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22テイストイメージ診断 第3回

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さて、前回は、テイストスケール法を用いてファッションを分解し、テイスト位置を判断するやり方をご説明いたしました。また、22のテイストをご紹介し、それがどのようにできあがったのかを簡単にご説明いたしました。今回は、22テイストイメージ診断の結果としてお伝えする「テイスト名」をどう解釈するか、ということから書いていきたいと思います。

単に「あなたはキュートです」と言われれば、ごく普通に「そうか、私はキュートなファッションが似合うんだな」と理解されるのではないかと思います。22テイストイメージ診断でも、キュートというテイストを説明するのに、確かにキュートなファッションの特徴をあげています。それは間違いありません。ピンク、小さいドット柄、細かいギンガムチェック、バルーンスリーブやバルーンスカートのような丸っこいシルエット、結んだリボンやハートのような丸っこいモチーフなど、ガーリーで甘めのファッションによく使われる要素を「テイストがキュートの方におすすめ」としております。が、そういうファッションしか似合わないとなると、ビジネススーツのように甘くしたら絶対に変である服装はどうすればいいのか、という話になりますよね。そうでなくとも、いつもいつもそんなに可愛い格好ばかりできるか、ということもあると思います。同じような服装ばかりしていると単純に「飽きる」ということもそうですし、トレンドも取り入れたいですしね。たとえばビジネススーツでしたら、「生地はハリがあってサラッとしたものを選ぶ」「できるだけ明るめの色にする」「ジャケットの襟は小さく、あまりに鋭角的にならないように」「スカートをできるだけ丸みを帯びたシルエットにする(直線的なラインやタイトスカートを避ける)」など、いくつかポイントを押さえることで、巧妙に(というと言葉は悪いですが)キュートにすることができます。そのファッションは、ぱっと見は特にキュートな印象にはならないかと思います。しかしそれは、テイストがキュートの方にはしっかり似合うファッションになります。と、いうのが、「キュートの位置」を守ってファッションを構成する、という意味です。

「キュートの位置」は「かなり軽くてかなり強い(最も軽い位置よりは少し重く、最も強い位置よりは少し弱い)」ところでしたから、「色は明るく鮮やかに」「配色コントラストは強く」「生地は軽く強く」「柄は小さくくっきりと」ということなのですが、ビジネススーツにピンクやスカイブルーやライトイエローを持ってくるのは気が引けますし、柄物がふさわしくない場合も多いでしょう。柄物にするにしても、ピンクのドットやはっきりくっきりした小花柄などは気が進みませんね。せいぜいブルーのストライプくらいでしょうか。色も柄もキュートの位置を忠実に守ることが難しい状況です。その部分に関しては、少し妥協が必要なようですね。「配色コントラストは強く」と「生地は軽く強く」はできそうです。ジャケットとシャツの明度差を出すことはできますし(紺と白、など)、ジャケットの生地をできるだけハリのある薄手のものにし、シャツをラフにならない程度にコットン感のあるものにすることもできますね。そして、衿幅やボタン、ポケット、ステッチなどのディテールをきちんとキュートの位置にする。そうすることで、ピンクの小花柄のようないかにもキュートなアイテムを身につけることなく、キュートの位置のファッションを実現することは十分可能です。22テイストイメージ診断の結果が「テイスト位置」である、という意義がなんとなくご理解いただけたでしょうか。ただ単に「あなたはキュートなファッションが似合いますよ」「キュートなファッションというのはたとえばこういうことですよ」というだけではない、応用力が得られる診断結果であると思っております。

診断を受けることで、「自分はこういうファッションしかできないんだ」「こういうファッションをしたらダメなんだ」という気持ちになってはいただきたくない、というのが私が常々強く思っていることです。逆に、「こういう服は似合わないと思っていたけれど、工夫次第で似合うようにできるんだ」「こういうタイプのファッションは私には似合わないと思っていたけれど、自分に合うようにそれっぽい雰囲気を演出することができるんだ」ということを知っていただき、より幅広いファッションを楽しめるようになっていただきたい、と思っています。もちろん、ものすごく似合う、鉄板のコーディネートというのは誰しもあるもので、それに比べれば「工夫して自分のテイスト位置に寄せた」ファッションには多少の不調和はあるかもしれませんが、「ぎりぎり似合う」ならばそれで十分だと思います。

ただやはり、テイストがエレガントの方のアウトドアファッションなど、難しいものもあります。エレガントの方は、まず普段着が難しいんです。エレガントの位置にぴったりの生地は、だいたいが高級品なのですね。たとえば子供と水遊びをするときにシルクを着るのは勇気がいりますから。それでも色とディテールをきちんと気にすれば、安価なアイテムのみでエレガントの位置に近いファッションは十分に実現できます。お買い物のコツなども、テイスト位置を意識することで身についていきます。ぱっと見たお洋服やファッション雑貨のテイスト位置がさっとわかるようになると、ウィンドウショッピングをしている最中にあちらから「呼ばれている」ような感じがするんですね。これは私のテイスト位置にぴったりだ!という閃きがあるんです。できる限り、呼ばれるままに手に入れておくとよいのではないでしょうか?そのようにしてワードローブを育てていくと、少ない枚数で毎日のファッションが楽しめるようになるのではないかと思います。たくさんのお洋服をコレクションすることも、ファッションの楽しみのひとつではありますけれどね。ライフスタイルに合わせて自分のファッション計画を立てるというのは、自分に似合うコーディネートができるというのとはまた違った技術かもしれません。それもなかなかに奥が深い話だと思いますが、その話はいずれまた。

さて、テイスト位置について、もうひとつお話ししたいことがあります。それは、同じテイストでも、おひとりずつ違う点がたくさんある、ということです。同じナチュラルでも、トラディショナルに近い強めで重めのナチュラルの方もいらっしゃいますし、ソフトモダンの方に近い軽めで弱めのナチュラルの方もいらっしゃいます。位置そのものが、同じテイストと診断された方でも、おひとりずつ異なる、ということですね。

それとはまた違った話で、その位置をどのようなバランスで実現するか、という点でも差があります。ある方は、彩度は少し高めにするけれど(ナチュラルは中彩度が適切なテイスト位置ですが、それよりもやや高彩度の色を用いる)、その分装飾の少ないシンプルな構成にすることで(ナチュラルはストールやベルトやネックレスを足したコーディネートが映える方が多いのですが、それはやめる)、最終的な位置をナチュラルに持ってくることが必要。ある方は、彩度は低彩度寄りにしたほうがいいけれど(その分、強度が弱くなる)、配色のコントラストを強めにして、生地感も粗めのものを選んでしかも異素材を組み合わせる(その分、強度が強くなる)ことが必要。ある方は、どうやってナチュラルの位置に持ってくるかはあまり気にしなくてよく、とにかく位置さえ守ればなんでもいい(似合うコーディネートの範囲が広くてラッキーな方です)。だいたいにおいて、テイスト位置さえ守れば失敗コーディネートにはならないのですが、もう一歩進んで、さらに魅力的に見せるためにはここまで考えることが大切です。私の実感としては、ここまで理解して初めて「診断を受けた甲斐があった」という感じだと思うのですが、というのは、大抵の方が「ここだけはこうしたほうがいい」というポイントを(つまり「彩度はやや高めのほうが絶対いい」とか「生地感をこれ以上強くしてしまうと、他をがんばっても挽回が難しい」とか)いくつかお持ちだからで、それを知ることでご自身の持ち味が明確になるからです。見せ方のポイントを知ると、それはそれは強力な武器になります。いつでもどんなときでも、唯一無二の「あなたらしいファッション」になるんです。役者さんなどは、「あの人ってこういう感じの人よね」「こういうところが素敵よね」という際立った個性をお持ちですよね。あるいは、全方位に好感を与えることができる普遍的な魅力をお持ちです。つまり、そういうことなんです。あなたもそうなれるんです。不思議なことに、ファッションタイプを確立すると、個性の方向が明確になることでいろいろな面で力が発揮しやすくなるんでしょうか、あるいは自分を知り自分を表現することで精神が安定するんでしょうか、人生が正のスパイラルを描き始める方がたくさんいらっしゃいます。この話も、あまり深入りすると長くなりそうなので、いずれまた。

さて、次回は、どうやって診断をするのか、という部分をお話ししていきたいと思います。

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