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#実子誘拐
19. 「当事者」という存在
「紗英ちゃん、私の知り合いにね、もうずっと前なんだけど、紗英ちゃんみたいにお子さんに会えなくなってしまった人がいるの。その人は今同じ状況の人の相談をボランティアで受けているんだけど、良かったら紹介するよ。」
ハワイに行く前に趣味で通っていたダンス教室の先生、より子ちゃんにそう言われ、同じ状況で苦しんでいる方が他にもいる事と、相談する場があることを知った。
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その方は、ゆみさんといった。 よ
18. 駅前法律相談。
今にして思えばこの時は一刻も早く動くべき時であり、予約してから2週間後にアポが取れるような駅前の法律相談を予約している場合ではなかった。だけど、私はその時起こっていた事をそこまで深刻に捉えていなかったので、全ては後手に回ってしまった。
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相談時間は30分だった。不眠が続き、思考はクリアでなかったけど、無理やりコーヒーを流し込み、リビングのテーブルで聞きたいことを紙にまとめていたら、私を心配し
17. 連れ去りの理由
翌日、タイミング良くハワイで知り合った友人の俊平くんから電話がきた。
「紗英ちゃん、どうしてる? 今度東京に行くんだけど、時間あったらランチでもしようよ。」
俊平くんの声を聞くと、あの、可奈と一緒に通っていたヒロのビーチを思い出し、泣けてきた。
お互いの歳が近いこともあって俊平くんとは良く遊んだ。まさに「健康そのもの!」というタイプのサーファーで、暇さえあれば海に出ていたし、波がないときは地
16. 夫、裕太との話し合い。
少しの間をおき、驚いた顔をした裕太が出てきた。顔を見るのは久しぶりで、なんだか変な気分だった。髭が伸びたな・・と、ぼんやり思った。
「・・・用意するからちょっと待ってて。」
ドアを閉め、着替えた裕太が険しい表情で出てきた。「駅前で話をしよう。」と言って車を出した。
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日の当たるカフェに3人で座った。もうすぐ春だけど、少し肌寒かったので3人共暖かいお茶を頼んだ。
思わず、矢継ぎ早に質問す