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マイホーム建築への道のり 完成までのトラブルあれこれ

2年程前に新築した我が家。土地を購入して設計事務所に依頼して木造2階建の一軒家を建ててもらいました。

無事に土地が決まって、建物完成までにはいくつかのトラブルや、思ってたのと違う!といったこともありました。

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◎見えない屋根◎

屋根は瓦屋根を選んだ。
やや値が張るのだが、趣があるし、耐久性やメンテナンス性を考慮して、決めた。

同じような瓦屋根の家を街中で見つけるたびに、夫と「あんな感じになるんだね~」とウキウキ楽しみにしていた。

その瓦屋根の取り付けが始まった週末、現地を見に行った。瓦屋根の職人さん2人が屋根に上って瓦を打ち付けていた。

屋根の上にいる職人さんの姿が見えた。
しかし、肝心の瓦が…?
……見えない……。

南北の緩い角度の切妻屋根は、近くから見上げたのではその全貌が分からない。

屋根を見るためには、ある程度離れた場所から見るしかないのだが、我が家以外の土地にはほとんど、戸建ての住宅が既に建っているため、少し離れた所から我が家を見ることができるようなちょうど良い場所が見当たらない。

「そういえば、よく街中で見かけた瓦屋根の家って、ちょっと離れた所から見ていたっけ…」

どうしても見たいのならば、例えば道路を隔てたお向かいの家の2階の窓からならば見えるのかもしれない。
「チョイト御免ください。お2階に上がらせてくださいな。なぜって?我が家の屋根を見たいからですヨ」

まだ1回しか挨拶したことのない隣人さんに、そんなことはとても言えない。

瓦の取り付けが完了し、まだ足場が残っていたため、屋根の上が見えるところまで登らせてもらった。我が家の瓦屋根を、こんなに近くで見ることはもうないだろう。

趣があると思って選んだ瓦屋根だったが、趣を感じられるのは今この瞬間だけだった。

落ちないように気を付けながら子供達も一緒に登って屋根を見た。
「すごい、すごい!」と興奮している。
「子供達よ、この景色(瓦屋根)を覚えておいてヨ!もう見れないからね...」

◎窓が届かない◎

工期が当初の予定より遅れるという話はよく聞く。我が家も基礎工事を行う職人さんの手配がつかないとかで着工が予定より1ヶ月ほど延びた。

無事に着工して基礎工事、上棟が終わり、順調に工事が進んでいたと思っていたある日、建築現場を訪れると、棟梁のJさんが軒下で作業をしていた。我が家はこのJさんに1人で建ててもらっている(上棟時は複数の大工さんがいたが)。

毎週末、現場に行ってそのたびにJさんが家の作りや構造等、様々な話をしてくれて、週末が楽しみになっていた。

私たちの顔を見るなり、手を止めたJさんが深刻な面持ちでつぶやいた。

「窓が、全然入ってこないんだよね・・・だから、やることがあまり無くってさぁ・・・」
「えっ!?どういうことですか?」

Jさんによると、現場では上棟後に屋根が出来、壁の柱組を終えて窓を取り付ける準備がすっかり整っているのだが、肝心の窓が納品されてこないのだと言う。
おかしいと思って設計士のIさんに問い合わたところ、Iさんは申し訳なさそうに「窓の納品が遅れており、来月中旬以降になる」と答えたそうなのだ。

これ以上、工事に遅れがあってはならないので、窓が無くても先にできるものは先にやってもらいたい。

「窓が届かなくても、他の所を先に進められないんですか?」
私の要望に、棟梁のJさんが答える。
「窓がないと、壁が張れないし、当然断熱材も張ることができない。窓がないのに床を先に張っちゃうと、雨が入ってきたときに床が濡れちゃうしねぇ。電気工事なんかも、窓がないことにはねぇ・・・。とにかく、窓がないと何も作業が進まないんだよ。この軒下の処理くらいしか今はやることがないんだよね。だからすごく丁寧に軒下の処理ができちゃうよ(笑)」

「と、いうことは、建築工事が今は実質、ストップしているということですかぁ?。そうなると、引き渡しは予定より遅れそうですか?」
私の心配に、Jさんは悩ましげな顔で言う。
「うーーん、何とも言えないなぁ・・・」

「設計士のIさんとの契約書では2か月後の引き渡しとなっているんですが・・・」
「えっ?そうなの?!それは絶対無理!!うまくいって3か月後でいけるかどうかだなぁ・・・何とも言えないけど・・・」
確かにこのペースだと、2か月先に入居することは難しそうだった。

「とにかく、これ以上はここでやることがないから、明日以降は窓が納品されるまで、ここには来ないよ」
と、Jさんはキッパリ言った。

現場を後にし、設計士のIさんに電話をした。
電話に出たIさんが申し訳なさそうに言う。
「すみません…。通常だといつも窓はすぐ納品されるのですが、今回の窓は特注に近い仕様のため、1か月くらいかかるとのことなんですよ。想定外でした」

気になって色々なマイホーム建築に関わる方々のブログを読むと、上棟して3日後には窓がついているお宅もある。一方、我が家は上棟して2か月半後にやっと窓がつく見込み・・・。

「窓の後も床材とか色々搬入物がありますよね?そのあたりももう一度納品日を確認して調整しておいたほうがいいんじゃないですか?」
Iさんにとっては、そんな忠告を受けなくても分かり切っていることだろうし、素人に言われたくもない大きなお世話だろうが、この時は不安が増していたのだった。

「床材は在庫があるので大丈夫です。たとえ在庫が無かったとしても、床材は単に木を切って加工するだけだからそんなに納品までは時間がかかりません」

窓が届かないことによって引き渡しが確実に遅れるのもダメージだが、棟梁のJさんがその間宙ぶらりん状態で予定が立たずなのも申し訳なく思う。引き渡しが先延ばしになるということは、Jさんにとってもそれ以降の予定が先延ばしになるということだ・・・。

◎やっと窓が届いた!でも(涙)◎

待望の窓が建築現場に納品されたのは上棟して2か月半後。
この日を待ちに待っていた。

窓はトリプルガラスの樹脂サッシだ。
私達が家づくりで重視している「夏涼しく、冬温かい家」においては、窓と断熱材は肝であったので、他を削ってでも窓は高性能なものを選んだ。

トリプルガラスなので分厚く、重さも相当なものだ。
棟梁のJさん1人では設置が難しいので、リビングの大きな窓は夫と私も、仕事を休んで手伝おうということになった。

1枚目の窓の取り付けにはやや時間を弄したが、2枚目からは設計士のIさんも加わり、 Jさんと夫と3人の息はピッタリ(私は、やることが無く撮影係)。無事にすべての窓がスムーズに付け終わる、、かのように思えた。

そして、最後の窓を付けよう・・・?と見ると、なんと窓にヒビが入っているではないか!

エ?ドーシテ?

窓は、薄いシングルガラスではなく、トリプルガラス。
簡単にはヒビは入らないハズなのに・・・?

「窓枠だけでもつけちゃいたいなぁ・・また仕事の休みをとるのは難しいし・・」
窓の設置のために休みをとった夫は不安そうに言う。

「2日後には断熱材の施工が控えているから、今日窓を付けないとまたその先の工程が延び延びになっちゃうよ」。Jさんも心配そうである。

「メーカーに窓枠だけでも先に付けて、後からガラス部分を入れられないか、確認してみます」
Iさんはすぐにメーカーに電話をかけた。

その結果、窓枠とヒビ割れガラスはひとまず設置してもOKということに。
後日、新しい窓が納品されて、ガラスのみの交換であれば棟梁のJさん1人でもなんとかなりそうだと言う。

ヒビ割れた窓を含め、この日1日で何とかすべての窓の設置が完了したのだった。

考えてみれば当たり前の話だが、窓や床材、壁材、木材など家を作るための資材は一度に納品してしまうと、現場に置ききれなくなる。
特に、私達の家はそんなに大きくはない(むしろ狭い)ので、工程を考えながら先に設置するものから順に少しずつ納品しなければならないのだろう。

壁や天井を覆う合板一つとっても、家全部の分となると結構な量になって、それだけで家の中がいっぱいになる。なので、今回は合板だけでも2回に分けて納品された。

そして、2階で使用するものは、2階へ運ばなくてはいけない。もちろん、まだ階段はない。

窓の設置を終えて、そのあとは2階で使用する建築資材を運ぶ作業を手伝った。

作業の合間、1階に積んである合板を机に、IさんやJさんと団らんしながら食べた差し入れのうどんがとても美味しく感じられて良い想い出になった。
 
私たちはもちろん、IさんやJさんのような専門家ではないので、その労力は2人には及びようもないが、何らかのかたちで積極的に家づくりに関わることを楽しんでいた。関わることで自分の家の構造が分かるし、メンテナンスの仕方も分かるし、何よりも愛着がわくし......。

こういうトラブルも今となっては想い出である。

◎エアコンのスペースが足りない!◎

窓の納品が遅れたため、1か月遅れで進んだ建設工事。
完成予定日まであと1か月となった。

外構はまだ出来ないが、アパートの契約更新の時期が迫っていることもあり、建物の完成に合わせて先に引っ越しをしようと、引っ越し日を決めて準備を進めた。

いつものように週末、現場を訪問。
内装もだいぶ進み、ワクワクだ。

この日は棟梁のJさん、そして設計士Iさんがいた。
何やら深刻そうにエアコンの設置位置を眺めて話し込んでいた。

私達に気づいたIさんが、申し訳なさそうに言った。
「すみません、エアコンの設置スペースがあと6cm足りません・・・週明けにやり直しの工事をします」

「エエッ!?どういうことですか?」

「昨日、エアコン取り付けの下見に来た設置業者が現場を確認して判明しました。エアコンの大きさのスペースはとっていたのですが、設置にはそれだけでは足らず、あと6cm余裕を持たせなくてはいけなかったのです」

エアコンの配管を通すための穴は壁に既に開けてしまっており、エアコン用のコンセントも配線済みだ。
既に開けてしまった穴を埋め、別の場所に穴を開け直す必要がある。エアコンは外壁に接しない室内に設置するため、部屋と部屋を仕切る壁にもエアコン用の穴を開けていたので、そこもやり直し。

それよりも大変なのは、既に外壁のモルタルが2度塗りを完了していることだ。
外壁のエアコン用配管の穴を埋めるため、外壁のモルタル(2度塗り)をその部分だけやり直さなくてはいけない。
 
うまく週明けに外壁を塗ってくれるモルタルの施工業者の手配がつけばいいのだが、仮にそれが遅れると、その後に控えている外壁の吹き付け仕上げ、足場の解体、室外機器の設置、等々・・・のスケジュールが全て後ろ倒しになってしまう。

そうなると、待っているのは引っ越し日の延期だ。

しかし、既に引っ越し業者も手配済み、賃貸アパートの不動産屋にも退去日を告知済み、アパートの火災保険も引っ越し日をもって解約する旨を連絡済み。さらに、NTTや電気、水道、郵便等々、様々な連絡を引っ越し日を基準に切り替える旨を連絡済み。そして、子供の学校にも連絡済み、さらには職場にも引っ越し日前後に休みを取りたいと調整済みだ。

何よりも、アパートの更新期限が迫っている。
祈るような気持ちであった。

......数日後、祈りが届き、無事にやり直し工事は完了した。


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