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ビャンビャン麺を食べに行く

名古屋のきしめん、群馬のひもかわうどん、パスタならフェットチーネ。
麺の細い太いではなく、幅でちがいを見せる平麺には抗えない魅力がある。
ただ麺が平たいだけなのに、どうしてこんなに食べたくなるのだろう?

そんな平麺の中でも今一番気になっているのが「ビャンビャン麺」だ。

ビャンビャン麺。
ビャンビャン。
名前の響きからして興味を引き付けてやまない。
担々、ジャージャーなどインパクトのある名を持つ麺類は数あるけれど、ビャンビャンはその中でも群を抜いている。
近くで誰かが「ビャンビャン麺が~」と発しただけで思わず振り返ってしまうくらいインパクトのある名前である。

響きもさることながら、漢字で書いた時の見た目のインパクト大きい。
ビャン1文字で58画。
ここに載せたかったが複雑すぎて変換できないので、Wikipediaで見てみてほしい。

麺料理としての解説よりもその複雑な漢字についての解説の方が長いではないか。

名前で盛り上がってしまったが、本題は名前ではなくてその見た目である。
ビャンビャン麺は平麺の中でもかなり幅が広い方で、3cmくらいある。
熱々で食べたら口の両端を同時に火傷するくらい幅が広い。
平麺は幅が広ければ広いほど良いので、ビャンビャン麺はかなり魅力の高い麺だと言える。

そんなビャンビャン麺を先日初めて食べた。

その存在を知った時から食べたい気持ちはあったものの「どうせこんな珍しいもの、東京でしか食べられないんでしょ」(大阪在住)と思い込んで調べもしていなかったのだが、ふと思い立って調べてみると自宅から40分くらいのところに「本格中華料理専門店 ビャンビャン麺 朋友 雑穀食府」という、店名にビャンビャン麺を冠したお店があった。

いつでも行ける距離にビャンビャン麺専門店があったとは…。
ひがんでないですぐに調べればよかった。

松屋町から八幡筋に入って一筋行ったところにあるお店

店に入り、日本語が通じない本場の店員さんとお互いにジェスチャーで「お一人ですか?」「一人です」「こちらへどうぞ」「ありがとう」という感じでやりとりし、「これがガチ中華というやつか…」と感慨を覚えながら席につく。

分厚いメニューを開き、名前と見た目だけではどんな味なのか想像もつかない料理に興味を惹かれつつ、今日の目的であるビャンビャン麺と、この店の名物らしい羊串を2本と生ビールを注文した。

ビャンビャン麺が出来上がるまでビールを飲みながら羊串をつまんで待つ。

羊串はとてもおいしかった。
よく聞く「香辛料がふんだんに使われた料理」とはこういうものを言うのだな、というくらい香辛料が効いていて、それでいて辛すぎないパンチのある味。
5本頼めばよかった。

追加しようかな…とメニューを睨んでいたら本日の主役のビャンビャン麺が運ばれてきた。

これが本場のビャンビャン麺だ。

平麺の幅広さと香りが食欲をそそる

こちらも香辛料がふんだんに使われているようで、香りがとても良い。

全体に細かく切られたチャーシューらしき肉がまぶされており、麺の下に茹でたレタスともやしが隠れている。
これらを混ぜ合わせて麺と一緒に食べる。

麺は中心部分がクニュっとした歯ごたえで、まわりがトロッとしている。
具なしのワンタンを分厚くして長くしたような麺、と言えば伝わるだろうか。
伝わったかどうかはさておき、麺の幅の広さによって生まれるこの食感の楽しさもまた、平麺の魅力なのだ。

香辛料たっぷりのタレも麺によく絡み、最後まで夢中でズルズルとすすり続けた。
専門店の本格ビャンビャン麺は想像以上のおいしさだった。


専門店でしか食べられなさそうな雰囲気のあるビャンビャン麺だが、実はカルディで気軽に買える。

そのまま食べてもおいしいけど、ひき肉ともやしを炒めて和えると専門店の味に近づいて、よりおいしく食べることができる。
麺の幅が広いからか、ゆで時間は結構長いのだけど、個人的にはさらに長めに茹でた方がお店に近いクニュトロ食感が出るのでおすすめである。


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