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誰もが自分の都合で生きている

もう15年ほど前のこと。
仲の良い友人とちょっとした喧嘩をしたことがある。
今ならあんな風にはならないはず…?
私もまだ血気盛んだったのだな。

私は当時エステサロン経営をして、化粧品を販売していて、彼女も愛用者だった。

それは仲良くしていた友人のこの言葉からだった。
「ねえ、さゆりから買ってる化粧品、
もう使うのやめる、ごめんね。」

「え?どうしたの?なんか合わなかった?」

「ううん・・・すごく良くって、気に入ってたけど・・・
動物実験してる会社だから」

「ああ・・・それはもちろんそうだけれど・・・」

「ごめんね、今チワワ3匹買ってたら、
こんな子たちを実験に使ってるのって許せなくて」

「うん、いいよ、自分で決めることだし、気にしないで。
ただね、うちに限らず、シェア率が高い化粧品会社は、動物実験ありきだよ。
そもそも動物実験すらしていないものを、
いきなり人間に使うのはね。
もちろん、人体に実験塗布は毎日のようにやっているよ。
でも、人間に試す前に、
動物で安全性を確認するのは、
シェア率が高い会社には仕方ないことだよ。
それが、社会的責任でもあると思う。
さらに言えば、自社で動物実験をしていない会社は、その研究所がないからだよ。
結局は、もともとあるレシピをもとに作るからであって、それだって、たどれば動物実験を繰り返して得られた結果を使用してる。
同じだと思う。」

私は淡々とそう言った。

(しかも『気にしないで』と言いながらめいっぱい論破しようとしていた)

そして、言っていること自体が何一つ間違っていないと思っていたし、
今現在も根本の考えは変わらない。

ただ、今ならばこうは言わないけれど・・・
(若かったな)

そうすると彼女は目に涙をいっぱいにためて、

「そうかもしれないけど、そんな風に言わなくても・・・
さゆりって、冷たいよ。
自分も犬飼ってるじゃん。
それなのになんとも思わないの?」

と言った。

私はそこでさらにイラッときてしまい、追い討ちをかけた。

「だから!どのメーカーだろうと、
全部ほかの生き物の犠牲の上に成り立ってるんだよ。
それ言ってたら、私はもちろん、美容業界の人はみんな仕事できないよ!てか、食べることも同じだよ。あんた焼き鳥とか食べるじゃん!」

「それは・・・そうだけど」

「動物実験に使う犬やサルやネズミはかわいそうで、毎日殺されてる家畜は喜んで食べるってのは、矛盾してると思うよ。」

「・・・・・もういい。さゆりと話したくない。」

「そうだね、私ももうやめるわ。」

さて、ここまで読んだ方がどう思うかはわかりませんが、

私自身は、今思い返してもキツイ言い方したな~とは思うのですが。
私と友人のこの喧嘩は、結局はお互いが、

「自分の都合のいいことだけ許している」

って話なんだよね。

こんなことって普通に誰もがあることだと思う。

例えば、

食品添加物はダメ、と言いながら煙草を吸う。
ヘイトスピーチをしながら、パチンコ屋に行く。
原発反対と言いながら、テレビばっかり見る。
ワクチン反対と言いながら、中身を調べず薬を飲む。
レンジの電磁波は怖いと言いながら、スマホをいじる。
動物愛護を訴えながら、化粧品を使う。
動物愛護を訴えながら、肉も魚も食べる。

毛皮も、指輪も、チョコレートも、ダイエットも、

いや、考えたらお金そのものも。

数えていけばきりがないし、

私自身もその代表で。

社会のしくみにイライラしてても、GAFA大好き人間やん?
出版やビジネスの宣伝や告知もリンクなしには叶わない。

自分がほしいもの、使いたいものに関しては大目に見て、
そうでないものには嫌悪感を覚えたりするのは日常なのだ。

これはきっと、みんなそうなんだ。
世界中がそうなんだ。

だからこそ、新時代は、お互いがお互いを知ることからしか

始まらないと思っている。

そうならなければ、世界はずっと、

お互いを抹殺しあうしかないのだから。


私もいい、あなたもいい。

私もよくない、あなたもよくない。

それでも、お互いを認め、許し、

愛し合えたらいいな。

ちなみにその友人とは、翌日に仲直りしました。
お互い「昨日はごめんね」と謝って。

この世界ではもう彼女と会えないけれど、

謝れてよかったな、と思っているのだ。


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