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#6 イライラが頂点に達した直後に霧散した体験

環境の変化はストレスになる。
仮令、結婚や昇進などの一般的に良い変化と言われている出来事も例外ではない。

この春は色々なことが重なりかなりストレスフルな状態である。仕事も私生活も余裕などなく常にイライラしている。
自分の時間が持てない、煩雑な手続きの連続、他人の不手際、パワハラ上司への愛想笑い。

今朝、そのイライラが頂点に達した。
そもそもタスクが捌き切れないほど溜まっていたところに、時間調整がうまくいかず準備不足のまま家を飛び出すハメに。
みっともないことだが、バッグを担いで部屋を出る際に壁を殴って「ちくしょう」と叫んだ。

駆け足で駅に向かいながらポッドキャストを聴くも内容は右から左である。
空には雲ひとつなく風は暖かい、本当にいい陽気だ。自分の内と外のギャップに戸惑いながら改札をくぐり、ホームへ降りる。

タイミングが悪い。電車は行ってしまったばかりで次は10分後だ。

私は10分の時間を得た。これが幸いだった。自販機でお茶を買い、一口飲む。
自分がどうしようもなくイライラしていることを改めて自覚する。
こんな光景、どこかで…

常にイライラして大失敗を犯しながらも自分の信じる道を進む。ときに道を見失いながら、なんどでも立ち上がる。

多くの物語に登場するこういった性質の人物たち。
私の場合は海外ドラマ『ホームランド』の主人公キャリー・マティソンが脳裡に浮かんだ。

彼女の抱えるものに比べれば私の感情など些細なものだ。
彼女は双極性障害であることを隠しながらCIAで働く諜報員。何度も祖国の危機を救ってきたが、判断ミスで仲間を死なせたりもしている。失敗のたびにがっつり落ち込むし、毎回トラウマを抱えていく。それでも自分の信じた道を突き進む。

ああ、彼女なら私のこの状況なんてなんとも思わないだろう。
その瞬間、自分のイライラが霧散した。

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