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成果は組織の外にある

先日、ドラッカーの生前の映像を
観るという貴重な機会に恵まれた。
クレアモント大学のドラッカー
スクールにおいて講義をした際の
記録だ。
3分ほどの僅かな時間ではあったが、
少しなまりのある独特の英語で、
生のドラッカーが聴衆相手に熱く
語っている姿を拝むことができた
のは、とても有り難い体験だった。

今も耳について離れない、彼の
ユーモアたっぷりの言葉、それは

You are COST CENTER!

「諸君はコストセンターなのだよ!」
とでも訳そうか。
裏を返せば、組織の一員、従業員の
人たちというのは、プロフィット
センターではない、ということ。

一般的な用語解説風に説明をしておくと、

【プロフィットセンター】
企業において、利益を生み出す部門のこと。
どの部門をプロフィットセンターと位置付けるかは企業によって異なる。
【コストセンター】
企業において、利益を生み出さない部門のこと。
プロフィットセンターと対で用いられる概念。

という感じになる。

ドラッカーに言わせれば、企業には
そもそもプロフィットセンターなんて
ものはない!ということのようだ。
彼の言葉を解釈するに、プロフィットを
もたらしてくれるのは「顧客」であり、
「顧客」こそが唯一のプロフィット
センターだ、ということになる。

なるほど!
と唸らされる。
営業やマーケティングといった直接
顧客から売上をいただいてくる部門
をプロフィットセンターと定義づける
ことも可能だろうが、あくまでも
プロフィットをくださる顧客との
インターフェイスを担っているだけ
であり、プロフィットそのものは
顧客から生み出されている。
そう考えると、
「You are COST CENTER!」
という言葉を、ややニヤニヤした
表情で聴衆に投げかけたドラッカー
の意図が分かるような気がする。

似たような文脈で、

成果は常に組織の外部にある

という言葉もドラッカーは述べている。
企業の成果は顧客の満足であり、
顧客というのは常に組織の外側に
いる存在だから、ということだ。

有名な、ドラッカーの5つの質問の
うち、4つ目が
「われわれの成果は何か?」
であり、企業の内部ではなく外部に
あるポジティブな変化(つまりはそれ
が成果)を見ることで、どれだけ
顧客の役に立っているのかを常に
自問自答する必要があるのだ。

ドラッカーの本を読んだり、
その教えを人から聞いたり、
最近益々ドラッカーに触れる機会が
増えてきているが、触れれば触れる
ほどに、その洞察の深さ、奥行き、
汎用可能性に驚きを覚える。
と同時に、やはりドラッカーこそが
マーケティングの本質を突き詰めた
最も偉大な先達ではないか、そう
思える。
「神様」と言われるコトラー本人も、
「自分がマーケティングの父ならば、
ドラッカーは祖父」と認めている
通り、ドラッカーなくして、顧客を
基点にした今のマーケティングの
学問体系は存在しえないだろう。

いくら学び続けても、学び終える
ことはないかもしれない。
だからこそやりがいもある。
そうポジティブに捉えて、更に
学びを深めていきたいものだ。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。