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【写真のこと】カメラは私にとってコミュニケーションツール

という言葉を、写真をしているひとなら耳にしたことがあるかもしれません。
ちょっとどことなくカッコよすぎの耳障りの良い言葉なので、私はそこまで共感はしていなかったかな。あの出会いの時までは。

その日は、某海岸の変わった形の岩と夕陽を撮ろうと海に出かけた日でした。そこそこの観光地ではある場所。
その海岸の駐車場に車を停めて三脚などを出していた時に、大きくて黒いワゴン車が駐車場に入ってきました。
中から出てきたのは、めっさ元気な6人の20代前半くらいの若者。
ワイワイ楽しそうに大声で話すその姿はニット帽に金髪にピアス(おばちゃんはその3セットにビビる世代なのよw)、たばこを手に持ってる人もいるし、腰にぶら下げたチェーンがチャラチャラ鳴ってるよー、もー、怖いよー!!!!と心の中で叫びつつ、彼らから距離を何気にとりながら海辺で三脚などをセッティング。

ふと気づくと、その中のひとりの若者が近づいてきたーー!
ひーー!と気配にビビる私。
若者「あのー。撮影っすか?」
私「うん。そうですよー(必死で平静を装って笑顔)」
若者「俺のとうちゃんも写真をやってるんです。」
私「おお♪そうなんだ。あなたも写真はやってるの?」
というところから、他の若者もやってきて、なんとなく一緒にワイワイな感じになり、日暮れの時刻。

さて、日没の時間が近くなったので改めてお目あての岩を撮ろうかとファインダーを覗いたら、さっきの若者6人がその岩に登ってるーー!!!

岩とその向こうの夕陽の間に若者が6人立っていて夕陽が見えねーー!

「なんで登るのその岩にーー」と思うけれど、みんなの観光地。みんなの場所なので何も言えん。
3時間も運転してここに来たんだけどなー、と夕陽でシルエットになった6人を見ていた時、「シルエットの彼らも一緒に撮ればいいやん!」と神のお告げ(?)が。
そうか。別に風景写真だから人間が入ってダメとか自分で決めたらそこで表現の幅を自分で小さくしてしまう。

その直後、若者たちに「はい!みんなー!ウェーーイ!!!」ととっても抽象的な言葉を私は大声で言っていた。
ちょっと離れている岩の上の6人のシルエットが、ウェーイ!のポーズ(?)をしてくれた!
なんだかとっても楽しくなって、移り行く夕焼け空をバックにシルエットを数枚撮影して「はい!終わり―!」と言うと岩の上から大歓声(笑)。

岩から戻ってきた彼らに写真を見せてあげると、素直に喜んでくれて「ワンチーム」のような一体感がそこにはあった。
「岩と夕陽」という狙っていた写真は撮れなかったけれど、今日この奇跡のコラボレーションを撮れたことが何万倍も私らしいな、と思った。
私はやはり人を撮るのが好きだな、と自分軸を確認できたひとときでした。

その写真は、先月開催した仲間との写真展に展示しました。
キャプションのタイトル下の説明欄に、撮影の経緯と「カメラは素敵なコミュニケーションツールです」と書いたとです(笑)。