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「規格外」な野菜なんてない

私はこの1年間「規格外野菜」を軸に活動してきた。

「フードロスという社会問題を解決したい」
という漠然な想いから知った規格外野菜のおかげで、私のやりたいことが見えてきました。
そして、その過程ではたくさんの方にお世話になったので、今までの活動報告&今後の抱負noteを書くことにしました!

今の私をつくっている『チャレンジと出会いと葛藤』の1年。

さくらって規格外野菜の話してた人ね!と思った方はぜひ読んでみてください。

▼目次の活用方法
・東京住みのJKが規格外野菜に興味を持った理由を知りたい人→1.
・私の2020年の活動について知りたい人→2.
・私が半年間続けてきた活動を止めた理由を知りたい人→3.
・私のやりたいこと探しと近況(2021〜)について知りたい人→4.
・「さくら」という人に興味のある人→全部

1. 規格外野菜との出会い

私は食べることが大好きです。

美味しいごはんを食べると幸せになるし、小さい頃から家族で食卓を囲んでいたこともあり、食を通じて生まれる会話や繫がりに魅力を感じるから。

ーーー
そんな私はある日、コンビニで沢山のおにぎりがゴミ箱に放り込まれている様子を見て

捨てるんだったら私が食べるよ?
他にお腹を空かせてる子達にあげられないの?

と驚愕して「食品ロス」という言葉を知りました。


それから食品ロスを減らしたい!と思い立った私は、日々の食事を楽しみながら、食品ロスへの関心を高めるために「食品ロス削減に取り組むお店に特化した予約アプリを作ろう!」と意気込み、
イベントでプレゼンしたり、フードロスの分野で活動してる大人の方に直撃してアドバイスをいただいていました。

ーーー
そんな中、アプリのお話をある方にした際、神戸市を中心に活動する八百屋のタケシタを教えてもらい、形や大きさの問題で市場に出荷できない規格外野菜を知りました。

しかしこの時の私は、規格外野菜どころか食品ロスの全容についても無知だったので
参加していたプログラムのメンターの助言もあり、生産・加工・小売の現場で発生する「まだ食べられるのに捨てられてしまうもの」について、13人の現場の方にインタビューを行うことにしました。

そして、

・データが取れている中だけでも、年間200万トン超の規格外野菜が発生している
・市場に出て消費者の目に触れることなく、廃棄されてしまう

という規格外野菜の現状を知ったうえで

改めて、
「規格外野菜を換金(価値の定義)できる場を作りたい」と思うようになりました。

(3本全部規格外です。右端のものは少し傷が付いているだけ)


2.規格外野菜との歩み

しかし、一般に「規格外品」と言うと

正規品(規格内のもの)よりも劣っている ≒ 安値で売られるべき

という考え方が
生産者、卸売業者、小売業者、消費者
全員にあります。

だから、インタビューの中でも

安値の規格外品に引っ張られて、正規品の価格も下がってしまうので、規格外品を販売することは反対だ

という声を何人もの農家さんからいただきました。


だけど、形が変だと安値になるっておかしくないですか?
上記の写真のように少し傷がついていたり、規格から数cmはみ出しているだけで安くするのは、その作物のナニに価値を見出しているのだろうと疑問を抱きました。

もちろん「形」という判断基準があってもいいけれど、だったら「味」や「〇〇さんの畑で作った」などの他の基準があってもいいのでは?と思います。

ーーー


消費者は、スーパーで目の前に並んでいる均一な野菜を受動的に買っていくだけ。
生産者は、作物を「形」だけで評価されて、しかもその評価をしているのは買い手ではない。

という現状を変えたいと思いました。

ーーー

「規格外品は安値で売られるもの」という前提をなくす。

そこで、私達が思いついたのが
規格不選別の幼児向け食育キットです。

やはり、「規格外品」と聞くと、抵抗がある人もいるかと思います。
また、規格外品を普通に売ろうとしても安値にせざるを得ないだけです。

そこで、"規格外品の安値以外の価値"を考えた時に、私達は、"面白い形"ではないかと思いました。

"面白い形"は曖昧すぎて明確な価値とは言えないかもしれない。
けれど、その"面白い形"に興味を持ってくれる可能性の高い子どもを対象にして、子ども達から規格外野菜に親しんでもらえないか試してみようと決めました。

そして、購入者である子持ちの親が買いたいと思えるように、3日分のレシピ付きの食育キットという手段を選びました。

規格不選別なのは、規格外品と正規品の区別なく届いた野菜を見てほしかったからです。

ーーー
また食育キットの実現と並行して、規格外野菜について知ってもらうために、

①オンライン学童ではみだしやさい(規格外野菜)の授業(小学1〜4年生対象)

②マヨラー集まれ!
…農家さんと直接話せて規格外野菜について学べるオンラインイベント(友人が書いたイベントレポートはこちら

↑参加者の方がグラレコしてくださいました✍️

を開催しました。


ーーー
余談ですが、
イベント後に

フードロスの話をした時に子ども達が「はみだしやさい(規格外野菜)だね!」と言っていたよ

と学童の先生から聞いたり、

規格外野菜について大学の授業でプレゼンしたいから登壇してくれた農家さんに直接お話を聞きたい

と参加者の方から連絡が来た時は

私達のイベントをきっかけに、少しでも意識変革ができたことを感じて、とても嬉しかったです!!!

ーーー


3. 私のやりたいことは「規格外野菜を売る」ことじゃない。

それから食育キットのプロトタイプを作ろうとしましたが宅配サービスのオペレーションや提携農家さん探しの難航という壁に当たった時期がありました。

よくよく考えてみると、その理由は現場を見ていないからではないかということに気付きました。
(インタビューした農家さんは全員遠方住みで、コロナ禍ということもあり訪問ができませんでした。)

ーーー
そして、ようやく訪問できた農家さんの元で
収穫〜出荷を体験して生の声を聞いた私は、
ネット上の情報とは全く違うと痛感しました。

例えば…

①農協以外に卸す場合、規格は自分次第

②きゅうりの太さは味に影響を及ぼす
規格外品も正規品と味は変わらないんですよ!と絶対に言える訳ではない

規格外野菜はフードロスではないのでは
- 生産現場よりも小売(店舗)で発生するロスの方が、輸送・保管・人件費等のコストを考えると、大きなロス
- 出荷できない野菜はそのままにしておけば土に還る

それから私は、規格外野菜を食育キットとして「売る」ことはベストではないのではと思い始めました。(この理由は次の章で分析してます。)

「『何か』もやもやする」

一旦、立ち止まろうと思いました。

この『何か』は何なのか。
よくわからなくて上手く言語化できなかったので
間違った道を突っ走り続けるよりも
この『何か』を解決して
本当に私がやりたいことと向き合うこと
が大事だと思いました。

ーーー
やっぱり私は食が好きで、これからもずっと関わりたいからこそ

もっと知識を得て、現場を体験してからよりよいものを作りたい
・「今、形にする」ために焦って、誰かが納得できないモデルを作っても意味ない

と今までの自分を振り返って強く思いました。

ーーー
だから、中途半端かもしれないけど、食育キットを止めて、自分のやりたいこと探しをすることにしました。

それからは、知人に紹介してもらったチバベジでマルシェ出店や販売のお手伝いをしたり、援農に行ったり、食フェスの運営に携わったりしました。

↑傷つきナス🍆
葉と実が、風などで擦れることによって傷がついてしまうそう。

↑みつ症のナシ🍐
蜜が入ってあま〜いナシ。蜜が入ると腐りやすいという理由から、市場には出荷できないのです。
昨年の夏は特に、みつ症のナシが多かったそうです。

↑無印良品・つながる市でのチバベジの出店🚙

4. 『何か』の正体▷私のやりたいこと

規格外野菜を軸に活動し始めた頃から、私の中で変わらない信念があります。

「規格外品は安値で売られるもの」という前提をなくす

この裏には

「規格」という基準に囚われずに、そのものの価値が正当に評価される社会を作りたい

という想いがあります。


そして、『何か』もやもやしてたのは

・フードロスを減らす
・「規格外品は安値で売られるもの」という前提をなくす

という2つのやりたいことがごっちゃになっていて
食育キットの企画も「フードロスを減らして、規格外品=安値という固定概念をなくすために規格不選別で売る」というどっちつかずのものになってしまっていたからだと思いました。

ーーー

フードロスを減らすにも
「規格外品≠安値で売られるべき」を伝えるにも
食育キットよりもベストな方法があるけれど、
一見どちらも解決できる「食育キット」という手段に引っ張られていた

ーーー
改めて、私が食に関わりたいと思った根本にある理由は
『美味しいものを食べた時の充実感や繋がりや会話が生まれる食に魅力を感じているから』

その魅力を多くの人に感じてほしいし、
そんな食を支える人たち、特に生産者が自分の仕事に満足できる仕組みを作りたい。

2つ目の想いは、この1年間、15人もの生産者さんのこだわりや課題を聞いてきたからこそ芽生えてきました。

ーーー
そして、そんな社会を作るには「売る」よりも先にまず、
お互いを「知る」
作り手の魅力や想いを「伝える」
べきだと思いました。

私たちは、生産現場について知る機会もないし、誰が作ったのかもわからないから、平気で食べ物を捨てられたり安さだけが選ぶ際の基準になるのではないでしょうか。

だから、

そこに生じる生産と消費のギャップを埋めるために、生産現場についてや食卓に来るまでなどの食の裏側のストーリーを「伝えたい」

と思いました。

ーここからは2021ー
そんな時に、食育キットの活動を一緒に行っていた友人に『たべるえほん📚』の制作に誘ってもらいました。

彼女は、絵が好きなことと幼い頃に読んだ絵本が自らの価値観に影響を与えた経験から、没入体験型絵本を考案・制作していました。
(※没入体験型絵本: 絵本に登場する料理を、同封した食材で実際に再現できる絵本)

絵本のテーマは「はみだしやさい(規格外野菜)」
幼稚園〜小学校低学年向けで、出荷できないはみだしやさいたちが美味しい料理になる絵本です。

私の小さい頃の夢は小説家だったので、絵の得意な友人と作った絵本で、食の裏側のストーリーを「伝える」ことができたら素敵だなと思い、携わることにしました。

絵本の巻末に描いてある【ひび割れトマトの原因と害虫】についての4コママンガ↓

drawn by Nao


しかし、友人と話し合った結果、私達のやりたいことは少しずつ違って、それは絵本でなくてもできるため、このたべるえほんは第1弾で打ち切ることになりました。
最初で最後の絵本は、子ども達に読み聞かせをして、図書館に寄贈する予定です^^

たべるえほん制作では、今まで知らなかった東京都の農業系の団体の方や農家さんと関わる機会が増えて、生産緑地や相続、機械化の難しさについて聞くことが多かったです。

ーーー
フードロス→規格外野菜→生産現場のストーリー
と来た私のやりたいこと。

私は先程、

食を支える人たち、特に生産者が自分の仕事に満足できる仕組みを作りたい

と言いました。

そして、たべるえほん制作を通じて今まで以上に農家さんの話をじっくり聞くことが多く、1次産業(農業に限らず)や十人十色の作り手のこだわりにスポットライトを当てたいという想いがより強まりました。

そのためには、

①食の裏側のストーリーや生産者の魅力について「伝える」ことで買い手の意識変革をする
- 「食」を通じて生産者と関わることに興味を抱いてもらう
- 農業の5K(きつい、汚い、かっこ悪い、稼げない、結婚できない)のイメージを払拭する

1次産業の活性化を促す「仕組みを作る」
例えば…
- 狭い農地が点在していることで機械化が阻まれないように土地の整備をする
- 1次産業を儲かる産業にする
→農家は生計が立てられないから継がせられない、とよく聞くけど本当にそうなのか。

という2つのことが大事なのではないかと「今は思ってます。」
これはあくまで私が考えてることなので、まずは1次産業の現場についてもっと知ろうと思ってます。

ーーー
「結局、さくらのやりたいことって何?」
と聞かれても、正直なところまだやりたいことはこれ!と明確には決まっていません。

それに今すぐ決めなきゃいけないことでもないかなと思います。
何でも挑戦できる「今だからこそ」、色々な人の話を吸収して、私だけじゃなくて、多くの人が求めてることを形にしたいです。

また心を動かす経験を重ねてやりたいことが具体化してきたら、noteに書こうと思ってます。
まだまだこれから💪


最後に

2020年は、ここでは書ききれないくらい色々な方に出会い、協力してもらいました。

この1年間を通じて得た1番の学びは
『行動すれば自ずと道が見えてくる』

行動しないと何も始まらないし、
行動したら、新たな学びがあって、自分が挑戦した分だけスキルも考え方も成長しました。
ネットサーフィンしまくって知識を得たつもりでいても、ネットに書いてある通りに物事は上手くいかないことも実感しました。だからこそ、現場を見て生の声を聞くことが大事だと感じています。

ー1番伝えたかったことー
行動して、みなさんから聞いた話や現場を見て体験する中で感じたこと、私に向き合ってくれた方からのアドバイスや意見の一つ一つが今の私の価値観を形成しています。ありがとうございます!

これからもどうぞよろしくお願いします🌱


2021.04.30🌸

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