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最近、当てもなくどこかに行くことなどなかった。

すっきりとした青空が広がる快い1日。やる気を出して、洗濯と掃除機かけを終える。シーツも変える。いつもこんな青空だったら、だらだらせずに生きていられるのに。そんな信ぴょう性のない考えも浮かんできてしまうほどに気分がいい。

少し離れたところにあるコーヒー店までドライブでもしようということになり、午後から出かける。せっかくだからと、いつもの普段着ではない、ちょっと気分の上がる服を選ぶ。服に袖を通しながら、最近、こんなふうに楽しく服を選ぶこともなかったなあと思う。

普段は通らない道を行き、30分ほど車を走らせて、郊外のコーヒー店にたどり着くと、そこには車がぎっしり詰まった駐車場とお店の外にあふれ出す人。おお、これは……! そもそも駐車場が空いていないわけであるが、仮に車が停められたとしても、今のわれわれはまだ、あの中に入っていく気持ちにはなれない……。夫と無言で顔を見合わせて、きびすを返すことにした。結局、もう少し家の近く寄りのおなじみのコーヒー店に身を寄せる。いつものように、わたしはカフェラテ、夫はブレンドをテイクアウト。安定の選択だ。

車に戻り、コーヒーを飲みつつドライブを再開する。なにしろ天気がいいのでどこかに行って何かを見たい気持ちもあるが、どこへ行けばいいのか、さっぱり思い浮かばない。最近、当てもなくどこかに行くことなどなかったせいで、うまく頭が働かないようだ。こういうのは、日ごろの訓練がものをいうのなのかもしれない。

どこへ行くともなく車を走らせていると、「そういえば、このあたりのはず」と夫が言って、広い公園の近くで車を停めた。前にクラフトビールを買いに行ったお店の支店が、そのあたりにあるのだそうだ。そういえば、ちょうど、そこのビールをまた買って、友人に送ってあげたいなと話していたのだった。よし、行ってみようということになり、お店の前までたどり着いたものの、店内は暗い。ドアに貼られた案内を見ると、今日まで営業自粛中とのことだった……。わ、残念。

なんだか今日は“お店運”がない日のようだ。こんな日は、粘って他に行こうとしても、結局、うまくいかないのが関の山だ。おとなしく帰ろうということになり、われわれは肩を落として家に帰ってきたのだった。張り切って行動したわりには何も残さないような、よくわからない1日になってしまったが、帰ってきたときに家の中が片づいていたから、それだけでもう十分いい日だったのだと思おう。

(2020年5月17日)

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