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ものを捨てられないわたしが始めた幸せサイクル

街中が徐々にきらめき、今まで通りとはいかなくても、少しずつ活気を取り戻してきた世の中。
「もうすぐ2021年も終わりだねー」なんて言葉も飛び交うようになってきた。

年末には大掃除をする方も多いだろう。来年をすっきりとした気持ちで迎えるために「断捨離」をされる方もいるのではないだろうか。

わたしは、その断捨離が苦手だ。
そもそも、ものを捨てること自体が苦手なのだ。

ゴミを捨てる罪悪感

断捨離といえばこの方と言っても過言ではないであろう、こんまり先生のベストセラー『人生がときめく片づけの魔法』を読んで断捨離をしたときのこと。
「こんなにさよならしなきゃいけないのか......」と、悲しくて情けなくて、しばらく床に座り込んでしまった。ときめきを手に入れたかったはずなのに、逆に鬱になるかと思ったくらいだ。ゴミ袋いっぱいに詰められたものたちを捨ててしまったことに、わたしは自己嫌悪になった。

捨てられないならば、ミニマリストのように”買わない”選択をすればいいと思われるかもしれないが、わたしはものを買うのが大好きだ。ファッションアイテム、器、本、化粧品などなど、好きなものや興味のあるものは「ここでしか出逢えないかもしれないし!」と理由をつけて我が家に迎え入れる。
ものはどんどん増える一方なのに、たとえ使わなくなったとしても、捨てることがストレスになる。

それ以外にも、ものを捨てる瞬間は日常の中に容赦なく訪れる。

食べ残し、傷んでしまった食材、枯れてしまったお花、合わなかった化粧品、ちょっと伸びてきた服、記念品としてもらったステッカー。
せっかくわたしの元に来てくれたその子たちをゴミ箱に捨てるたびに、いつも「ごめんなさい」と心の中でつぶやいた。

もっと計画的に料理をすれば、食べられたかもしれない。
もっと早くドライフラワーにする選択をすれば、捨てずに済んだかもしれない。
もっと丁寧に使っていれば、まだ現役で活躍できたかもしれない。

そのたびに感じていたストレスが、わたしの中に塵のように少しずつ、でも確実に降り積もっていった。

わたしの周りには、潔くものを捨てられる人が多い。何事も「ありがとう」と気持ちをこめて手放すことで、新しいご縁が訪れるのは、たしかにそうなのだろうと思う。ものを捨てられないわたしは、そういった”気持ちよく捨てられる人”に憧れてきた。見習おうと、マインドを理解しようと努めた。

でも、捨てるときはどうしても心のどこかがちくりと痛む。
”もったいないおばけ”が顔を出し、わたしに取り憑くのだ。

捨てなくてもいい幸せ

そんなわたしは最近、逆にその”もったいない”が活かされたときの幸せに気づき始めた。

残っている食材をうまく使って、美味しい料理ができたとき。
使わないものをメルカリに出品して、必要としてくれる誰かの元に渡ったとき。
着なくなった服をリサイクルしてもらうために、お店に持っていったとき。
お花をいけるときに切って生まれたお花のかけらたちを、うまくいけられたとき。
割れた食器を金継ぎすることで、新たな命を吹き込めたとき。

こんな風にちょっとした工夫をすることで、心に降り積もるのはストレスの塵から喜びの雪に代わっていった。

生ゴミの出ない生活

ものを捨てない取り組みの中でも、特にわたしの生活を手触り感のある豊かなものに変えてくれたのは、LFCコンポストだ。

今まで興味や関心はあったけれど、不安なことを並び立ててチャレンジしていなかった。
でもいざ始めてみると、この子がいない生活にはもう戻れない!と感じられる、わたしの人生のパートナーになった。

コンポストとは、生ゴミを堆肥にするもの。
いろいろ種類があり、生ゴミを入れてスイッチを押すだけ!のような、簡単に生ごみを減らすことができる機械もある。

LFCコンポストはそのような「手軽さ」を求める方にはお勧めしない商品だが、自分の手で生ゴミを自然に還していく実感が持てる商品だ。

やり方としては、基材を入れたバッグをベランダに用意し、その中に生ゴミを入れ、かき混ぜる。基本的にはこれだけ。
すると微生物たちが分解してくれ、ふかふかで栄養たっぷりの堆肥になり、その堆肥を使って野菜を育てることができる。
(ちなみにこの微生物たち、寿命はわずか15秒ほど。長くても1時間とのことで、常に世代交代をしている。なんて健気な子たちなのだろうか。)

1ヶ月で合計20kg程度の生ゴミをコンポストのバッグの中に投入するのだが、できあがった堆肥は驚くほど軽く、もともとの重さとほとんど変わらない程度にまで減っている。
量が増えてバッグから溢れてしまうこともない。

生ゴミは、約90%が水分だ。
そしてその生ゴミが、わたしたちの生活から出る燃えるゴミの4割を占めている。

それをコンポストの中に入れることで、家から出るゴミは格段に減ったし、臭いに悩まされる事もほとんどなくなった。
(分解されにくい貝殻などは投入できないため、牡蠣を殻ごと買ったときなんかはすごく部屋が臭くなり、生ゴミを普通に捨てていた生活を思い出す。)

コンポスト生活で不安なこと

東京生まれ東京育ちのわたしは、土にもほとんど触れない生活だった。
だから、不安もたくさんある。
なにせ初めてのことなので、わからないことだらけだ。

でもこのLFCコンポストは、LINEで質問ができるため、安心だ。
この生ゴミは入れてもいいのか、白いカビのようなものができたが大丈夫か、などなど、わからないことは逐一聞いている。

最初はバッグを開けるときに虫が出てこないかなど心配だったが、今のところ虫が発生したり寄ってきたりすることはなく、何かあったときも相談先があるので安心して続けることができている。

できあがった堆肥の使い道

ちなみにわたしは去年から、ベランダでハーブを育て始めた。
おうち時間が長くなり、以前から憧れていたお庭のハーブを摘んでハーブティーや料理を作ることを実践したかったからだ。
毎日植物の様子を見て、お水をあげるあの時間が、たまらなく愛おしいと感じた。

コンポストを始めて堆肥もできてくるし、ベランダ菜園を増やして野菜も育てることにした。
でも、ベランダの広さには限界があり、堆肥はすべて使いきれない。溜まっていくばかり。

そんなときは、堆肥の回収会も定期的に実施されているので、その会場で引き取ってもらえる。

一度実際に参加したのだが、そのときは農家さんやその農家さんの野菜を使っているレストランのオーナーの方にもお話を聞けた。
自分たちの堆肥を農家さんに渡し、その堆肥を使って野菜を育ててくれ、その野菜がレストランで調理され、わたしたちが食べる。東京にいながらも食の循環に関われる喜びを感じた。

自然とつながれる幸せ

この美しい地球を守りたい。なんていうと大げさに聞こえるかもしれないけれど、自然と切り離されてしまったようなこの都心の生活で、わたしの心はどこか貧しくなっていた。
そんなわたしがLFCコンポストを通じて、やっと自然の中に少し入れたような、地球の一員になれたような、そんな気がしている。

ものを捨てられない。この罪悪感は、自然へとつながることのできるヒントだった。
自分を満たし、地球のためにもなる。わたしにとっては最高のものに出逢えた。

みなさんにも苦手なことがあるかもしれないが、そこから見つかる幸せが、もしかしたらあるのかもしれない。

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