⑬「どん底ホームレス社長が見た闇と光」
5日間、食べるものもなく
しかし、食費を浮かした生活も長くは続きません。仕事も軌道に乗るまでは時間が掛かり、収入も安定しません。ついに食費も底をついてしまいました。数日間は、納豆、もずくで飢えを凌ぎましたが1週間ほどすると、それも底をつきます。
ついに全ての食品が目の前から消えてしまったのです。それから5日間、ほぼ水分だけで耐えましたが、体は身中からフラフラです。栄養失調の孤独死も覚悟したほどです。そんな時、東京の友人から1本の電話が。「元気にしているか?」と電話の向こうで友人の声が響きます。私は正直に「食料がない」とも言えず、「何とか頑張ってる」と言うのが精いっぱいでした。
しかし、友人は何かを感じたのか、「本当は苦しいだろ」と私の心の中を読んだかような言葉でした。「実は・・・、5日間、何も食べてない」と答えると、「バカか!!何故、もっと早く言ってこない!!」と叱る口調で言われました。「すぐに何かを送るから、もう一日だけ頑張れ!!」。私は、その言葉にどれだけ救われたことか。
翌日のお昼過ぎ、段ボール箱2個が宅急便で届きました。段ボール箱の中には、ラーメン、缶詰、お菓子、パン、お米、レトルトパックのカレー、果物等がギッシリと詰まっています。すぐに友人に電話で感謝の気持ちを伝えました。「こんな時に助けてくれるのが本当の友人だ」と心の中で叫んだものです。昨日、電話を切った後、仕事中にも関わらず、すぐに食料の調達に走ってくれたのですから。
暫くの間の食料に目途が立ちましたが、まだ仕事で移動する交通費の目途が立ちません。恥ずかしい思いはしたくはなかったのですが、クライアントに電話をして、月末に振り込まれるお金を早めに振り込んでもらえるよう、お願いをしました。背に腹は変えられませんからね。
笑いが出たら本当のどん底
ホームレスからのどん底生活は、依然として続きます。先が見えないその日暮らし。目に見えない力で上から押さえ付けられているような感覚でした。人はそんなどん底生活を続けるとどんな感情が湧いてくると思いますか?不思議なことに自然と笑いが出てくるのです。どん底生活なのに変な人と思うかもしれませんが、笑いが出ると、そこから下はないと私は直感しました。
人は前を向くか上を向いて笑いますよね。下を見て笑う人は少ないと思います。この笑いが私の心を楽にさせてくれました。前を向いて上を向いて笑っていると気持ちも前向きになれるのです。苦しい人生にある人も笑い出したらそれが本当の底ですから、もう落ちることはありません。笑いが出ない人は、まだ底に至っていないのかもしれません。笑いって凄い意味があるのです。
毎日、笑って生活をしていると、不思議なもので、新規の仕事も入ってくるようになりました。しかめっ面で生活をしていると悪運に好かれてしまいます。反対に、笑顔でいると良運が寄ってくるのです。どんなに苦しい時でも笑顔を忘れずというのは難しいかもしれませんが、毎朝、鏡で顔を見る時だけでも笑顔を心掛けてください。良運が寄ってきてくれますから。顔の表情で人生を変えることができるのです。
生きることを選択したホームレス社長
やっと目標や将来の夢を見ることができるようになった私は、具体的な内容をノートに書くようにしました。文字にすると不可能が可能に見えてくるのです。可能性が見えた時、生きる意欲も湧いてきます。本当のどん底を見た人間は強いです。死ぬことを覚悟して人間が「人に何と言われようが生き抜いてやる!!」と、思えるようになるのですから。それからは勝つ人生より負けない人生を選ぶようになれました。
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