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戦争が私にもたらした変化

ロシアがウクライナに侵攻を始めて3月24日で一か月が経過した。
当初、首都キーウは二日で陥落するとか、二週間は持ち堪えられないとか、色々な推測がなされていたが、気づけばウクライナは一か月戦い続けている。ウクライナ軍は一度占領された地域を奪還する動きも見せており、今後の展開を予測することは困難だ。しかし、一つだけ言えるのは、ウクライナの人々は諦めていないということだ。

この一か月、私はニュースで状況を追いながら、ウクライナとロシアの歴史やロシアの思想について調べてきた。
一方的な侵略行為については100%ロシアが悪であることは確かであり、今まさに命を懸けて戦っている人々がいる状況で、私にできることは寄付と勉強と、こうしてnoteなどで発信することだけというのは、歯がゆいと同時に何か罪悪感のようなものを抱かせる。
しかし、短期的にできることは少なくても、長期的にみれば勉強や発信は無駄ではないかもしれない。
この戦争がどのような終結を見るにせよ、我々は難しい選択を迫られることになるだろう。私は、せめてその時に迷わないよう(あるいは考えるだけの材料を持っておくため)に、色々なことを知っておく必要があると思う。善悪二元論で片付く話ではないのだ。

さて、本投稿の主題に移ろう。
軍事侵攻が開始されたことにより、私個人にどのような変化があったか、行動面、精神面にわけて記述していく。
私自身のための備忘録としての意味合いもあるが、戦争という現実を第三者視点から見たとき特有の傷つきについて記述することで、同じ境遇に置かれた人々と経験を分かち合い、安心してもらいたいという想いもある。傷ついているのは貴方だけではない。
当然、皆が私と同じ過程をたどることはないが、少しでも参考になる部分があれば幸いである。

1.行動面の変化

LINEで友人から「ロシアがウクライナに侵攻した」と知らされたときの冷や汗と鼓動の高まりを覚えている。
まず通勤電車で読む本が変わった。とても小説を読む気にはなれなかった。読みかけの『法の精神』も今は役立つと思えなかった。ユーロマイダン革命やロシア思想の本を読んだ。いくつかドキュメンタリー映画も観た。
SNSでウクライナ大使館をフォローしたり、現地の写真や動画を見た。
微力ながら寄付もした。
その後、友人たちと頻繁に連絡を取り合うようになった。話題は戦争で持ち切りである。
そうこうしているうちに、今回の出来事を理解するのを手助けするコンテンツがリリースされはじめた(詳細は過去記事参照:「ロシアによるウクライナ軍事侵攻について考える手がかり」https://note.com/pintmead/n/nd6f7463f8cee)。
憑りつかれたように戦争に関するあらゆる情報収集をした。睡眠時間が減っていった。仕事の話も右から左に流れていった。
今は少し落ち着いているが、それでも情報収集は欠かさない。すっかり戦争が生活の中に入り込んでいる。

2.精神面の変化

最初に訪れたのは驚きだった。まさか2022年にあからさまな侵略戦争が起こるとは。次に戦争が起こったら人類が滅ぶと教えられてきた身としては、本当に驚きだった。
次は興奮。SNSで飛び込んでくる刺激的な情報、刻一刻と変化する状況。とにかく何か情報を入れていないと落ち着かない。焦燥感もあった。不眠とまではいかないまでも睡眠時間が減った。
ロシア(プーチン大統領)への怒り、ウクライナの人々が死んでいくことへの悲しみ。各国のロシアへの制裁とウクライナの支援を応援する気持ち。
SNSでセンシティブな内容に触れることが増え、現実感が遠のいていく。画面から顔を上げればそこには平和な街並みが広がっていて、それが却って不自然に思えた。どうして道端に死体が転がっていない?
ロシアが核兵器の使用をほのめかしたことにより、第三次世界大戦の危険性が増した。また、ロシアの行動に刺激を受けた別の国が日本に攻めてくることなどを考え、身に迫る恐怖を感じた。同時に、できることをしなければという使命感や焦りを感じた。
各国の慎重な姿勢にもどかしさを感じると同時に、「本当に世界大戦をしたくない」という想いが伝わってきて感動した。ロシア国内での反戦運動やアノニマスのサーバー攻撃など、戦争に反対する人々の行動にも感動した。
キーウがいつ陥落するかという状況の中、私にできることはほとんどないという現実に打ちのめされ罪悪感を抱く。また、ポーズだけの連帯にうんざりした。
侵攻が開始されて3週間以上が経過し、疲労がたまってきた。自身の異常な精神状態を認知し、息抜きを意識的に取り入れた。
友人たちとの交流は、気持ちの共有や現状把握に大いに役立った。
今は、大きな負の感情の中に小さな希望を抱いている。
信じるしかない。常に心を寄せ続け、忘れない。

最後に

サイバー攻撃、ドローン攻撃、SNS情報戦、ディープフェイクなど、今までとは違った要素の多い今回の戦争。しかし、同時にかつて我々が想像していたような現代戦とは程遠い、戦車や戦闘機、ミサイル、ライフルによる従来型の戦闘が繰り広げられている。
通信技術が発達した現代の戦争では、前線の様子がダイレクトに伝わってくる。そこにはマスメディアのフィルタもなく、素材がそのまま転がっている。
私は、現地にいる人々だけでなく、世界中の人々がPTSD(心的外傷後ストレス障害)の危機あると思う。PTSDは死の危険に直面したした人がフラッシュバックや不安・緊張に苦しむ精神疾患であるが、「死の危険に直面した人を目撃した人」もPTSDを発症することが知られている。
我々は世界のことを考えると同時に、自分の健康についても注意を払っていかなければならない。

いずれにしても、いち早く戦争が終結することを願っている。


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