aiko『果てしない二人』歌詞を考える〜愛の始まりのうた
先日、我らがaikoの新曲『果てしない二人』がリリースされた。
※記事を書くのに時間がかかりすぎて、その後『あかときリロード』がリリースされてしまい、新曲でなくなってしまったが。
aikoの曲を15年以上聴いてきた私だが、どちらかというとカップリングやアルバム収録曲にハマることが多かった。
でも今回の『果てしない二人』は万人受けしそうなシングルでありながら、オタクにもぶっ刺さるという凄まじい出来だな、と思う。
わたしは音楽には明るくないので、どうしても歌詞の方に注目してしまいがちで、そしてこの曲の歌詞が本当に死ぬほど好きなので、自分なりに考えたことを書いていきたい。
結論としては、この曲の歌詞は、「愛が始まる」二人について描いているのだと思う。
aikoは「恋愛」についてずっと曲を書いてきたアーティストだ。
ただ「恋愛」と一言でいっても、恋と愛はなんとなく少し違う訳で、それぞれに始まりと終わりがあるのだと思っていて。
今回は中でも「愛の始まり」についての曲なのかな、と感じている。
ではいきます。
まず…この曲の始まり方からわたしは撃ち抜かれてしまって。
毎度aikoの新曲がリリースされるたびに、自分へのプレゼントが届くような気持ちになっているわたしにとって、この始まりは最高にワクワクする。
今回もプレゼントありがとう。
ここは最後の一文が最高に良いですよね。ちょっと茶化している感じ。
「あたし」と「あなた」の関係性が見える気がする。
aikoは基本的に昼夜逆転している人なので、「月が眠っている」ということは、夜をとっくに過ぎて朝になっているのかな?と思ったりする。
「声と涙が落ちる音だけが聞こえる」ということは、たとえば電話をしている場面なんだろうか。
朝まで電話をしている場面と言えば、『4秒』ですね。
こちらにも「愛おしい声」の表現が出てきてる。
aikoの曲は、基本は本人の経験から膨らませて書いているものが多いはずなので、別の曲がオーバーラップすることもよくあります。
前パートの「涙」は誰の涙なんだろう、と思っていたが、「守ったげるベイビー」からすると、「あなた」の涙なのかな。
「飛んでいく」ということは同じ場所にはいないということなので、「繋いでいて」も含めて、やはり電話をしている情景が浮かんでくるね。
歌詞とは関係ない歌い方についてだけど、「ベイビー」がどう聴いても「ベイベっ」なのと、「始まり~~ぃ~~」の半音上がるところ最高だよね。
始まってる!!というワクワクさが伝わる歌い方。
前半はまだ解釈が追いついていない箇所で…
お互い独り身のときの回想なのかな?
「足りないものだらけの部屋」という表現で、冒頭に書いた通り「愛が始まる二人」を思い描いた。
正式に同居が始まる前の一人用の部屋に転がり込んだときって、二人で暮らすには色んなものが足りなくて、でもそれがなんか愛おしいんだよね。
わたしはここがめちゃくちゃ好きです。
なんか泣けちゃう。
日々のくだらないやり取りやお互いのダメなところを「死ぬまで」分け合って生きてこうね、ってことだと解釈しました。
そしてたとえ死んでしまったとしても、また「次も」=来世でも会おうねってことなのかなと。
わたし自身も今一緒にいる夫とは、どうにかして来世でも会いたいと思っているので、すごく共感するし、でもそれは叶わない願いと分かっているので、ちょっぴり切なくもある。
aikoの四季表現は至高、と声に出して言いたい。
いくつか好きな表現があるので引用しますね。
『カブトムシ』が1番有名だとは思うけど、それ以外もシンプルでとても好き。
季節が巡り巡っても変わらない関係。
戻りまして、
手のひらで、という表現もいくつか引用します。
どちらの曲も恋人への幸せな要求が表れているような、かわいい曲だな。
「手のひらで踊りたい」のも、少し小悪魔的なかわいさがある。
あとここの歌詞をなにかのライブ動画でaikoが手のひらを差し出しながら歌っていた。めちゃくちゃかわいい。
aikoのライブ映像を見ていると、歌うときの彼女のしぐさから急に歌詞の解釈が深まることがある。
一番衝撃を受けたのは、
この部分を歌いながら、aikoが「すき」と空中に文字を書いていたとき。
なんて器用な人なんだ!!とも思った。笑
話を戻すと、サビの最後「全部叶えばいい」問い
歌詞について、何を願っているのか…と思ったんだけど、
よく2番の歌詞を振り返ると、「足りないものだらけの部屋でしよう」「次もまた会おうね」「マフラーで包む前に暖めてよ」「手のひらで踊りたい」と願望的なことが羅列されていて、
これらを全部叶えたいのか、と納得した。
当たっているとしたら、伏線張りがうますぎる。
一行目は倒置されていますね。aikoがよく使う表現な気がする。
「疲れて寝すぎてダルくって喧嘩した」、のことかな?
そしてここもまた大好きなんですが、歌詞カード上では言葉が分かれているんだけど、わたしとしては「面倒くさい悲しみ」と1つで考えたい。
「愛の始まり」の歌と最初に書いたけど、まるきり他人と愛を育む=家族になるというのは、「面倒くさい悲しみ」がずっとそばにあると思っていて。
やはり他人だから、どうしたって根本の部分では分かり合えないわけで。それは面倒くさいし悲しいことで。
でも、それをお互いに飲み込んで、でもきっちりと大切なことは求め合う、そんな生活が見えた。
「喰らう」という言葉を調べてみると、「生活する」「暮らしを立てる」という意味もあるようで、それもすごくしっくりくるなと感じた。
思ってたより長く書いた。楽しかった!
全く正解でないところもあると思うので、あくまで個人の解釈です、というコメじるしをすべての段落につけたい。
でも普段モヤモヤ考えていることのアウトプットが楽しいので、また書きます!
次は『半袖』かなぁ。
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