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コンサルは、なぜ、成長するの?

1.はじめに

問いを、「なぜ、成長しなければいけないの?」とした方が適切かもしれません。コンサルタントは成長なくして成り立たない職業です。それは、「育てて貰う」では無く、「自分で育つ」型として。

人生100年が当たり前になりました。リカレント教育。学び直し。当たり前になりました。一方で、時代はブラックスワン。”まさか”が1年のうちに連続して起きる。非日常が日常となる時代です。

人生の長期計画が大切と言われながら、短期の未来は不確実。こういう時代だからこそ、マラソンの様に終身雇用を前提とする企業より、短距離走を指向するコンサル業界が一面、人気になるのかもしれません。

前置きが長くなりましたが、コンサル業界で働く人々が、なぜ、成長に駆り立てられるのか。この問いに、私なりの駄文を書き連ねてみます。
※前提情報は下記エントリーを参照ください。

2.成長要因①「組織設計」

以下、上記エントリーの文章を参照し、その解説の形式で話を進めます。

・成長を前提とした組織設計であること。少し具体的には、成長を前提とするメンタリティを持つ人材を採用し、個の成長≒業績に重きを置いた評価体系でマネジメントしていること。

成長促進要因は、シンプルにお金です。

はい。お金。もう一度言いましょう。お金です。お金。

毛嫌いされた方。すみません。その背景の読み解きをしていきます。まず、コンサルティング会社の売上ロジックは何か考えてみましょう。商品≒提供価値≒対価を頂く対象は、何かを考えてみましょう。

そうですね。人です。厳密には人が成果実現の為に提供する役務です。堅苦しい言い方に成りましたが、簡単に言うと人工商売。頭数と単価で売上高が決まるシンプルな業界です。

補足:最近は、エクイティ投資型、成果報酬型やコンサル+SaaS型、はたまたコンサル仲介プラットフォーム型など、コンサル業界のマネタイズの類型は多様化しています。(コンサル業界の定義をどう置くかですが)

人事評価は、その会社の戦略を反映したものなんて言われますが、(誰によって?)まあ、人事評価はその組織で働く人を方向づける指針です。

つまり、コンサル会社が頭数と単価で売上高成長を図る以上は、頭数を増やすか、単価を上げるしか、ドライバーは無い訳です。(ドライバーとか言っちゃう辺りがコンサルっぽいですね。)

シンプルに言えば、稼げる人が何人いるか。これです。

よって、早期成長に指向がある人材を採用し、売上高の評価項目のウェートを高めることで、組織全体の成長を加速する事が出来る訳ですね。(あー、コンサル会社って怖いわ。金の亡者。)

まとめると、コンサル会社経営では、長期育成よりも短期育成で、高単価を稼ぐ人材を採用し成長加速したいインセンティブ(誘因)が働きます。また、そういう職場環境を望む人材が、コンサル業界に流入します。

お金を全面に出し過ぎたかもしれませんが、人事評価は非常にシンプルです。評価者の恣意が入る余地はほぼありません。お客様に評価され、稼いだ人がエライ。報酬もその分得る。分かり易い世界です。私の身の回りだけですが、人事評価で不満を聞いた事はありません。仕事が出来たか、出来なかったかは、本人が一番自覚しているからです。

3.成長要因②「業務特性」

・コンサルティング会社は、PJ業務に特化した業務特性を持つ。故に、特にPJ推進型スキルは、オペレーション業務を前提とした企業よりも、より多く実践する場数を得られること。

成長には業務特性も非常に大きく寄与しています。特にプロジェクトマネジメント、企業におけるプロジェクト型業務遂行のスキルは早期に獲得する事が出来ます。また、運用支援まで手掛けると所謂、経営管理や原価管理、KPI管理など、定量的な情報収集・分析・対策立案・実行の一連のマネジメントスキルを習得する事も可能になります。

事業を行う企業とコンサル会社を隔てる大きな業務特性の違いは、オペレーション業務か、プロジェクティブ業務か。この点に尽きます。

前者のオペレーション業務は、日々定められた標準業務フローと業務規程に則り、分業化された業務をQCD基準遵守を目標に業務遂行します。大企業では数年単位でジョブローテーションを繰り返し、各職場業務を理解したジェネラリストが育成されます。

そして、社内の昇進競争に打ち勝ち、課長や部長として部門を統括し、各機能を円滑に回すマネジメント能力を培っていきます。昇進が早い企業でも課長職が30代前半から中盤。部長職は40代や50代が中心でしょう。(あくまで昇進が早い企業です。多くの企業は40代で課長が中心では?)

一方、後者のプロジェクティブ業務は、ある目的と目標が定められ、限られた期間とリソースで、成果創出を図る業務です。大規模システム更新などは別として、多くは数か月や、長くても年単位で成果実現を図る業務です。

また、プロジェクティブ業務は、会社の戦略転換や制度変更に関する業務特性を有します。評価軸は異なりますが、前者で課長職や部長職が期待される以上の成果を常に求められる業務特性があります。

お気づきの通り、コンサルタントは新卒、転職者いずれにしろ20代から30代で、この手の業務携わる事が出来るのです。企業側のチームは社運を賭けたプロジェクトです。社内でも各部署から推薦を受けた選りすぐりの人材が業務に携わります。そして、多くは部長職以上です。

つまり、20代、30代の年代で大企業では部長職まで上り詰めなければ関われない業務に、携わる事が出来るのです。私自身、30歳前後でPJリーダーを担った仕事では、お客様は当然の様に50代、60代の方々でした。ざっくり言えば、20年~30年時計を早回しした状態の仕事に、コンサル会社側のリーダー、責任者の立場で携わる事が出来る訳です。

成長は「仕事の量」と「仕事の質」の掛け算と仮に置いてみましょう。

コンサル会社は激務だ。なんだ。と、仕事量が多いイメージがあるかと思います。しかし、私なりに感じている成長要因は、仕事の量ではありません。仕事のレベル、仕事の質が非常に高い。こういう社運を賭けた仕事に携わり、成果実現に全精力を投入する。このプロセスが一番の成長要因になると考えます。

いかがでしょう。成長する理由を感じて頂けたのではないでしょうか。

4.成長要因③「顧客特性」

・大企業の企画部門の方々を対象に仕事を行う為、お客様の要求レベルも高く、それに応える中で必然的に成長が迫られること。

最後は簡単に。前の章でもお伝えした通りです。プロジェクティブ業務は、会社の方針を転換する、その是非を決める仕事です。その業務に携わる企業型のメンバーは、「この人が携わり、決めたなら仕方ない」と、社内でも一目置かれる方々が選抜されます。

その方々と一緒に仕事します。コンサルタント会社に就職した日から、あなたはコンサルタントです。言い訳は出来ません。(フォローは出来ますのでご安心を?)あなたが考えるお客様の理想を根拠と共に語る。そんな命題がこの仕事には付きまといます。

もちろん、1年目から大上段から語る事は出来ませんので、ファクトベースです。事実は誰も否定できません。お客様の会社の中、世の中の事実を集めて、ファクトベースでお客様に示唆を提示します。推奨行動を示します。「こうされた方が良いと考える。なぜならば。」これですね。

しかし、1年目です。いきなり何を言ったら良いか分かりません。その通りです。よって、各ファームではコンサルタント育成カリキュラムが充実しています。また、濃淡はあるでしょうがコンサルタントを育てる文化もあります。(これは真逆の説も聞くので容易に言い切れませんが・・・)

まとめると、お客様の中でも選抜された方々に、社運を賭けたPJで、新しい示唆≒提供価値を提示し、評価を頂く。その為に死に物狂いで学習する。自己成長を図る。そんな環境で働く。これがコンサル会社である。そんな理解をして頂ければ良いかと思います。

5.終わりに

長々と記述しましたが、一介の名もなきコンサル業界の隅っこ暮らしの戯言です。ただし、大きく外してもいないと多少の自負はあります。

あくまで、本稿及びこのnoteの目的は、コンサル業界を志望される方やコンサル業界の特に入りたての方が、コンサル業界のステレオタイプな噂に迷わされないで欲しい。

業界の中の人から見ると、世の中のコンサル評は、あまりにも偏っていないか。それが故に期待と実際のギャップによる不幸が生まれていないか。その不幸を少しでも抑制できないか。そんな目線で一貫しています。

毎度記述していますが、噂や喧伝される言葉に惑わされないでください。この投稿自体も噂の域を超えませんが、噂なりに多少のアンチテーゼを放っているつもりではいます。

それでは。次回はあるのか?続くのか?

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