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⑯「どん底ホームレス社長が見た闇と光」

少しずつ向上させる

 そんなやる気のない生活が一年程続きました。しかし、私は、生活をする為に、仕事をしないといけません。セーブしながらと思いつつ、ついつい頑張ってしまうものです。その頃が、治療の中でも一番つらかったでしょうか。やる気がなく睡魔に襲われる状態の中で、頑張らないといけないのですから。いつになればこの状態から脱せられるのかという不安と焦りが交錯していました。

 やっと精神状態も安定し出して、治療も次の段階に入ります。まずは、今までの薬の量を減らし、気持ちを上向きにする治療が始まりました。薬を切り替える時は不安定さが出ますが、これでやっと初期段階を卒業し、次のステップに進めるという気持ちでした。

 それでも、病気と一人で向き合わないといけないという孤独感はあります。誰かにこの状態を話して、少しは楽になりたいという気持ちもありました。そんな時に気持ちを癒してくれたのは、家の近所にある公園で無邪気に遊ぶ子供たちでした。孤独感で心がはち切れそうになると、いつも公園に行って、大空の下で遊ぶ子供たちを見ていました。元気な姿に勇気と笑顔を貰ったものです。

 心の病気というものは、一人で立ち向かうのは難しいものです。だからといって、状況を変えることを出来ないことも事実です。心が叫んでいても、解決するのは自分自身です。どうすれば心が安定するかは人それぞれ。無理に頑張って、もっと仕事をしようなんてもってのほか。今、ある状況をいかに崩さないようにするかが大事です。他人に何を言われようが、病気の時こそ、自分を信じることが大切なのです。

 
長期間の治療を終えて

 私は、持ち逃げ詐欺に遭ったことで、人を信用出来ないというトラウマがありました。そのためか、治療には8年程かかってしまったのです。その期間、ずっと一人での闘いでした。こんなことを思ったことが何度あったでしょうか。「同じ屋根の下に家族と呼べる人があれば、もっと早く治っていたんじゃないのか」と。

 人は弱いものです。一人で生きていくことは、いかに大変か。今、病気、人間関係、お金の問題・・・等と闘っている人もいるでしょう。しかし、決して一人で解決しようなんて思う必要はありません。身近な信頼できる人にアドバイスを貰ってください。自分にはない知恵が湧いたりしますから。

 私は、長期間の治療を終えて、自信を持って言えることがあります。寄り添う人がいることがいかに大事かということです。どんな苦悩があったとしても、一人の寄り添ってくれる人がいるだけで、心の安らぎを得ることが出来るのです。家族であっても親友であっても、先輩であってもいいのです。私は、残念ながら寄り添う人がいませんでしたので、医師を信じることしか出来ませんでした。しかし、病院では話を聞いてもらえますが、家に帰ると孤独です。それがまた病気を悪化する要因にもなるのです。

 今は、やっと人を信用できるようになり、仲間も沢山できました。まだ家族はいませんが、やっと病気から抜け出せたように感じます。私の場合、一番苦しかった時に寄り添って貰える人はいませんでしたが、これからは、私が寄り添っていける立場になりたいですね。

 私は、心の病で苦しんだ分、心の病気を経験していない人以上に出来ることが沢山あると思います。人にアドバイスをするにしても、自分が経験したことほど、説得力のあるものはありません。ホームレス時代、自分で命を絶とうと考えた頃には、もう病気に侵されていたのでしょう。今となっては、他人の自分と思えるぐらいです。

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