆうちょうさんに原稿を送った。

そうすることで安心して筆を進められた。

戻ってきた原稿をみる。
いつものゆうちょうさん節でコメントがあちらこちらにあり、なんだか安心する。

尻すぼみ
脚韻のつもりはなかったが、有難し


調べていく中で、気になったこと、発見したことなど
残しておいてくれる


校閲、というと、少し身構えてしまう。
赤ペン先生の添削のような、未熟さをさばかれているような。

しかし、ゆうちょうさんの校正に溢れるユーモアと静かな優しさに、励まされ、チェックバックが楽しみだった。

つくり始めた当初は、「これでいいのか?」と安ずる時分もあったが、ゆうちょうさんのおかげで孤独を感じず、心強く思いながら筆を進めることができた。
心から感謝している。

そうして、無事に予定していたスケジュールに間に合い、入稿が出来た。



やったのだ。



安堵し、印刷を待ちながら、次は一緒に大阪文フリに参加する、あまのっちさんときいちさんの原稿チェックを行なった。


ゆうちょうさんから受け取った、校閲を通したエールを、贈与として、次は仲間にエールを送りたかった。

いざ、人の原稿を預かると、

この素晴らしい原稿がちゃんと伝わるように誤植を見つけておかねばだったり、
万が一読み手から指摘を受けるような考証不足がないようにと調べたり、

校閲側の使命感や緊張感も味わうことができた。

その真剣さが、時に書き手に鋭い矢を放つ恐れもあるのかもしれない。
書き手も校閲もどちらもやってみることで得た視点だ。


確認する自分には厳しさを課し、仲間への校閲コメントには、1人目の読者としての声を多く混ぜた。
1回目は読者として純粋に楽しみ、2回目に読むときは、ペンと検索画面を横に持ちながら目を皿にした。

とにポチでも、校閲をしてみて感じたことを語った。

#080    校閲をやってみた話


こうして、ZINEづくりにおいて
あらゆる角度からの作業を経験した。

•自分でつくった本を売る経験


大阪文フリ当日を迎えた。

代表ZINEがあわいなので、エッセイのブースに
『詠みたくなる本』
文フリ価格 500円
推し季語•俳人を語りつつ、教室にも通わず川上弘美さんの『わたしの好きな季語』を片手に俳句を始めたエピソード•形態変化などを綴りながら、読了後の「詠んでみようかな」を誘うための主にビギナー向けの俳句本。
(長年されている先輩も詠みたくなった、とか)

もし欲しいという方がおられたら、
メッセージくださいませ


前日、あまのっちさんと中崎町散歩をし
初訪問した葉ね文庫で偶然出会った岡さんと
2つ隣のブースで朝の挨拶を交わす。

エッセイ•俳句の共通点と、葉ね文庫で同じ本を取り合った縁もあって、お互いのZINEを買う。

そして、

駆けつけてくれたあわ研のあっきーさん、ちあきさん(関東から…!コジヲさんも…!)、flier book campで一緒のまるこさん、こうさん(なんと、名古屋から…!)

そして、Xのスペースであわ研の活動を暖かくフォローしてくださっている、おだちぃさん。
なんと、文フリスタートしてすぐに駆けつけてくださった…!!
「お客さん、1人も来なかったら、誰も買ってもらえなかったら、さみしいな…」という不安も正直あったけれど、一瞬で払拭してくだそり、ありがとうございました!

そうして、開始早々ホクホクとした気分になれて、自身も他のブースに遊びに行き、沢山つくり手の方との対話を楽しみました。

戦利品

そうしてブースを離れている間も、仲間がZINEを売ってくれていたり、
ブースに戻ってからも、お買い上げいただけて、不思議な気持ちになった。

人数とかではなく、大事に、これまでの俳句ライフや、俳句の魅力を綴った本を、読みたいと思って手に取ってもらえたことに感動した。


その日の興奮は、仲間とともにポチにおさめた。

#084    大阪文フリお疲れトーク


•誰かと静かに通信できるということ


ZINEづくり

つくった経緯と、つくる前の準備、
つくる過程、つくった後の売る場のことまで
綴ってきた。

それだけでも、最早溢れているけれど
最高に、ZINEを読んでもらった感想を
受け取ったことまで残しておきたい。

#090    静かに通信できる喜び


今回、文フリで販売したほかに、
ZINEの中で登場させていただいた
俳句関係者とその周辺の縁があった方々に
感謝の気持ちでZINEを送らせていただいた。

Xで繋がった俳人の方が、いつも
俳句のことをコメントくださったり
わたしもその方の俳句にコメントをしに行ったりしている。

ゆるやかな俳句仲間、
というには大先輩で、句会の先生も
勤めておられるくらいの方なので
時折無料添削に近いコメントをくださることに
有難みと、いつか御礼を…という思いでいた。

2〜3年前には想像もつかなかった展開だか、
その方にDMでZINEを送りたい旨を伝えると
喜んで送り先を教えてくださり、送付した。

その1週間後、ふと郵便受けをみると、
その方の句会でつくられた句集と
お手紙を送ってくださっていた。


そこで書かれていた本の感想が
言葉が本当に暖かく、また本をつくりたい
と背中も押してもらえた。

そして、自筆の俳句を
送り合える方が居ることに
感動して嬉しくて震えた。


ここまでが、俳句を始めた
2022年1月から、いままでの
大事な記録。


•つくりたくなったら

今回、『詠みたくなる本』は
自分がずっとつくりたいと思っていたものが
形にできたことで、

こんな未来がきたら、奇跡だなって思っていたことだった。


もっと堂々とした表現者や、読者の沢山いる
書き手は山程いるけれど、

自分にとってのこの初めての一本の線を
ここに残しておきたかった。



だいぶ長かったので、ここまでもし
読んでくださった方がいたら、
ありがとうございます。

もし、「これから自分も何かつくろうかな」
って思われたら、全力で応援したいです。


きっと、大事でかけがえのない経験になるだろうし、きっと、想像していなかった大事な人と出会えるはず。

もし、つくられたら
その読者になれたら嬉しいです。

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