マイホーム建築への道のり 「滅多に出ないオススメの土地」を紹介された話
2年程前に新築した我が家。
土地を購入して設計事務所に依頼して木造2階建の一軒家を建ててもらいました。
完成に至るまでに体験した出来事で印象に残っていることを書きます。
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家を建てる前の話。地元のハウスメーカーF社主催の家づくりセミナーに夫婦で参加した。その数日後の夜、F社の営業マンGさんから携帯に電話がかかってきた。
「お薦めの土地が出ました!まだ出たばかりでどなたにもご紹介していないのですが…ぜひご説明したいので、弊社にお越しくださいませんか?」
......もともとF社のセミナーに参加したきっかけは、近所で行われたF社の家の完成見学会に行ったこと。ポストに入っていたチラシの案内に誘われ、軽い気持ちで行ったのだった。見学の際に「子供が小学校に入学する数年後までに、土地を買って家を建てたい」
「新しくて綺麗な✖️✖️小学校の学区内を希望」
「駅へ自転車で行ける範囲」
などなど、思いつくままの希望をアンケートに書いていた。
「✖️✖️小学校の学区の土地はすごく人気でして…なかなか出ないですね…」。アンケート回答を見たF社のGさんはそう言っていた。なので、土地が見つかることについては全く期待していなかったし、子供が小学校に入学するのはあと数年も先なので、家への憧れはぼんやりとありつつも、まだ具体的現実的には考えてはいなかった。
ところが、「私達の希望にピッタリの土地が出た」というGさんからの電話。
しかも、「まだ未公開で私たちだけが知っている土地」!?
その週末、期待半分興味半分に、夫と一緒にF社のGさんを訪ねた。
Gさんから紹介された土地は、確かに✖️✖️小学校の学区内だった。
地主が古くから所有していた広い土地を売りにだしたそうで、その土地が戸建て用の分譲地として販売されるとのことだった。
Gさんが、綺麗に区画整理された分譲地の計画図面を見せながら、私たちにまくしたてた。
「私は長いこと営業をやっていますが、初めてです!こんなに良い土地は!なかなか出ない土地ですヨ!」
「まだ未公開ですが、滅多にこういう土地は出ないので、公開されればすぐに買い手がついてしまいますヨ!」
そうGさんに言われ、複数の区画の中でも、最も価格が安い区画の土地を気に入ってしまった。
すぐにGさんが現地に連れて行ってくれた。
分譲計画地の辺り一帯は未開発のため、森のようになっていた。
分譲地が完成するのは半年も先だそうで、「工事中」との看板だけがあった。
どこからどこまでが該当の土地なのかもよく分からない。
「確かに✖️✖️小学校には近いなー。この学区内の土地はなかなか出ないと言うので、決めちゃったほうがいいのかな…?」
土地の全貌が見えないこともあって悩む私達にGさんは落ち着いた口調で答えてくれた。
「土地を買うかどうかは3か月後位までに検討してくれれば良いですよ」
ホッとする私達。
続いてGさんはこう告げた。
「ところで、この土地のことは誰にも言わないでくださいね。まだ正式に公開する前に特別にご紹介したのですから」
「なぜ、そんなに貴重な情報を私たちに?」という疑問もその時は思わず、むしろ、そんなに貴重な情報を教えてくれたGさんにあらためて感謝していた。
そして、その3日後、事態は急変。
またGさんから携帯に電話がかかってきたのだ。
「実は、先日ご覧頂いてお気に召されていた区画の土地を買いたいという方がでまして、明日中に土地を抑えていただかないと、その方にお譲りすることになってしまいます」
あれ?
この土地のことは誰にも秘密なんじゃあなかったっけ?
他の人にも紹介していたの?
私達だけに教えてくれたんじゃあなかったの?
3か月後位までに決めればいいと言ってなかったっけ?
と、頭の中で次々に疑問が湧きあがる。
しかし、滅多に出ないと言う✖️✖️小学校学区の土地が他の人に取られてしまうかも......という焦りも起こる。
隣にいた夫に相談した。
「どうしよう!あの土地が他の人に買われちゃうかも…」
「エエッ!どうすればいいの?」
夫もその土地を気に入っていたのだった。
なんとかならないのかとGさんに尋ねたところ、次のような返事があった。
「明日中に買い付けの書類に署名をいただいて、今月中に内金として1000万ほどご用意いただければ大丈夫ですよ。地主さんがすぐに現金が欲しいらしいんですよねー」
……。
「今月中に内金として1000万ほどご用意いただければ大丈夫ですよ」っと値段の割にサラッと言われ、今振り返るとオレオレ詐欺っぽくも思えるのだが、この時の私の心中は、、、
「今月中に1000万円かー…。今貯金いくらあったっけ?今は月の半ば...あと2週間…親にお願いする?ローンってどうすれば組めるの?」と、脳をフル回転して金策を考え始めていたのだった。
しかし、いくらその場で考えてもすぐには結論は出ない。
ひとまず「検討してお返事します」とだけ言って電話を切った。
せかされると焦る。
なかなか出ない人気の✖️✖️学区の土地がたまたま出て、それを知っている人はあまりいない。
だけど自分と同じ土地を希望している人が他にもいて、その人が先に購入してしまうかもしれない。
その人よりも先に書面を書いてお金も先に用意すれば買えてしまう…。
買いたい気持ちが募る。
しかし、他の人より先に買うためには、お金の工面が必要。
夫と1000万円の捻出をどうするか、あれこれ話し合っている間に、またGさんからの電話が鳴った。
「すみません…ご希望の土地は他の方に確定してしまいました。代わりにその隣の土地でしたら、先ほどの手続きで購入していただけます」
「エエエッ!!??」
この間約10分。
その間にもう他の人に確定してしまったという。
他の人の決断力、スゴイナー。
ところで、代わりの隣の土地って確か200万円位高かったような…。
さっき私は「検討します」とお返事したのに、もう他の人で確定しちゃったの??
ここで初めて一気に高まるGさんへの不信感。
土地への熱がスーッと冷めていった。
「すみません。やっぱり、すぐにはお金の用意ができないので、今回は辞退させていただきます」
それを聞くやいなや慌て出すGさん。
「エッ?地主さんにお話ししてお金の支払いを伸ばすこともできますよ?」
地主さんはすぐにでも現金が欲しいって言ってたよね?
「今回は諦めます。失礼します」と電話を切ったのだった。
......その1年後、かつて案内された分譲計画地の周辺はどんどん開発が進み、商業施設も建ち、戸建て用の分譲地がどんどん出てきた。
✖️✖️学区の土地は「滅多に出ない」どころか、周辺一帯が広大な新興住宅地として開発され、とてもたくさんの分譲地が売り出されるようになった。
Gさんに勧められた当時、その土地の周辺一帯は森に囲まれており、広大な開発地になるという全貌は全く分からなかった。
Gさんは全貌を知っていたのかもしれないが、、、
しばらく経ち、やっと一般人にも分かるくらい開発が進んで、土地選びの選択肢が一挙にグーンと広がったのだった。
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