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気づいたら、生活は戦いだらけだ


ふと気が付いてしまった。

世の中は戦いばかりだと。


なにを物騒なことを言っているのだと、思われるかもしれない。

いやいや、なにも私は、世界戦争が始まろうとしているとかそういうことを言おうとしているのではない(実際にそれが始まろうとしていたとしても)。


もっと近く感じられるところ、つまり、私たちの日常生活という次元にも、『戦い』があふれているということに、気づいてしまったのだ


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たとえば、


買い物に行く。スーパーでチョコレートを買いたいからだ。

こんなちょっとした外出でも、コロナ禍だからマスクは必須だ。アルコールスプレーも持っていこう。

そうそう、このコロナってやつ、テレビや新聞に毎日取り上げられているが、その見出しは大体こう。


「コロナとの戦い、……」


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スーパーに着く。平日の午後3時くらい、お菓子コーナーにはランドセルと私ぐらいしかいない。学校終わり、買い物の付き添いにでも来たのだろうか。私の半分ほどの背丈なのに、上品な制服の女の子だ。

ふと思い出す。自分のことだ。教育は大学まで受けている。疑う暇もなく、「受験戦争」なるものに身を投じ、それを勝ち取ってきた。

実際に勝ち得たものといえば、組織というものの段取りの悪さと、集団というものの恐ろしさくらいかもしれないが。


女の子はマシュマロだった。そうだ、私はチョコレート。棚の2段目、赤とか茶色とか、お馴染みの包装紙を見つけた。この中では、茶色が一番安い。赤はちょとだけ高い。でも、赤はちょっとだけ大きいような気もする。

同じチョコレートだけど、値段とか、大きさとか、ちょっとずつ違う。こういうの市場競争とかいうらしい。

正直、どんぐりの背比べって感じ。まあ頑張って。

私はご褒美に金色買うから。


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家に帰り、手を洗う。念入りに洗う。コロナとの戦いに打ち勝つため。今、この瞬間、アワアワは掃討作戦中かもしれないから。


着替えをした後、テレビをつける。放送は最近、ノンフィクションが多い。貧困、差別、災害。人間には色々ある。

決まって文句はこう。

「○○との戦い」


社会問題は人間の打ち勝つべき敵なのだろう。
みんなが知らなければいけない情報なはずなのに、公共放送のタイトルは難しく、いかにもインテリ向けって感じだ。

まあいい。何となくチャンネルを変えると『刑事コロンボ』。新シリーズはつまらないって言われてるけど、まだ見たことがないので確かめてみる。

あ、そうだ。金色。ビニール袋に入れぱなしだった。テーブルの上で一息。時刻はもう午後9時半だった。

今食べたら確実に太る。しかしながら、正午ごろに起きた今日1日は、この金色のためのものだった。欲望と対峙。自分との戦い。


……。


また負ける。





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