用途提案で潜在ニーズを掘り起こす
カレ・ド・ショコラ。
森永製菓がこの比較的高級なチョコを
売り出したときに、物は試しと購入
したことを思い出す。
その後、長きにわたり棚に並び続けて
いわゆる「定番化」したところを
見ると、品質と価格のバランスが
優れていると消費者からお墨付きを
もらったということだろう。
定番化した商品というのは、
安定的に需要が見込める、
一定のお客様がファンとして
確保できている、
そういう状況にある。
ただ、そこで胡坐をかいていると、
じりじりと実績が下がっていく。
市場には常に新商品が投入され、
そちらに興味・関心が移る。
ニュースが少なければ、消費者の
記憶から徐々に薄れ、認知度が
下がっていく。
それを避けるために、メーカーは
あの手この手で「刺激」を市場に
投入していく。
やはり新商品投入というのは
手っ取り早い「刺激」であるが、
そんなに頻繁に新商品ローンチ
ばかりはできない。
そこで、様々な販促を打つことに
なる。
販促というと、値引きだとか、
おまけをつけるとか、
キャラクターコラボとか、
色々考えられるが、
「用途提案」をするというのは
非常に優れた販促だ。
「こんな使い方もできますよ」
「こういうやり方も便利ですよ」
「こうすると更に美味しいですよ」
といった具合に、消費者があまり
気付いていない用途を具体的に
提案していくのである。
この販促の何がよいか。
基本的にお金がかからない点が
まず素晴らしい。
アイデア一つでかなり手軽に
実行できるのだ。
また、これまで愛用してきた
消費者に、新たな価値の側面を
提示することで、ロイヤリティーを
高める効果が期待できる。
用途が増えれば、購入してもらえる
チャンスも増え、購入頻度が増えれば
益々ロイヤリティーは高まる。
今朝の新聞で見かけた
カレ・ド・ショコラの広告は、
「今月のMariage(マリアージュ)」
と題して、シリーズの中の
<カカオ88>という商品と、
シラーズの赤ワインを合わせる
提案をしている。
まず、ワインを飲む際にチョコレートを
合わせるという提案自体、目新しいと
思われる。
物珍しいとまでは言わないものの、
お料理に合わせて、あるいはチーズとの
組み合わせでワインを語ることに比べ、
チョコレートとの組み合わせが語られる
ことはかなり少ないだろう。
更に、シリーズの中から一品選び、
ワインも葡萄の品種を決め打ちで選んで、
具体的なマリアージュ提案をしている
ところが目を引いた。
「シラーズ」に反応するであろう、
多少はワインのことを分かっている層を
狙ってコミュニケーションしているの
だろう。
ワインの蘊蓄を語る人と、
チョコレートのカカオの蘊蓄を語る人、
相互に共通点が見られるというのを
踏まえて、あえてこのような広告を
出しているのではないかと推測する
ところだ。
オードリー・ヘプバーンの写真と
「この世界に、
エレガントな
ひとときを。」
というコピーも、提案内容にマッチして
素敵に仕上がっている。
最近は日本酒に傾いていたが、
たまにはワイン、
お供にカレ・ド・ショコラと
しゃれこんでみようか。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。