前回に続き、新聞通信調査会が発行する月刊誌「メディア展望」2022年2月号に書いた記事を紹介します。「新聞の『信頼』揺るがす逆風の数々 選挙報道も大転換期に」と題した記事では、まず昨年10月31日に行われた衆院選の事前調査について振り返りました。続いて取り上げたのは、検察庁法改正案をめぐる報道です。新聞、放送など政治部という部署を抱え、そこに精鋭を投入すしているはずの大手メディアが問題点を整理しきれずにいる中、ひとりの女性が発したひとつのツイートが大きな世論のうねりをつくり出し、週刊文春の報道がその流れを決定づけました。大手メディア、オールドメディアは自戒と自省を求められる結果になりました。
この問題を考える手がかりとして、東京新聞の望月衣塑子記者が著書「報道現場」(角川新書)で行った提起を紹介しました。取材対象に密着する「アクセスジャーナリズム」は、私も徹底して追求するよう教えられてきたものです。その価値は、もちろん今でも大切にしなければなりません。しかし、それで「事足れり」とできる時代はとうに過ぎていることも痛烈に教えられました。
次の論点として、ソーシャルメディアによりかかった形の報道について考えました。ネットの世界を「対岸の火事」のように眺める姿勢が今のマスメディアには散見されます。それは、とても危険なことだと考えます。
そして、最後に、やはり気になってしかたがない小室圭さんと眞子さんの結婚へのバッシングについて言及しました。私は、このバッシングを機に、時代が悪い方向へ曲がり始めたと危惧します。
次回からも、これまでの講演や論文をもとに、ジャーナリズムの同時代史をみていきます。