有機やさいは安全という神話
「化学物質は危険で、天然のものは危険ではない」
これは作られたイメージです。
例えばコーヒーのカフェインは毒です。
体重50kgの人が一度に48杯のコーヒーを飲むと
致死量に達します。
もちろんそんなことをする人はありませんし
カフェインは眠気を抑え集中力を高める効果が
ありますので、栄養剤やエナジードリンクには
欠かせません。
天然だろうと人工だろうと
代わりはありません。
「有機農業=無農薬」ではありません
●日本には有機JAS規格の認定農薬があります。
使用可能な農薬は30種類です。
除虫菊乳剤及びピレトリン乳剤、なたね油乳剤、
マシン油エアゾル、マシン油乳剤、
大豆レシチン・マシン油乳デンプン水和剤、
脂肪酸グリセリド乳剤、メタアルデヒド粒剤、
硫黄くん煙剤、硫黄粉剤、硫黄・銅水和剤、
水和硫黄剤、硫黄・大豆レシチン水和剤、
石灰硫黄合剤、シイタケ菌糸体抽出物液剤、
炭酸水素ナトリウム水溶剤及び重曹、
炭酸水素ナトリウム・銅水和剤、銅水和剤、
銅粉剤、硫酸銅、生石灰、天敵等生物農薬、
性フェロモン剤、クロレラ抽出物液剤、
混合生薬抽出物液剤、ワックス水和剤、
展着剤、二酸化炭素剤、ケイソウ土粉剤、食酢
有機認定農薬には使用制限というものはありません。
使い方によっては過剰蓄積と高濃度使用で
一般農薬以上の危険もあります。
「有機」とつければ、「安全」という認識を
持つ「イメージ戦略」が先行し、有機なら無農薬だろう
無農薬なら安全だろうと思う方が大半ですが、
そうではないことを認識する必要があります。
ただセールスの都合上、「有機」をうたった方が
現状、売れるというというのはまさに作られてしまったイメージです。
農薬は農薬です。
「有機農業=有機肥料」ではありません
有機JASの規定で自然物なら無機物でも有機肥料です。
・植物油かす類(菜種・大豆・綿実・米ぬか等の油かす)
・植物かす粉末類(えんじゅかす・乾燥おからなど)
・魚粉類(魚粕)
・動物かす粉末類(フェザーミール・蹄角・皮粉・毛粉 など)
・骨粉質類(蒸製骨粉・魚骨粉)
・蒸製魚鱗
・甲殻類質肥料粉末(カニ殻)
・乾燥菌体肥料(菌体肥料・乾燥酵母)
・蚕蛹かす粉末類(蛹かす・蛹油かす)
・加工家きん糞(発酵鶏糞 など)
・し尿汚泥肥料(発酵乾糞肥料)
・パーム椰子灰
・腐植酸系肥料(腐植酸アンモニア・腐植酸リン肥 など)
・とうもろこし浸出液肥料(CSL)
・グアノ(窒素質グアノ・リン酸グアノ・バットグアノ)
・海藻粉末
・その他の有機肥料(混合有機質肥料・副産動物質肥料・副産植物質肥料・副産複合肥料・魚廃物加工肥料・汚泥肥料)
無機肥料として
草木灰、炭酸カルシウム(苦土炭酸カルシウムを含む)、
塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸カリウム苦土、
天然りん鉱石、硫酸苦土、水酸化苦土、石こう、
硫黄、生石灰(苦土生石灰を含む)、消石灰、
微量要素(マンガン、ほう素、鉄、銅、亜鉛、モリブデン及び塩素)、
岩石を粉砕したもの、塩基性スラグ、
鉱さいけい酸質肥料、よう成りん肥、塩化ナトリウム、
リン酸アルミニウムカルシウム、塩化カルシウムなど
有機農家さんの中には本当に無農薬・有機肥料で
栽培されている方も多くお見えになります。
ただ、無農薬は当然虫がつきますので、植物はその対抗手段として
自分で毒を出して虫から身を守ります。
ジャガイモの芽のソラニンは最も有名な天然毒です。
しかも猛毒です。
最近ではジャガイモのチャコニンの方が怖いという研究もあります。
コリンエステラーゼを阻害し成人の中毒量は0.2~0.4gです。
小児の場合はその10分の1です。
虫が食べるくらいだから安全という見方もあります。
いずれにせよ、「有機野菜」「無農薬野菜」が
「無肥料」「無害虫」なのかは見た目ではわからないのです。
昔の農薬はまさにガラス瓶に入って「飲んだら死ぬぞ」みたいな瓶でしたが(実際、僕の近所の人で飲んで自殺した方がいます)今はドリンク剤みたいです。
農林水産省天然毒
決して有機農業・有機農家さんを否定するものではありません。
ただあまりに誤った「農薬を使ってあると悪い」という印象を
持つ方が多いので、農学部で農薬化学を収めたものとして
助言するものであります。
詳しくは
農林水産省のページをご覧ください。
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